家族会議
3人がみきえの部屋に集まる
子犬はうれしそうにサークルの中を飛び回る
あかりがじっとそれを見つめている、また頭の中であの声を感じていた
・・やっとわかった・・この犬のことばが伝わっているんだ、今もこの犬が喜んで
いるのがわかる・・・でも、なんで、伝わってくるの?と考えていると
「あの~、なんかしゃべろうよ~、お姉ちゃ~ん」部屋のすみっこでふるえながら
まどかが言った
われに返ったあかりが母に聞く「まず!この犬はどうしたの?」
「・・・・拾ったの・・・」
「うわ!出た!世界一無責任な言い訳!・・で?どうするの?」
「うん、飼うつもり」
「「え~、飼うの~?」まどかが半泣きで聞いてくる
「もちろん、あなたたちに迷惑はかけないし負担もかけない、お母さんが一人で
面倒見るから」
「そんなの無理に決まってるじゃない!仕事だって忙しいし、それに・・・」と言いか
けた時、子犬が飛び跳ねるのをやめて、サークルに手をかけ二本足で立ち、鳴き出した
キュイン、キュイン、キュイン・・・
あかりにはその声の意味がわかる、アケテ、アケテ、アケテ
やがて鳴き声がさらに大きくなり アケロコノヤロ!
「うるさい!だまれ!静かにしろ!」あかりが怒鳴る、「へ?」「は?」とみきえとまどか
かが不思議そうな顔をする
「あ・・ご・・ごめん」あかりがあやまるとみきえが話し出す「たしかに、大変なのは
わかってる・・でも・・この子見てるとさぁ・・元気になれるの・・いやなこと
忘れられるっていうか・・さ・・」
「・・・・」二人ともことばが出ない、子犬も首をかしげてじっとしている、やがて
あかりが・・・
「ねえ、まどか、お母さんがここまで言うんだから・・飼わせてあげようよ・・」
まどかが無言でうなずく
「・・ありがとう・・絶対あなたたちに迷惑かけないようにするから、絶対、立派な
犬に育ててみせる!」みきえが二人の前で言い切った




