あかりとレセプト
やっぱ、足、切るの、やめるよ」
みきえが晩御飯の支度をしているとまどかが二階から降りてきて言った
「切ると痛そうだし・・・」
みきえが「そうね、痛そうだしね、それがいいかも」と明るく返す
「・・・でも・・・あの犬・・・殺す・・」
みきえがおどろいて振り返り「もう、そんなこと言わないの、それに怖くて
近づけないくせに、できないでしょう?」
「・・・・・殺し屋、雇うもん・・」と口をとがらせる
「たっ、ただいまー!」とそこへあかりが元気よく帰ってくる、そしていきなり
「ねっ!ねっ!レセプトの運動、まだでしょう?」
「え?・・・まだだけど・・・」
「じゃあ、今日はわたしがやるね!」
「は?」とおどろくみきえにかまわず「レセプトー!運動の時間だよー!」と言いながら
二階に上がって行く
「なに?」
「どしたの?」
みきえとまどかがきょとんとして顔を見合わせる
「レセプトちゃーん、おまたせー」とあかりが部屋のドアを派手に開ける
レセプトが目を大きくしてあかりを見つめる
例によってあかりにレセプトの気持ちが聞こえてくる
・・・・ア・・ナンダ、チガウヒトカ・・
「あ?なに?何か違うって!え?」とあかりがすごんだ声でたずねる
レセプトはじっとこっちを見ているだけ
・・そうか、こっちの言ってることは伝わらないんだ・・
気をとりなおして「さあ、運動の時間だよー、その前に準備を・・と」とペットシーツを取り出し
床に敷きつめる
レセプトが首をかしげてあかりを見つめる
「知ってるよー、犬が首をかしげるのは周りの様子や音をよく聞こうとする動作なんだってこと、
聞いたもんねー」とへやじゅうの床にペットシーツを敷く
そして「準備完了!」とケージを開ける
レセプトが飛び出し部屋中を走り回る
ボールを与える、うれしそうにボールをガジガジとかむ、そしてボールをくわえて走り回る
やがて・・・ピタッと止まる、後ろ足を開き、はいつくばったような格好
「おっ!」とあかりが見守る
オシッコをだし終えるとまたばたばたと動き出す
あかりが待ってましたとばかりにぬれたシーツを新しいシーツに替え、汚れたシーツをトイレの上に
置く
楽しそうに走り回るレセプトが、偶然サークルの中に入りトイレの上に、そして動きが止まる
トイレの自分のオシッコのにおいをかぎ始める
・・・・ココ?コノニオイ?ココ?
「そうそう、そこ!オシッコは必ずそこでするのよ!あ、ウンチもね」
「なるほどー、その手があったのね」みきえがやってきて部屋の中を見て感心する
「こうすれば部屋を汚されなくてすむもんね、でも・・・なんで知ってるの?こんな方法」
あかりが少し照れながら「えへへ、ある人に聞いたんだ」
「誰?ある人って?」
「内緒!」




