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別次元へ

私の名前は“アオ”。突然だけど私は今、恐らく別の次元にいる。でなければ、最新機器がならぶ研究施設からこんな暗い森の中に、しかも目の前にはゴリラのような巨大な怪物がいるような森にいないだろう。


とりあえず、何故このようになったのか順を追って説明しよう。



私は様々な分野の研究・開発を進める研究所、その分野の一つ『超能力開発部門』で超能力者サイキッカーとして研究・育成されていた子供の一人だった。もちろん私以外にも超能力者の子供たちは大勢いた。

けど突然その子供達の一部が反旗を翻して研究所を襲撃した。私はその勢力に加担していなかったから、その子供達と対立することになった。


その最中。『次元研究部門』で異次元に干渉する部門の施設。その中でも最重要としていた『次元干渉装置』に超能力者の子供達の攻撃が被弾。装置は超能力の念動力が作用して暴走してしまった。そして、次元爆発が起こってしまい、私はそれに巻き込まれてしまった。



そして、今に至る。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「グラァァァ‼︎」


ゴリラの怪物が私めがけて巨大な拳を振り下ろしてきた。私はそれをとっさにかわした。


「グルルッ‼︎」


ゴリラの怪物は怒り狂ったように再び私に向けて何度も何度も殴りかかってきた。


「ハッ!」


私はゴリラの怪物に手を向けた。すると私の目の前に六角形の半透明な蒼いバリアが現れた。念動力のバリアだ。怪物の攻撃は私に当たらず、全てバリアに防がれた。


「ゴルゥアアア‼︎」


全て防がれたことにイラだったのか、怪物はさらに殴りかかってくる。流石に何度も殴られたらこちらのバリアも破れてしまう。


「悪いけど…」


私は怪物の頭上へと跳躍し、


「ヤァッ!」


新たに作ったバリアを使って怪物を思いっきり押しつぶした。


「グルル…」


力なく怪物は気を失った。


「ふぅ…」


パチパチ…


私が一息ついたと思うと、どこからか拍手が聞こえた。


「すごいよ。たった一人でグランドコングを倒しちゃうなんて」


木の陰から黒髪の女の子が現れた。ていうかさっきの怪物、グランドコングって言うんだ。


「誰?」

「自己紹介が遅れたね。私はルート。しがない冒険家だよ」


ルートと名乗った女の子はゆっくりと私に近づいてきた。


「あなたの名前は?」

「アオ。いつから見てたの?」


少し警戒して聞いてみた。


「バリアみたいなのを張ってたあたりかな?ねぇ!さっきのバリアってなんなの?見たことない能力だったからさ!」


ルートは興味津々に聞いてきた。


「超能力」


私はそう答えた。


「超能力?魔法じゃなくて?」


魔法?なんのことだろう。


「魔法がなんなのかは知らないけど、超能力」

「え、アオ…ちゃん「普通にアオでいい」…アオ、魔法を知らないの?」


ルートは心底驚いていた。私が魔法のことを知らないのがよほど驚く事なのだろう。


「ていうかアオはどこから来たの?感じからして…央都から?」

「央都…何なのそれ?」

「え…央都も知らないって…ねぇアオ、あなた一体何者なの?」


返答に迷った。別次元からやって来たなんて言っても簡単に信用してもらえるとは思えない。私は何も答える事が出来なかった。


「……………」

「答えにくいんだったら無理に言わなくてもいいよ。それでアオはどこか行くあてとかあるの?」

「ない。ここの土地とかは全く知らないから」

「うーん………」


今度はルートの方が何も答える事が出来なかった。何か考え事をしている。


「ねぇアオ。だったら私と一緒に央都に行かない?ちょうど冒険を休んで央都に帰ろうとしてたとこなんだ」

「いいの?」

「いいよいいよ。これも何かの縁だしね!」


私は承諾して、ルートと共に央都という場所に行く事にした。央都…どんなとこだろう。名前からして都市のような感じだとは思うけど…


ザワザワ…


と、話している側から何か聞こえてきた。しかもだんだん音が大きくなってきている。


「何だろう?」

「あー…もしかしてこれは…」


ルートは何か察しているけど私は何なのかわからない。けど、その答えはすぐに出た。


先程倒したグランドコング。その群れが大量に現れた。


「さっきの仲間?」

「そういえばここってグランドコングの巣に近いんだったっけ…」


ルートは冷や汗をかいていた。確かにこの数を相手にするにはたった二人じゃ厳しすぎる。なので…


「逃げろっ‼︎」


ルートは一目散に走り出した。私もルートの後について行った。


「「「ゴルゥアアア‼︎」」」


怒ったグランドコングの群れは私達二人を追いかけ始めた。巨体の割には意外と早い。


「はっ…はっ…!」

「くっ…!」


かなりの数が追ってきてる。このままじゃ追いつかれる。と、いきなりルートは立ち止まった。


「あ、まっず…」


その理由は追いついてすぐに分かった。


「崖…」


正面は断崖絶壁。しかもいつの間にか、グランドコングの群れに囲まれていた。


「「「グルルル…」」」

「このままじゃ…」


二人とも殺されてしまう。やるしかないのか…そう悩んでいると突然ルートは私の身体を片手で抱いてきた。


「ちょっとごめんよ!」

「ちょっ…⁉︎」


ルートはそのまま私と一緒に崖から飛び降りた。

グランドコング達は私達が飛び降りた崖を見下ろしてきた。そして、私達の姿が見えなくなったのか、グランドコング達はその場を去っていった。


「ふぅ〜…なんとか撒いたみたいだね」


一方私はルートが落ちる最中に放ったフックショットで私達は宙ぶらりんになっていた。


「こうなるんだったら前もって言って欲しかった」

「ごめんごめん。言うタイミングがなくてね。でもよかったじゃん。結果的になんとかなってさ」


軽く不満をぶつけたけど、正直ホッとした。ルートがいなかったら、私はさっきの大群を一人で相手にしなくちゃならなかったからだ。


「それじゃあ央都に行くとしよっか。幸い崖から降りたおかげで近づいたし…」


と、ルートが喋っている最中、私は何かを感じた。


「まってルート。あそこの木の陰に何かいる」

「ちょっと待ってね。ん?どれどれ…」


私が指差した方向にルートは調べに行った。崖から飛び降りたりと結構度胸があるんだと思った。と、


「うわっ⁉︎ちょっと大丈夫?」


突然悲鳴をあげたルート。私もその場所へ行ってみる。


「あ」


そこには一人の青年が木にもたれかかっていた。所々に怪我をしている。




これが私達三人の出会いであり、これから起こる戦いの日々の始まりだと、今の私、いや今の私達はまだ知らなかった。

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