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23.手がかり

 俺たちは、シュイヴァンにむけて、出発した。

 皆の姿が、見えなくなったところで、一度止まる。


「どうしたの?」


 とカトレアが尋ねてくる。


「出発前にいいものを作ったんだ。」


 そう言い、俺は、異次元ボックスから、1体のゴーレムと商人などが使う馬車の荷台を取り出す。

 神の祝福を頼りに、裏階層から、入手した鉱物を掛け合わせ、アダマンタイトを造り出した。

 それを素材にし、馬型のゴーレムを造り出した。

 荷台は、時間がある際に、購入し、中も所々いじくってある。

 ゴーレムと荷台を繋ぎ、馬車を作る。

 ゴーレムには、完全偽装を施し、周りからは、馬に見えるようにしておく。

 カトレアに荷台に乗ってもらい、俺は、御者の役目をする。実際は、ゴーレムが勝手に判断してくれるため、御者はいらないのだが、それだと怪しがられるかも知れないため、一応乗っておく。

 御者に飽きたら、一応造っている人型のゴーレムと変わる予定だ。

 俺は、カトレアと話をしながら、馬車を走らす。


 野宿や村での宿泊をしながら、シュイヴァンにむかい、途中何事もなく、たどり着いた。


 俺は、シュイヴァンの大きさに驚いた。

 シュイヴァンはトータスの2倍以上大きかった。

 つく前には、馬車を異次元ボックスに直し、入り口へと並んだ。審査があるようで、かなりの人数が並んでいるようだ。

 しばらくして、俺たちの順番が回ってきた。


「ようこそ、シュイヴァンへ。身分を証明するものは、持っているだろうか?」


 門兵の男性に聞かれ、冒険者のギルドカードを提示した。

 ギルドカードを返してもらい、その後も、少し質問を受け答えし、中には入れれるようになった。


「では、改めて、王都・シュイヴァンへようこそ。」


 中に入って、俺は、さらに驚いた。

 初めて、獣人たちを目撃したからだ。

 獣人とは、見た目は人に近いのだが、耳や尻尾などの特徴がある人たちのことだ。

 猫耳や犬耳など、様々な種類の獣人たちがいた。

 存在することは、知っていたが、やはり実物をみると、衝撃を受けた。

 入り口のところで、止まっていることに気づいた俺は、急いで進む。

 審査を待つ間に、時間を食ってしまったようで、図書館は、もう閉まっているみたいだった。

 俺たちは、宿屋を探す。

 図書館の近くに良さげな宿屋があったため、そこには入り、ベッドが二つある大きめの部屋を借りた。ついでに、夕食も宿屋で済ませた。

 夕食を食べ終えた後は、部屋に戻り明日について話し合う。


「今日は、早めに寝て、朝早くから、調べようと思うんだけど、どうする?」


「それで、大丈夫。」


「了解。それじゃあ休もうか。おやすみ。」


「おやすみなさい。」


 俺たちは、ベッドに入り、休んだ。



 次の日から、俺たちは、図書館で調べものをした。

 俺はまず、この世界の地理について調べた。

 俺が今いる国、王都・シュイヴァン

 闘技場などが盛んな、帝国・アンピール

 獣人やエルフなど様々な種族からなる、亜人国・ノンブルー

 聖女がいる、聖国・サントナシオン

 各国の商品が立ち並ぶ、商国・コメルサン

 魔王が統べる、魔王国・アンプルール

 謎の多い、東の国・エスト

 が主だった国のようだ。

 しかも、今は昔と違い、魔王率いる魔族などとの争いもないようだった。

 そんな事も、調べながら、日の最後には、お互い調べたことを、共有しつつ、数日間、通いつめた。


 結果、バンパイアの国は亜人国の端の方にしっかりとあるようだった。一応、亜人国の傘下のようだった。

 それが分かったとき、俺たちは、共に喜んだ。

 しかし、まだ、カトレアの両親が生きているのか、分からないため、再度、気持ちを引き締め、行き方などを、調べた。

 丁度、明日亜人国行きのキャラバンが出発するようだ。それに、同行させてもらおうと思う。

 その後は、途中で別れ、自前の馬車で、バンパイアの国・バレンシアを目指す予定だ。

 そうと決まれば、俺たちは、キャラバンの元締めの人のところへ行き、明日のキャラバンに同行できないか、確認しに行く。

 元締めはテットさんというそうだ。

 テットさんは、聞くところによると、シュイヴァン1の商人のようだ。

 テットさんが経営する商店へと足を運んだ。

 受付の女性に、テットさんに会えないか、聞いてみる。

 子供だから、相手にしてもらえないかなと、思っていたが、予想とは違い、受付の女性は丁寧な対応をとってくれた。女性の名前は、ファムさんというらしい。

 ファムさんより確認をとってもらうと、今、時間があるとの事で、会ってくれるそうだ。

 ファムさんに案内され、広い部屋に通された。

 そこには、30代くらいの優しそうな顔の男性が座っていた。

 彼が、テットさんだろう。

 椅子を勧められたため、着席する。

 ファムさんは、退出する。


「改めて、私がこの商会の会頭のテット・ヘンドラーです。今日はどのようなご用件で?」


 俺は、挨拶を済ませ、明日のキャラバンに途中まで同行したい事を伝える。

 テットさんは、快く了承してくれた。集合場所は正面入り口で出発は、明日の昼とのこと。

 テットさんにお礼を伝え、疑問に思っている事を尋ねてみた。


「なんで、見ず知らずの子供に会ってくれたんですか?」


 テットさんは、笑顔を絶さないまま、答えてくれた。


「私は、人との繋がりをとても大切だと思っている。例え、それが子供でもね。だから、私は出来る限りその人と会うことしているんだよ。」


 それを聞き、納得した。

 そして、本当にいい人なんだぁと、思ってしまった。


「話はこれで終わりかな?」


 テットさんがそう聞いてきたため、俺は、裏階層で集めた素材を売却することにした。トータスのギルドでは、怪しまれそうなので、そのまま手元に残していたのだ。

 テットさんは、素材を取り出した際は、とても驚いていたが、すぐに商人の顔になり、買い取ってくれた。

 出どこなども、尋ねてくることもなかった。

 お金を受け取った俺は、改めて、お礼をいい退出していった。

 退出した後は、食材などを買い込み、宿へ戻った。

 ご飯を済ませ、そのまま休んだ。

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