第一話 転生
人から何かをしてもらいたかったらまずは自分からしろ
これは小さい頃に父さんが教えてくれた言葉だ。
幼稚園の頃に友達と喧嘩して泣いて帰ったときに父親から言われたんだ。
この時はなんでお父さんは僕の味方になってくれないんだと悲しかったんだ。
それから10年、いろいろあった
子供には無償の愛をひたすら注ぐべき派の母さんと
子供には厳しく育てていくという派の父さん
この両極端な性格はもともとで、それで二人がとても惹かれあったらしい
結婚当初は周囲からも評判のあつあつカップルだったが、子供が生まれると
うまくいかなくなった。
おれが小学校に上がるころには二人は離婚して母さんとの二人暮らしがはじまった
母さんはとてもきれいだったからか、一人で生きていく力がなかった。
それでもこれまでは言い寄る男性に上手に頼ることで生きてこれた、
だが俺がいることで言い寄ってくる男性はいても子供がいることを知って離れていく。
そんなことが続き、甘え上手で笑顔の絶えなかった母さんは変わった
働き、家のこともやりあきらかに疲弊していった
そんな母さんをずっと心配していたのだが、中学校にあがるときに一つの言葉を思い出した。
父さんの
人から何かをしてもらいたかったらまずは自分からしろ
だ。それから俺は掃除から、料理など家のこと全般をするようになった。
中学2年になるころから、格闘技をやることにした。
男親のいない家庭は暴力に悩まされることも多い。
警察に相談しても大事にならなければ動かないし、口頭注意だけでは
相手は反省するのではなく、隠すのがうまくなるのだ。
そうして中学三年になったころ僕は新聞配達のバイトを始めた。
本当は高校1年からじゃないと働けないのだが、できるだけ早く母さんの助けになりたかったからだ。
友だちからもらったボロボロの自転車があったからだ。
時給は500円、これが高いのか安いのかは知らないが当時のおれにはすごく高く感じた。
(当時の最低賃金1000円だと知るのはかなりさき)
そうしておれは高校にあがった