41話
「ふぉっふぉっふぉ。ワシが知り得る噂に過ぎんがのぉ。セントラルジュ国の王女様は、死者を蘇らせる事が出来るそうな。ふと、王女様ならこの村の問題を解決出来ると思っただけじゃ」
この御爺さんはセントラルジュ国第一王女が蘇生魔法を扱える事を知っている。
いや、驚く事じゃ無い。私がセントラルジュ国一の神聖魔法の使い手であり、蘇生魔法を扱える事はセントラルジュ国民なら知っている人の方が多い以上は。
さて、どうしたものか。
お爺さんが言うこの村の問題とは、恐らくは謎の石像についてだと思う。
私自身、その問題が気になってこのお爺さんから情報を引き出そうと尋ねた訳。
そうなると、正体を明かした方が話を早く進められるかもしれないけれど?
「蘇生魔法ですか……? 私も村の石像を見受けたのですが……。人間が石像になる話は聞いた事がありません。ですので、その王女様の力で解決出来るかは難しいと思います」
「ほほ、たらればの話じゃぞい」
おじいさんがふと視線を落とす。
その視線の先は私の左手の甲付近だった。
そこに何があるかと言われれば、精々慈愛の紋章がある位ではある。
慈愛の紋章は人により発光していたりしていなかったり、その色も僅かに差があったり小さな差があるけれど、それだけで人を判別するのは難しいと思うが。
私は、この御爺さんから正体を見破られる可能性を意識する。
仮に見破られたとして、致命的に困る事は何かあるだろうか? いや、特に浮かばない。
仮に襲撃されたとしても、精霊達に頼めば済む話。
なら、急いでこのお爺さんから逃げる必要は無いだろう。
「そうでしたか」
しかし、私はこの村に居るかもしれない邪教徒についての情報、恐らくそれが関係しているであろう、石化している村人と思われる人達の情報が欲しいのだけど、今の話の流れでそれ等を切り出すのは難しいか?
「して、お嬢さん方。ワシを訪ねて来た、この村数少ない生存者であろうワシの下を訪ねてきた理由が、ちと気になるのじゃが。見た感じ元気そうじゃ、水や食料が不足している様には見えぬ、何か他の要因がある様に見えるがのぉ」
まるで私の選択肢を潰すかの様な言い方をする。
妙な違和感を覚えるが、どうしたものか。
「この村に多数ある石像が気になり情報を集めたいと思ったからです」
「ほう。お主、旅人にも拘らずそこを気にするのか、心優しき娘じゃのう、その様な娘今の時代意外と珍しいもんじゃ」
心優しい? 私の何処が? 私はただ、国民を助けなければならないから気に留めただけと一瞬思うもそんな事はどうでも良いし、そもそも私の正体を知らないお爺さんがそこまで分かるのは有り得ない。
さて、話の流れから、石像についての情報が得られそうな気がするけど。
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