32.
転移した俺たちは、城へと転移する前に、自分で掘った穴とトライゾンが掘ったであろう、洞窟を土魔法で埋める事にした。
洞窟は、かなり深かったため、放っておくと、地盤が沈むかもしれないからだ。せっかく黒幕を倒したのに、国がなくなったら意味がない。
「こんなもんかな。」
「何から何まで、すみません。」
「いいよ。それじゃあ、帰ろうか。」
「はい。」
再び、城に転移した。特別に城への転移の許可は頂いている。
「!?」
そこには、咄嗟に剣を構えた、ロワさんが、いた。
まずい、転移前に、念話するの忘れてた。
「急に、すみません。」
「なんだ、カズハくんとカトレアだったか。大丈夫だ。それで、帰ってきたと言うことは、何か分かったんだね?」
俺は、これまであった事を説明する。
「そうか…」
少し、考えた後、ロワさんが、頭を下げる。
「本当にありがとう。」
「!! 頭をあげて下さいロワさん。」
中々、頭をあげない、ロワさんを説得するのに、時間を要した。
「本当にありがとう。部屋を用意してある。今日は、ゆっくり休むといい。」
「ありがとうございます。」
そう言い、俺たちは執務室をあとにし、メイドに連れられ、部屋に案内させる。
「今日は、色々あったな。」
「そうですね。疲れました。」
他愛ない話をし、そのまま気づいたら、寝ていた。
コンコン
俺たちは、ノックの音で目が覚めた。
「すみません、少しお待ち下さい。」
手早く身支度を整え、ドアを開ける。
そこには、ロワさんとフラウさんがいた。
「お母様、もう大丈夫なのですか?」
「あらあら、カトレアは心配性ね。歩くくらいなら、もう大丈夫よ。」
俺は、ロワさんたちを部屋に招き入れる。
心当たりはあるが、要件を尋ねる。
「今日は、どうされたのでしょう?」
「先程、部下から報告があった。街で石化していた住民たちが皆、石化がとけ、意識を取り戻したと。」
「そうですか。」
昨日の夜、街全体に回復魔法"パーフェクト・リカバリー"を発動しておいた。無論、石化を完全に解除するためだ。地下の魔法陣を壊したから、もう石化することは、無いだろう。
「私は、カズハくんが何かしたのではないかと思っている。」
「相談せず、すみません。昨日、街全体に回復魔法をかけました。」
「頭をあげたまえ、謝ることはない。とても感謝している。」
「ありがとうございます。」
その後も、今後について話し合った。
「それで、カトレアは今後どうするの?」
「私ですか?」
「えぇ。この国の王女としてこの街に残るの?それとも…」
「王女の私は、300年前に、死にました。今の私は、ただの冒険者です。だから、私はカズハに着いていきます。」
「そう。だ、そうよ。あなた」
「あぁ。カトレア元気でいるんだよ。」
「あ…ありがとう…ございます…お父様、お母様。」
カトレアたちは、泣きながら、抱き合う。




