朝
目覚まし時計の電子音が鳴り響く
みきえがふとんから手を伸ばしアラームを切る
そして・・・静かな時間が流れ・・・
しばらくして、起き上がる「やばっ!二度寝した!」
階段を急いで駆け下りリビングへ、まず、なにをするか・・・
朝ごはんを作り始める
スクランブルエッグを作ってベーコンを焼いて食パンを焼いて
見事な朝食が出来上がる
「ふ~、できた・・・・」
と安心して・・・気づく
・・・・なんでだれも起きてこない?
階段の下から二階に向かって叫ぶ
「あかり!まどか!いつまで寝てんの!起きろー!」
2階でどたどたと音がして、長女のあかりが階段を転がるように降りてくる
あわてて着たせいか制服もゆるゆるで息を切らしながら叫んだ
「もう!なんで起こしてくれないのよー!」
「「え?起こしたじゃない?」
ゆかりが出来上がった朝食を指さして「いや、だからぁ!こんなすごい朝食を
作る前に起こしてくれなきゃ意味ないじゃん!」と叫ぶ
「あ・・・・それは・・・そうかも・・・」
「ああ、もうこんな時間、間に合わない・・・」と言いいあかりがリビングを
出て行こうとする、しかしなにかを思い出して立ち止まり
「あ!・・・3500円!」
「え?なに?3500円って?」
「言ったじゃん!昨日、検定代!3500円、いるって!」
「「え?そうだっけ?」
「もう!これだからお母さんは・・・」とあかりがいらいらと怒りをぶちまけようと
した時、後ろで「おねぇちゃ~ん、ま~た検定落ちたんだぁ~」とのんびりとした声がした
おどろいて二人がふりかえると次女のまどかがゆったりと朝ごはんを食べていた
あかりがちょっとトーンダウンして「そ・・そうよ、ま、だめだったんだけどね・・
でも、検定なんてのは何回も受けて合格するもんだし・・・」
「え!そういうもんなんだ」みきえがまじに受けて納得する
「そんなことないよ~、英検の3級でしょう、わたしのクラスのおさむ君なんか、一発で
受かったし~」とまどかがあいかわらずゆったりと朝ごはんを食べながら言う
「だって・・あの子は海外留学してたじゃん」
「してないよ~、外国に旅行してただけ~、しかも、行先は中国だし~」
「・・・中国だって英語、使うし・・・」とあかりが苦しい言い訳をした時、みきえが
二人の会話をさえぎり「ま・・・とにかく、あかり、間に合わない、早く学校
行きなさい、検定代は明日でいい?」
「わ、わかった、明日持ってくるって言っとく、じゃあ、行ってくる」とあかりが
リビングを飛び出して行った
「おねぇちゃんも、たいへんだな~、勉強できないのに、まぐれでいい高校受かったばっかしに~」あいかわらずゆった
りと落ち着いて朝ごはんを食べながらまどかがつぶやく
「あ・・あのさ、まどかは急がなくていいの?」みきえが心配そうに聞くと
「平気だよ、お母さんと一緒に行くから」
「でも・・お母さんと一緒に行っても間に合わないし・・・」
「お母さんが学校でちゃ~んと謝ってくれるから、遅刻しても怒られないんだ~」
「・・・・・・・」みきえが小さくためいきをついた