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先生、爆笑する

「あれ?刑事さん」


 あれから1週間がたった。今日は買い物に出かけていたのだが帰ってきたら家の前にあの刑事さん達がいた。


「お出かけ中でしたか」

「ええ、ちょっと買い物に。それで、今日も桜庭さんの件ですか?」

「はい。お時間いただけますか?」

「うーん、ちょっと電話してもいいですか?」

「構いませんよ」

「じゃあちょっと失礼します。・・・あ、浅葱さん?今書いているやつの締め切りってまだ余裕ありましたよね?え、ああ、そっか、そっちも書かないといけませんでしたね。分かりました、ありがとうございます。いや、実はまた刑事さん達がいらしてまして。あはは、大丈夫ですよ、私は何もしてなんですから。それじゃあ、また連絡します。お待たせしてすみません。とりあえず中へどうぞ」

「失礼します」





「どうぞ、コーヒーです」

「ありがとうございます」

「いいえ。あ、話しなんですけど仕事しながらでも良いですか?ちょっと締切近い仕事があるんで」


 2人にコーヒーを出し、パソコンを起動させながら訪ねた。


「構いませんよ。お忙しいのにすみません」

「ああ、いや、書くのは早い方なんで普段はそんなに忙しくないんですけどね。今回は急な短編の依頼が入ってたもので」

「短編ですか!」

「えっええ」


 予想以上の春川刑事の反応に一瞬たじろいでしまった。


「それは何かの雑誌ですか?それとも短編集とかですか?」

「『月刊金城』で新人の紹介をする予定が、その新人さんが締切に追われてそれどころじゃなくなったらしいので書くペースの早い私にその分のページを埋めるための短編の依頼がきたんです」

「締切が近いって事は来月号に掲載って事ですよね!」

「そうですね」

「うわー、絶対買わなきゃ!」

「春川!」

「あ、す、すみません」

「まったく、お前は何度同じ事をすれば気が済むんだ」

「すみません・・・」

「はぁ、すみません、高峰さん」

「いえ、私は嬉しいですかから構いませんよ」


 この2人の組み合わせは結構笑えるかもしれないな。春川刑事に意外と振り回されている神崎刑事についニヤニヤしてしまう。


「それで、今日は何をお聞きになりたいんですか?」

「あなたは以前伺った際に桜庭さんから口説かれていたが相手にしていなかったと仰いましたね」

「そうですね」

「ですが、その後の調査であなたと桜庭さんが恋人だったという話がでてきたんです。しかも、あなたの方から交際を迫ったと」

「・・・私と桜庭さんが恋人ですか?」

「ええ」

「くっ」

「く?」

「くっ、ふっ、あはははは。だ、駄目だ我慢できないっ、こ、恋人、あはははは、私と桜庭さんが恋人とか、何それ面白い。あはははははは」


 あまりにも意外な話しで堪え切れず私はお腹を抱えて笑ってしまった。


「あの、高峰さん?」

「ふ、ふふっ。ふー、すみません。あまりにも面白かったもので。えっと、それで私と桜庭さんが付き合ってたと。ふーん、それで?」


 何とか笑いは止めたが、あまりにも面白すぎて顔は笑顔のままだった。男女間のトラブルによる殺害を疑われているのは分かるがこれを笑わずにいられる訳がない。


「え?」

「え?」


 私が話しの続きを促すと戸惑った声が返ってきて、お互いに向き合いながら首を傾げてしまった。


「あ、いえ、その、あなたが仰っていた事と矛盾する証言が出てきた以上もう少しあなたに詳しいお話しを伺わなければいけないんです」

「詳しい話しと言ってもこの前話した以上の事なんてないんですけどねぇ」

「本当ですか?」

「ええ」

「では、桜庭さんが高峰さんの恋人だという話しは嘘だという事ですか?」


 今まで事件関係の質問をほとんどしてこなかった春川刑事が真面目な表情で質問してきた。色々と問題もあるみたいだけどやっぱり刑事って事か。


「嘘ですね。と言うかその話し出版社の人に話してみましたか?たぶん私同様に笑われると思いますよ」


 私の返答を聞いた2人が微妙そうな表情をした。ふーん、やっぱりそういう事か。私は思わずニヤリと笑った。



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