3.目標
俺は、準備をして宿屋へむかう。
今からむかう、宿屋"安らぎ亭"は、両親の知り合い夫婦と、お昼から仕事に来る女性で、切り盛りしている。
料理人兼ご主人のピースは、40代の気さくな優しいおじさん。
女将のアンさんも、40代のおばさんなのだか、見た目は、20代後半のお姉さんみたいな見た目をしている。今までは、特に気にしなかったが、今思い返せば、結構謎だ。
この宿屋は、冒険者のお客さんでいつも賑わっている。
なぜ、この町に、冒険者が多いかというと、近くにダンジョンや大森林があるからである。
ダンジョンとは、突然出現する洞窟や塔などである。数多くの、モンスターや宝箱があると言われている。ダンジョンで倒したモンスターは、光の粒子になって消え、たまに、ドロップアイテムを落とそうだ。しかも、モンスターや宝箱は、一定の期間がたったら、ランダムで復活するそうだ。
また、ダンジョン内のモンスターが外に出ることはできないようなので、ダンジョンの近くには、結構村や町などがある。
ここのダンジョンは、洞窟型の5階層からなっているみたいだ。なぜ、5階層と判明しているかと言うと、ここは攻略済みだからだ。
普通は、1階層ごとに、次の階層と外へ出る転移魔法陣の部屋があるみたいだが、ここの5階層のボスを倒すと、外へ出られる、転移魔法陣しか出現しないらしい。
また、ランクの高いモンスターは、3~4階層から出現するため、1~2階層は新人の冒険者が多く、それより下の階層になると一定の収入を稼ぐベテラン冒険者が多くなっているようだ。
大森林には、薬草や貴重な植物などが育生しており、冒険者の収入源になっている。モンスターも生息しているが、冒険者達が薬草採取する時や町の依頼などで、モンスターを定期的に倒しているため、そこまで、多くはいないみたいだ。
ただ、町に滞在する冒険者もあまり中腹や奥まで、行かない。奥には、厄介なモンスターが多数生息しているからだ。
なぜ、こんなにも詳しいかと言うと、冒険者に憧れている俺は、色々なことを教えてもらっているからだ。そのため、ここらの冒険者並みに、詳しくなっている。
そんなことを、思いながら、安らぎ亭に到着した。
いつも通り、裏口から入り、受け付けにいる女将さんに「おはようございます。」と挨拶をする。
女将さんも、笑顔で「おはよう。いつも早いねぇ。」と挨拶をしてくれる。
記憶を思い出したせいか、いつもしている挨拶も、何だか、懐かしく感じながら、仕事に取りかかる。
仕事といっても、掃除など、子供の俺でも、出来ることだけをやっている。
いつも昼前には、仕事は終わる。
その後、ピースさんがいつも、簡単な料理を出してくれる、それ感謝しながらいただく。
その後は、女将さんに、挨拶を済ませ、そのまま家に帰る。
家に帰りついた俺は、今後について考える。
俺は、この世界に転生したが、なぜ転生したのかわからない。まぁ、神様に会ったわけでもないので、わかるはずもない。
しかし、転生したからには、この世界を旅し、楽しみたいと思っている。
読み書きについては、女将さんに教えてもらい、ある程度はわかるし、剣術も母親のおじさんに教えてもらっていたので、少しは使える。
そう考えると、やはり冒険者が一番ではないかと、行き着いてしまう。
登録できるまで、まだ、2年もある。
俺は、今後の目標は、レベル上げと旅の資金を稼ぐことに決めた。
まずはレベル上げについては、この世界では、大まかなレベル上げが2種類ある。
1つ目は、代表的な、モンスターを倒して、経験値を稼ぐ方法。
2つ目は、知識を身に付けることで、僅かに経験値を稼ぐ方法。
他にも、あるが、大まかな方法がこの2つとなっている。
だから俺も、この歳で、少しはレベルが上がっているのだ。
今後は、もう少しレベルをあげたいから、知識を身に付けつつ、モンスターを倒すことも、視野に入れなければならない。
幸い、武器や防具は剣術の訓練の際に、使用していたものがある。手入れは毎日欠かさずにやっていた為、使用できるはずだ。
大森林の方で、ある程度経験を積んでから、ダンジョンに、挑みたい。
そうと、決まれば、俺は、皮鎧を着て、ショートソードを持ち、大森林へとむかった。