21.地上へ
目覚めた俺は、彼女を確認する。
まだ、起きていないようだ。
オグルたちに、確認するも、俺が寝ている際に、目覚めた様子は無いらしい。
とりあえず、目覚めるのを待つ間に、ご飯を済ませることにした。
少しして、彼女が目を覚ました。
体を起こした、彼女は、辺りを見渡す。
俺と目が合い、首をかしげて、聞いてくる。
「貴方は、誰ですか?」
俺は、今までの経緯を話す前に、まず自己紹介を行う。
そしてここが、トータスにあるダンジョンの裏階層であること。その最下階層で氷漬けの貴方を発見し救出したことなどを話す。
話を聞いていた、彼女は理解したのか、すこし悲しげな顔のまま、お礼をいってきた。
「そうですが。助けていただいてありがとうございます。」
俺は、なぜ悲しい顔をしたのか気になって、話してはくれないだろうと思いつつも、ついつい彼女事について尋ねてしまった。
すると彼女は、
「助けていただいたお礼もありますし、わかりました。私のこれまでの経緯を貴方に、話しましょう。」
「改めて、私の名前は、カトレア・バレンシアです。」
と、思ったよりあっさりと自分の事について教えてくれるようだ。
今までの出来事を自分で確認していくかのように、俺に語ってくれた。
最後まで、話終えると、彼女…カトレアは、大粒の涙を溜め込みながら、膝を抱えていた。
話を要約すると、今から、300年ほど前まで遡る。なぜ300年前かと言うと、カトレアが覚えていた、日からざっと計算して、そのくらい経っていたからだ。
カトレアは、バンパイアが作ったとされる小さな国の、王女として生まれた。幼い頃から、戦闘訓練をしてきたカトレアは、いつの間にか、その国で最強の1人になっていたようだ。
ある日カトレアが出かけている際に、親の側近が、クーデターをおこした。それを聞き、駆けつけたカトレアは、粗方の首謀者を捕まえ、両親の元へむかった。しかし、最後の最後に、不意打ちで、魔道具をくらってしまい、氷漬けにされたそうだ。両親の安否は分からないらし、なぜこんな場所にいたのかさえ、分からないらしい。
話を聞き終え、なぜカトレアが、あんなに悲しげな顔をしたのか理解した。
俺は、自分で自分を殴りたい気分に襲われた。
しかし、それ以上に、悲しんでいるカトレアを慰めたいと思ってしまった俺は、気づいたら、口が勝手に、動いていた。
「俺が、君を守って見せる。どんな事があっても、俺が必ず、そばにいてあげる。」
カトレアをみると、最初はポカーンとしていたが、少しして、顔を赤らめてから伏せる。
そして、小さな声で、「ありがとう。」と言った。
恥ずかしくなった俺は、話を変えるため、今後どうするのか、カトレアに尋ねた。
すると、カトレアは、俺の目を見て、
「貴方に着いていくわ。」と、
満面の笑みでそう言われた。
俺は、その笑顔に心を奪われてしまった。
そして、絶対、この笑顔を守ってみせると、心に誓った。
その後も、オグルたちを紹介したりしながら、しばらく、カトレアと話を続けた。
試しに、神の祝福で生存を確認してみたが、そこまでは分からなかった。
最終的に、俺と旅をしながら両親の情報を探すと言うことになった。
話がまとまると、裏階層を出ることにした。
出る前に、俺は、異次元ボックスから、女神の細剣と偽神の首飾りをカトレアに、手渡した。
話のなかで、カトレアの使用武器が細剣だと判明していたからだ。首飾りは、ステータスを誤魔化すためだ。
「これは?」
首をかしげ、聞いてくる。
アイテムの説明を行った。最初は受け取らなかったが、説得すると、受け取ってくれた。
装備し終えると、部屋を出て、転移魔法陣の上に乗り、地上へと出た。
地上に出ると、夜だった。
久しぶりに、出た気がすると思ったら、そういえば、もう2年近く潜っていたことを、思い出す。
そりゃ、久しぶりにもなるわなと思いながらも、カトレアとトータスへ帰った。
トータスへ帰りたいた俺は、夜も更けているため、アンさんたちへの挨拶は明日でいいだろうと思い、自分の家に直行した。
家に帰りついた俺は、2年くらい放置していたから、まずは、掃除からかなと思いながら、玄関を開ける。
ホコリなど全くなかった。
たぶん、アンさんが掃除をしてくれていたのだろう。心のなかで感謝し、カトレアを中に入れる。
何か、珍しいものでもあるのか、カトレアは、キョロキョロと辺りを見渡している。
「どうかしたかい?」と尋ねる。
「いえ…その…男の子の家は初めてなので…」
少し顔を赤らめながらそう言ってきた。
何だか、俺も恥ずかしくなりながらも、カトレアを座らせてから、ご飯の用意を始める。
始めようとした際に、カトレアも手伝ってくれるとの事で、胃の負担にならないように、胃に優しいものをいっしょに作った。
カトレアの料理スキルのおかげが、いつもより美味しかった。
ご飯を済ませから、少し間を開けてから、時間も遅いため、休むことにした。
寝る前に、「おやすみ。」と俺が言うと、
「おやすみなさい。」とカトレアが返してくる。
久々の人のぬくもりを感じながら、 俺たちは、眠りについた。




