6話
現在改稿中。
この話から改稿前の文章が続きます。
「サラン、一撃で」
今度は敵兵達を一撃で消し炭にする様サランに命令を下す。
「了解っす!」
私からの命令を受けたサランは先程と同じく真紅の炎を産み出し、私の元へ近付いて来る敵兵目掛け放った。
サランが放った真紅の炎に包まれた敵兵は断末魔の叫びをあげる間も無く炭化した死体へと変貌させた。
即死だ。
……苦しまずに死なせてあげただけ感謝しなさい。
胸の奥底から溢れ出す晴らしきれない恨みの念を鎮静化させる為、私は心の中で呟く。
「ぐっ! おのれ敵兵め! だがしかし、貴様の居場所は分かったぞ! 覚悟しろっ」
今サランが放った炎の出所から敵兵に私の居場所をほぼ特定される。
こいつは、今さっき目を皿の様にし私の所在を探していた隊長か。コイツの命令によりセントラルジュ兵の多くが命を失った。
私の居所が見付かってしまうのは仕方が無い事。それにしてもこのゴミは気持ち悪い容姿、見るだけで吐き気を覚えてしまう。
……次はこいつを消し炭に、いえ、消しても消えない炎に包ませ、悶え苦しんでいるところ自然治癒をかけてやろうじゃない。
貴様達が我が国の兵へ行った事に比べればこの程度でも生温い位だ。
「サラン、奴に消しても消えない炎を纏わせなさい」
「了解っす!」
私の命令を受けたサランが、私の居所を見付けた敵隊長に向け炎の塊を一つ飛ばす。
先程と違い少々黄色みが掛かった炎の塊だ。
少しばかり特殊な印象が垣間見えるその炎が敵隊長の肩に着弾し、肩部を燃やす。
「ガーハッハッハ、その程度の炎! この対魔鎧を前に通用せぬわ!」
隊長が得意気に、自分が身に着けている防具の性能をしゃべり出す。
軍事機密を私に漏らすなんて馬鹿かコイツは。
それとも、その程度の情報を私に与えても楽に勝てると思っているのかしら? 随分と舐められたモノね。
「そう」
私は10M程離れた位置で軍事機密を漏らす人外に向け、自然治癒の魔法を発動させる。
この魔法もまた対象の人間が死ぬまで消える事の無く、奴が纏っている炎のダメージを丁度相殺出来る治癒力に調整。
奴は炎により全身を焼かれる苦しみを味わうが、奴の身体が受けた炎によるダメージはこの魔法で自動的に完治するようになる、つまり死にたくても死ねない地獄の苦しみを一生味合わせてやる事になる。
とは言え、奴が言う通り対魔鎧とやらのせいで炎によるダメージを受けている様には見えない。
けれど、一生その鎧を身に纏っている事も無かろう。それに、長時間炎に晒されていればいつかどこかで対魔鎧が壊れるだろう。
「なんだなんだぁ? 俺様に治癒魔法を掛けたぁ? へっへっへ、よく見たら嬢ちゃんいい女じゃねぇか、このまま殺しちまうのは勿体無ねぇ、ちょっと俺様と遊ぼうぜ?」
人外がゲスな笑みを浮かべながら私の元へと近付いて来る。
少しばかり身の危険を感じる、下らない痛めつけをせず素直に消し炭にするべきか。
私が小考すると、地の精霊アッスが勝手に姿を現し、
「今すぐあの防具溶かしましょうよ」
人外が身に着けている対魔鎧を溶かす旨を提案する。
「そうね、頼んだわ」
私の了承を受け、アッスは紫色の球体を産み出し人外が身に着けている対魔鎧目掛け放った。
「おいおいおい、随分と世間知らずな嬢ちゃんなこった、遊ぶって言うのは……」
アッスが放った紫色の球体が、人外が身に着ける対魔鎧に着弾した瞬間、ジュワーーーーと音を立て見るも分かり易くその鎧が溶け始める。
「私と遊ぼうと言ったのは貴方よ、私は貴方の意向に沿って素晴らしい踊りを踊らせてあげるだけ」
私はそっと自分の髪を左手で掻き揚げる。
アッスの魔法により人外が身に着けている鎧はみるみると溶けてゆきその防御性能を失ったのか、予めサランが奴の身体に展開させていた炎の熱が人外を襲っている様で、徐々に人外が苦悶の表情を浮かべる。
「ば、バカな!? 対魔鎧が溶けるだと!? この鎧はマギーガドルの技術を盗みマシンテーレと共同で開発した鎧だぞ!? 多数の実験を行ったがこの鎧を溶かす手段などなかった! なのに、何故溶ける!?」
人外にとって大層ご自慢の防具らしく、その鎧が溶かされているなど有り得無いと言いたげに吠えている。
「そう。なら私の精霊が貴方達よりも優秀だっただけね」
私は1つ不敵な笑みを見せる。
奴の身体を纏う炎がそろそろ真価を発揮する頃合いだ、まずはその喉が潰れるまで狂い叫ぶが良い。
「せ、精霊だと!? そ、そうだ、確かセントラルジュ国には天の才を受けたと称される精霊召喚使いが居ると聞く、王女フィアがその精霊召喚……ま、まさか貴様が!?」
人外が私の事に気付いたみたいだ。
今まで私の事をただの一般兵とでも思っていた? なら凄く滑稽な事ね。