バカ対アホ
「なんじゃこらあ!」
「やるんかテメェ!」
バカとアホが喧嘩を始めた。周りの人は迷惑そうだ。
「お前、マジで殺すぞ、オイ」
「んだとワレェ! テメェこそその面打ち抜くぞ、おいぃ!」
二人とも気が立ちまくっていた。
こんな一触即発な喧嘩は繁華街では珍しくないことだ。
だが、彼等はそんな連中とはまるで違うところがあった。
彼等は、一歩先を見て喧嘩しているのである。
「死ねぇ」
「お前が死ねぇ」
睨みあっている最中、バカはふいに考え事が浮かんだ。
「(そういや、明日はスーパーでバニラアイスが安いんだよなぁ。また寝坊しないようにしなきゃ)」
うんうんと頷くバカ。
一方で、アホも考えていた。
「(絶対明後日のバイト忘れないようにしなきゃ。この間は忘れてエライめにあったからな。ところで、次のバイトはいつだっけ)」
アホが悩む中、バカはまた一つ思案事が増えていた。
「(うーん。なんだったかな。ど忘れしちまった。釣りボケ日誌の主演の人の名前、思いだせん。ソーさんだったかな、いや、それは嫁さんの名前や、えーっと)」
アホは、ただでさえ悩んでいるのにさらに悩んでいた。
「(ダンゴムシの丸々機能って、どう考えてもいらんよなあ。毒でないし、硬くもないし、鳥に食われたら飴玉みたいに食われちゃうんと違うかなぁ)」
バカは思った。
「(そういや、なんで俺ここにいるんだ?)」
アホも思った。
「(俺何してたんだっけ?)」
そうこう考えているうちに、二人は別々に歩き始めた。
バカは、考え事をしながら、今日の夕飯を想像していた。
今日の夕飯は、豪華に金を使った焼肉だ。
安アパートで一人寂しくバーベキュー。寂しいけどそこは忘れて食べることにしている。バカだから。
ウキウキしながらバカが歩いていて、ふと気がついた。
そうだ、今所持金は千円しかないのだった。
どうしよう、これじゃ全ての材料を揃えられない。バカなのに悩むバカ。
ああ、そうだ。パチンコに賭けよう。
しばらく仕事のないバカに出来る金稼ぎといったら、それしかない。
バカは、パチンコ屋の前に並んだ。
すると同時に列へ入り込んできた奴がいた。アホだ。
「おい、俺が先に並んだんじゃ」
「はあ? 先に足を滑りこませたのは俺じゃ」
「何いうてる、誰だか知らんが、ウソつくと容赦せんぞ」
「お前、俺を誰と心得てそんな口利いてんねん。首へし折るぞ?」
二人とも顔は覚えていなかったので、初対面のようなやりとりだ。
「なんじゃこらあ!」
「やるんかテメェ!」
バカとアホが喧嘩を始めた。周りの人は迷惑そうだ。
「お前、マジで殺すぞ、オイ」
「んだとワレェ! テメェこそその面打ち抜くぞ、おいぃ!」
二人とも気が立ちまくっていた。
こんな一触即発な喧嘩は繁華街では珍しくないことだ。
だが、彼等はそんな連中とはまるで違うところがあった。
彼等は、一歩先を見て喧嘩しているのである。
「死ねぇ」
「お前が死ねぇ」
睨みあっている最中、バカはふいに考え事が浮かんだ。
「(そういや、明日はスーパーでバニラアイスが安いんだよなぁ。また寝坊しないようにしなきゃ)」
うんうんと頷くバカ。
一方で、アホも考えていた。
「(絶対明後日のバイト忘れないようにしなきゃ。この間は忘れてエライめにあったからな。ところで、次のバイトはいつだっけ)」
アホが悩む中、バカはまた一つ思案事が増えていた。
「(うーん。なんだったかな。ど忘れしちまった。釣りボケ日誌の主演の人の名前、思いだせん。ソーさんだったかな、いや、それは嫁さんの名前や、えーっと)」
アホは、ただでさえ悩んでいるのにさらに悩んでいた。
「(ダンゴムシの丸々機能って、どう考えてもいらんよなあ。毒でないし、硬くもないし、鳥に食われたら飴玉みたいに食われちゃうんと違うかなぁ)」
バカは思った。
「(そういや、なんで俺ここにいるんだ?)」
アホも思った。
「(俺何してたんだっけ?)」
そうこう考えているうちに、二人は別々に歩き始めた。
アホは、考え事をしながら、一週間前のパンの耳の味を思い出していた。
パン屋の店主からもらったパンの耳。タダでもらったカリカリの耳。
あまりにも貧しくて空しい食事だが、そこは忘れて食べることにしている。アホだから。
ウキウキしながらアホが歩いていて、ふと気がついた。
懐に千円ある! 千円ありゃパチンコいけるじゃないか!
どうしよう、せっかくの千円だし、スったらやないよなあ。アホなのに悩むアホ。
仕方ない。パチンコに賭けよう。
実は失敗続きで後が無いバイトの賃金より、ギャンブルで稼いだほうが早い。
アホは、パチンコ屋の前に並んだ。
すると同時に列へ入り込んできた奴がいた。バカだ。
「おい、俺が先に並んだんじゃ」
「はあ? 先に足を滑りこませたのは俺じゃ」
「何いうてる、誰だか知らんが、ウソつくと容赦せんぞ」
「お前、俺を誰と心得てそんな口利いてんねん。首へし折るぞ?」
二人とも顔は覚えていなかったので、初対面のようなやりとりだ。
「なんじゃこらあ!」
「やるんかテメェ!」
バカとアホが喧嘩を始めた。周りの人は迷惑そうだ。
バカが考えなしに物を書くとこうなる。リハビリにもならなかった。