心理テストのようなもの
「先輩! 私の考案したオリジナル心理テストやってみませんか!?」
「どうせ、いつもみたいに俺がやるっていうまでゴネるつもりだろ」
「まずは白唄 心って10回言ってください!」
「……それ、10回クイズの間違いじゃないか?」
「いいですから、ゴチャゴチャ言ってないで早く早く!」
「白唄心、白唄心、白唄心……」
「へへ……」
「何照れてるんだよ」
「……いや、つい……先輩は今、薄暗い森の中で迷ってしまい途方に暮れています。すると、突然世にも恐ろしい怪物が現れ、襲い掛かってきました。もう駄目かと諦めた瞬間、間一髪のところで駆けつけた誰かがあなたを助けてくれました…………じゃあ、念のため、もう一度私の名前を10回どうぞ!」
「……なんとなくオチは読めたけど……白唄心、白唄心、白唄心……」
「さあ! 今頭に浮かんでいる人物の名前は!?」
「白唄」
「ふふふ……へえぇ……先輩、そうなんですね……えへへ……」
「おい、どこ行くんだよ! 一応ちゃんと解説しろ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「先輩! 心理テストしましょう!」
「また10回クイズじゃないだろうな?」
「違いますよ! 今回は本格的かつ実用的なテストですよ! なんと、先輩がどんなタイプの女性と付き合ったら幸せな人生を送ることができるか分かっちゃうという優れものなんです!」
「先にバラしてしまって大丈夫なのか?」
「問題なしです! では行きますよ! 先輩は今、太陽がじりじりと容赦なく照りつける広大な砂漠のど真ん中を、たった一人で彷徨っています。飲み水はとっくに尽きて、意識も既に朦朧としています」
「なぜ俺は毎回酷い目に遭っているんだ?」
「そこに一匹の大変可愛らしい動物が水筒をもって助けに来てくれました。その動物とはリス、ウサギ、犬、猫のうちどれでしょう?」
「……リスかな」
「おお! 素晴らしい! リスを選んだあなたは、一途にあなたのことを慕う年下の女性と結ばれることで幸せになれるでしょう!!」
「いや、ウサギも悪くないかもしれないな」
「ウサギを選んだあなたは、一見幼馴染と相性が良さそうに見えますが、小さい頃から一緒に居ることにより恋愛対象としてみることができず、たとえ付き合ったとしてもあまり長続きしないでしょう。それでも無理に結婚した場合、何だかんだで滅茶苦茶不幸になります。最悪死にます。一途にあなたのことを慕う年下の女性と結ばれるべきです!!」
「……ああ、残り二つはもういいや」
「まあまあ、そう言わずに。犬を選んだあなたは……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「先ぱ……じゃなくて、悠さん! ご卒業おめでとうございます! お祝いに心理テストしましょう!」
「結局心理テストなんだな」
「あなたは今から愛する人にプロポーズします。何と伝えますか?」
「……愛してる、結婚してくれ」
「おおぅ……全く捻りのないど直球ですね……でも悪くないです……」
「……お前と離れたくない。ずっと傍にいてほしい」
「ちょっと束縛しそうな雰囲気ありますが……そこがむしろいいかも……」
「……社宅は婚約者だったら同棲してもいいらしい。だから、荷造り始めてくれ」
「強引だけどリアルな感じが……」
「……いや、これは本気で言ってるんだが」
「……えっ……あぁ…………うぅ…………」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「きっとこれが最後の心理テストになりますね……あなたは今、どれくらい幸せですか?」
「……世界で一番の幸せ者だと思えるくらい、かな」
「……残念、はずれです……一番は私ですから……」
「なんだよ、それ。心理テストに正解なんてないだろ…………おい、心……」
「……悠さん……今まで……ありが……とう……」
「…………お前がいなくなったら、どのみち俺が一番になっちゃうじゃないか……そっちに行くまで、向こうで新しいテスト、たくさん準備しておいてくれよ……楽しみにしてるから……おやすみ心……愛してる……」




