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トラフェオ ― 宿敵お嬢様と極道跡取りの因縁譚 ―  作者: Kai
第1話:封印された記録を求めて(前編)
1/1

プロローグ:宿敵の君と、知らない過去

 俺の名前は虎之助タイガ。高校二年生。

 そして、日本でも有数の勢力を持つ極道――虎組の跡取りだ。


 だが俺の人生は、権力や跡目争いだけでできているわけじゃない。

 俺の家には、何十年も続く“ある因縁”がある。


 炎凰組。


 その頭首の娘、炎凰フェオ――通称フェオは、俺にとって生まれながらの宿敵だ。


 不思議なことに、両家が五十年も憎み合っているにも関わらず、俺とフェオはなぜか小学生の頃からずっと同じクラス、しかも席が隣になることが多かった。


 顔を合わせれば口喧嘩。

 ことあるごとに張り合い、ぶつかり合い、意地を張る。


 まるで、家同士の因縁とは別の“何か”に縛られているみたいに。


 ◇◇◇


 ……なのに。


 俺は、あいつに惹かれている。


 炎のような赤みを帯びた金髪。

 お嬢様然とした気品の奥に隠れた勝ち気な性格。

 凛とした立ち姿と、目が合うだけで胸がざわつくあの視線。


 フェオは、否応なしに人を惹きつける存在だった。


 気づいたのはいつだったか。

 中学のどこかのタイミングで、俺はもう完全に恋に落ちていた。


 最悪だ。

 よりによって宿敵に。


 家同士が争っているのに、告白なんてできるわけがない。


 ◇◇◇


 だが今、俺にはそれより優先すべきことがある。


 今週末、俺は虎組の古い倉庫の掃除を任されている。


 ただの雑用のはずだった。

 だが、もしかするとそこに――


 この長年の因縁の真相が眠っているかもしれない。


 なぜ虎組は炎凰組を憎み続けているのか。

 なぜ、和解できなかったのか。


 その答えが。


 ◇◇◇


 五歳の頃、祖父に言われた言葉を今でも覚えている。


『タイガ、炎凰の人間には決して近づくな』


 低く、厳しい声だった。


『奴らは傲慢で、嘘つきで……決して信用してはならん』


 だが祖父は、それだけでは終わらなかった。


『四十年前――まだワシの父、お前の曾祖父が組を率いていた頃だ。虎組は炎凰組に裏切られた』


 その原因は、一人の女性だった。


 炎凰ミヤビ。

 かつて炎凰家の人間だったが、後に虎之助の姓を名乗った――俺の曾祖母。


 彼女は、虎組の象徴である聖遺物――


 “咆哮する虎のミスリル紋章”を持ち去った。


 それが、すべての始まりだった。


 だが祖父は最後に、意味深な言葉を残した。


『歴史……記録庫……古き遺物……』


 ◇◇◇


 記録庫。


 虎組の古文書は、あの古い倉庫に保管されているはずだ。


 もしかしたら俺は、

 家同士の憎しみの裏に隠された“本当の理由”を知ってしまうかもしれない。


 そしてそれは――


 フェオとの関係すら、変えてしまう真実かもしれない。


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