33話
「けれど貴方、同じ様に命乞いをした人間の命を奪った事は無いのかしら? いえ、無いとは言わせない」
「あ、ある訳無い、断じてない、お頭に命令されたから仕方が無くっ、決して俺の意思じゃねぇ、だから、許してくれ王女様っ」
必死に命乞いをする山賊。
どうせこいつが言っている事は嘘でしょう。見ていて滑稽でしかない。
国家の秩序を乱す人間を許すべきではない、それ以前にこの手の輩を許してしまえば不意をつかれ逆に自分の命が危うくなる。
悪党とはそう言うもの。
「そう。来世はもっと良い人生を送られる事を願っておくわ」
私は、足を撃たれ満足に動けなくなった山賊の命乞いを無視し先の山賊と同じく冥具により喉を切り裂く。
山賊が何か言い掛け、その数秒後コイツもまた先の山賊と同じくその場に崩れ落ちた。
冥具の刃をチラ見すれば、やっぱりさっきよりも1cm長くなった気がした。
私は冥具を元の棒に戻し懐に収めると続いて聖銃で撃たれ絶命している2人の山賊に神聖蘇生を掛け蘇生させる。
聖銃の力により、この武器で絶命した人間を蘇生させた場合従順な下僕となる。これで従順な肉壁が2枚手に入った。
「フィア様! この俺に出来る事なら何でもする、何でも言ってくれっ」
胸を張り、ドンと胸を叩く頭目。
幾ら従順な下僕になったと言えど言葉遣いまでは変わらない様だ。
勿論命令すれば治すとは思うけど、正直どうでも良いし丁寧な言葉で話す山賊は逆に気持ち悪いので止めておく。
「はっはっは、お頭には叶いませんがあっしもフィア様の為に身体の1つ位張りますぜ」
こちらの山賊は、普段から頭目に対して丁寧な言葉を話しているのか穏やかな言葉遣いだった。何だか気持ち悪いので言葉の矯正をしたくなるけれど、それはそれで面倒な事になりそうだからやはり止めた方が良さそう。
「分かった。その時が来たら頼むわよ」
都合の良い肉壁が2枚手に入った。
さて、このままマギーガドルに向かうとしたい所だけど。
「フィア様! 折角ですので俺達のアジトでおもてなしをするぜ!」
「そうそう。フィア様、国が滅びたならあっしらが寝床の1つ提供しますぜ!」
死んでいた時に聞いた言葉は覚えている、それは今までもあった事だから別に良い。
もてなす、か。現在私の食料事情は良く無いか。干し肉等保存が効く食料どころか何一つ持ち合わせていない。精霊を使えば食料の調達は容易に出来るから深い考えはしていなかったのだけど。
山賊達がどんな生活をしているか気になるわね。
他者からの略奪、人身売買を繰り返す以上それとなく裕福であると思うのだけども、その辺り答えを擦り合わせる事は悪くないか。
「そうね。無理しない範囲でお願いするわ」
私は自分と2人の山賊に機動力を向上させる補助魔法を掛け歩行速度を上昇させた。
山賊達のアジトは今居る場所から4km程離れた場所にあった。
私の魔法のお陰で、10分と掛からずその場所へと辿り着いた。
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