犬のグルメ
またまた遅れてしまいました。ただ予告通りまだ書き続けられているのは良かったと自分では思ってます!
私は犬だ。
そう、茶色い毛並みを持ち、他の犬に比べて尖った口を持った紛れもなくただの柴犬である。
皆様にお聞きしよう。一日中ほぼ同じ空間に閉じ込められるペットの我々にとって、楽しみはなんであるか?もちろん、この生活に不満を持っているわけではない。俺なんかが野生にいたら即死んでしまうだろう。
おっと話が逸れた。我々ペットが一日の中で楽しみにしているものはそう、人間の食事である。
通常、人間は私達に食べ物をくれず、ドッグフードだけだ。あれは不味くはないがいつも同じのだと流石に飽きる。そんな時に人が溢したものを即座に口に入れ、咀嚼するのだ。そうすれば今までに感じたことのない味が口に広がる。
では、今日のグルメを楽しみにするとしよう。
まずは起きたら純白のペットシートに私の水分で黄色に美しく染めてあげよう。ふふっ、飼い主の春が嫌そうな顔をして処理してやがる。
「もう、ジョニー!散歩行かせてあげるのにこんなにしちゃって〜。」
飼い主の春はピンク色の毛を持っていて、その名の通り、春の訪れを感じさせるような桜の匂いがする。そして、犬で言うとどこの部位かは知らんが、抱きしめられたときの豊満な弾力はたまらねぇぜ。
「ワン!」
適当に返事した私は尻尾を振りながら1階へと向かう。さあ、朝ご飯の時間だ。
私の様子を見た春は素敵な笑顔で追いかけてきては、皿にドッグフードを盛ってくれる。
ふん、まあこれは主食だ。人間で言うところのあの白い粒。名前は……こめ…?だったかな。
いつも通り、ザクッとした食感に加えてなんとも言えないような色々な食材を混ぜたような味が口中に広がる。
そして私の主人は……。
なんだ!?あれは!
所々に黒い点々があって、黄色い皮に囲まれた棒状の物体。なに!?皮を頂上から分割して…中から白い実が出てきただと!?
あの純白さ、まるで絶望する世界に微笑みを交わしに来た大天使のようだ!くそ、私も食いたい!
だが人と犬の間に生まれた高低差はどうしようもできない。時を待つのみだ。そう歯を噛み締めながら私は主人の姿を眺める。
「うん!朝バナナは美味しいな〜。あれ、ジョニーも食べたいの?う〜〜ん…そんな輝いた瞳を見せられたらな〜。」
なに、くれるとでも言うのか?ください!お願いします!
「う〜ん、お母さんもお父さんも仕事だし〜いっか!」
やったぜ!ナイス春ペアレンツ!イエス!
そして春様は純白の実を私の前に置いてくれる。この切れ端があの身の何十分の一だとしても、私はよく噛み締めて味わおうではないか。
そして、運命の針は動き出す。私は口の中にそっとバナナの実をいれる。
な、なんだとぉ!?何だこの感じたことのない甘みは。この鋭い犬歯がブドウ糖を抱えた爆弾の着火剤となり、口の中いや、喉の奥までにその甘みを投下してくるではないか!
噛めば噛むほど甘くなる!くそっ!よだれが止まらない!
「わー!美味しかった?ジョニー。」
そして、食後の主人の笑顔。ここまでが私の食事だ。
「ワン!」
「そっか!じゃあ運動がてらに散歩行っちゃおう!」
今日の首輪は何故だか緩く感じた。首に繋がれ、ピンと張った紐の最後尾は私の大天使様である春の手が握っていた。扉を開けると快晴の空から太陽が顔を出し、そこはバナナのように白く眩しい世界が広がっている。
きっと、今日もいい日になるだろう。
目を通してくださった方々。ありがとうございます!割と短編集のネタが不足気味で悩んでいたところにペットが視界に映りましたw
実際犬には安々とバナナは与えてはいけませんからね!?
気分転換的なノリで書いてみましたが別で書き続けるかもしれません。長編小説はまだ考案段階ですが今後とも是非よろしくお願いします!




