負けた奴がアイスおごりってことで。
500文字小説です。
「なぁ、今から競走しよーぜ」
「よし。じゃあ先に家に着いた方が勝ち。それでいいか?」
「あぁ、いいよ」
「なら負けた奴がアイスおごりってことで」
「OK」
そう言い、両者は走り出した。舗装されたアスファルトの道を勢いよく駆けていく。
やがて一方が自宅の前に到着した。
勝ったのは、ポメラニアンの犬だった。
負けたチワワの犬は、悔しそうに言った。
「お前、速ぇーよ」
「へへ(笑)」
「ていうか、俺たちの飼い主、遅くね?」
「ああ、忘れてた。散歩の途中だったね。どっかに置いてきちゃった」
「よし、飼い主にアイスおごらせるか」
「いいね。三着でビリだしね」
二匹の犬が喋っていると、やがて飼い主の男性が戻ってきた。
「あぁ~もう、こんなところに居たの」
飼い主は息を切らしている。どうやら、ペットを追いかけて町中を走り回っていたらしい。
そんな飼い主のもとへ、二匹のペットが駆け寄った。
「なになに、こんなにシッポ振っちゃって~。そんなにお散歩が楽しかったのか? よしよし、可愛いね。そうだ! 君たちにアイスを食べさせてあげよう! 大好物だよね。はい、じゃー家の中に入ろうね」
飼い主のその言葉を聞いた犬たちは、互いの顔を見合わせ嬉しそうに笑った。
※このあと飼い主が与えたのは、犬用のアイスです。健康には問題ありません。
読んでくださり、ありがとうございました(^-^)