閉ざされた令嬢はやがて真実の愛を知る(短編化)
『五百年続く家柄』と『王家に近い血筋』という二つのプライドの塊の両親をもつ公爵令嬢マリアンネ。乳母や周りの人たちによって高位貴族令嬢たちとは仲良くなるが、両親のおかげでことごとく見合いにも失敗してします。
気づいたときには世間では"行き遅れ"と言われはじめる年齢、十八歳になってしまうが、その年の社交シーズンで同い年でありながら同年代の女性たちの憧れである侯爵ギルベルトと再会する。
彼とは幼いときに会ったときに話しただけで、歴史が浅い侯爵家の彼のことを両親が嫌っていたため、一切話したことはなかった。
しかし、そんなマリアンネのことをいきなり『運命の人』と呼んだ彼はその場で彼女に求婚し、婚約のワルツを踊る。翌日に「女王陛下の許可は得たし、宰相補佐である俺との結婚にお前の両親も乗り気だ」と彼はマリアンネを自分の領地に連れていき、二人だけの結婚式を挙げる。
最初は慣れない環境やいきなり与えられた侯爵夫人という立場に戸惑うマリアンネだが、そこで自分が見てきただけではない世界を知り、彼の執事や侍女たちから領地のことや人間関係など様々なことを学んでいく。
その一方で、普段王宮に勤めているギルベルトとはほとんど喋ることはなく、本当は自分のことを好きではなく、ただ行き遅れかけていた自分を憐れんだから、そして自分の血筋目当てで結婚したのではないかとマリアンネは思い込んでいた。
しかしある時、書斎に彼への届け物を置きにいったとき、たまたま彼のスカーフ留が机の上に置かれているのに気づいた思わず手に取ってしまった彼女だが、その裏には【愛しのマリアンネ】と書かれていることに気づく。しかもそのスカーフ留は彼女の瞳の色と同じであり、彼がただただ打算的なもので結婚したわけでないのかと思うようになってくる。
そうは言ってもギルベルトと喋る時間があまりないマリアンネであり、執事たちにもその質問をすることはできなく、一人で悶々とした時間を過ごしていた。
そんな日々を過ごしていたある日、ギルベルトが王宮で大きな事件のために泊まりがけで不在となる。一人きりの彼女の元にやって来た隣国の王子エンリコはギルベルトがエンリコの国の王女と新たに婚約したということを告げ、そのためにマリアンネとは別れる手筈になってること、そして離婚した後の彼女を娶りたいと言ってきた。
過去にギルベルトと婚約していたという"マリアンネ"という女性のことも聞かされた彼女は再び気持ちが揺らぎはじめ、どうするべきなのか迷いはじめる。
彼女に与えられた期限は三日。二日目の夜、近くの伯爵家の夜会に招かれたマリアンネはエンリコと強引に踊らされるが、ちっとも楽しくはなかった。
その晩、夢の中でギルベルト似の騎士とワルツを踊ったマリアンネはギルベルトのことを好きであると認識する。
翌日の昼、彼女は正式にエンリコの誘いを断るのだが、ちょうどそのときギルベルトが現れる。タイミングの良すぎる展開にエンリコはマリアンネが断ったのは指図であったのではと疑うが、それを一蹴するギルベルト。
そればかりかエンリコが彼女と結婚すると、こちらの国の血筋を得るという"大きな駒"によってエンリコが兄王子を廃そうと画策したこと、そしてその手引きをしたのがマリアンネの両親だということを明かし、彼女の両親はすでに捕らえたことを告げ、その場でエンリコも捕える。連れていかれるときにエンリコは彼女に打算なしでの恋心を告げるが、彼女は一切取り合わなかった。
すべてが終わったあとギルベルトはマリアンネにすべての種明かしをする。
『彼女を一人きりにして、自分とあまり喋らないようにした』のはエンリコや彼女の両親の油断を誘うため、『無理矢理のように領地に連れてきた』のは彼女の両親の影響を減らすため、彼女により広い世界を知ってもらうため、そして『彼女に「運命の人」と言った』のは本音であり、出会った時から彼女のことが好きだったものの高嶺の花で自分からアプローチすることが出来なかったので、この大かがりな仕掛けになってしまったものの、そうでなくとも最終的には攫うつもりであったと。そして『過去にギルベルトと婚約していたという"マリアンネ"という女性』はおらず、マリアンネ自身の両親が流した嘘であると。
そして、これからはきちんと言葉にして愛情をたっぷりと伝えていくと、あらためてプロポーズする。
彼女もきちんとギルベルトに昔から好きだったことを伝えて、自分を連れだしてくれたことを感謝し、今まで以上に侯爵夫人として彼を手伝うことを誓う。
これで十〜十五万くらいかな…?
とはいえこれでお月様版も挑戦してみたい気もするので、そうすると全年齢版プラス三万字くらいかな。
うまく書ければいいんだけど…:;(∩´﹏`∩);: