広範囲の偵察
遅れましたが、新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
正月はいろいろとリアルで忙しかったのでなかなか更新ができませんでした。一応この話は不定期に書いていますが、大まかな流れは作ってあるのでネタ切れで終わることは多分ないと思います。
視点:???
フェンリルはかなりの能力を持っていた。対外戦闘でユグドラシルまでの道を整備している時に現れるモンスターを次々にかみ殺していった。鼻からは炎を噴きだすことができた。簡単に言ってしまえばこの上なく敵だったら厄介になる存在。確かにそんな能力を持っていたら拘束するしかないと思うかもしれない。だが、俺は正しい教育さえすれば最大の戦力になると火龍は確信をしていた。事実、1か月を過ぎるころにはミズガルトの守護狼と言われているほどになっていた。
視点:久禮 火龍
「しかしさすがだな。あっという間にユグドラシルまでの道が出来ちまった。」
ユグドラシルまでの道を作り上げ、その道の最後に新たな駐屯地を作って防御陣地を形成した。そのころになるとフェンリルが周りのモンスターをほとんど倒しており、半ばフェンリルの縄張りみたいになっていた。新たに防御陣地を形成したところで、俺はユグドラシル直下の地で農業を行うことにした。食料ではなく植物の状態でしか出なかったことに加えて、城塞都市であることから近くに水がなかった。そんなことが原因で食料はほとんどが木の実や狩猟の時に獲れた肉ばかりだった。しかしユグドラシルの近くには小さな川が流れていることがわかり、さらに栄養分がある土地だったこともあって農業を行えるようになった。さっそく農業を行いたい者を公募した。その結果10名が名乗りを上げた。
「集まってくれた10名の諸君。これより本駐屯地で農業を行ってもらう。1年に1回しか手に入らないのが難点だが、その分味は保障する。それでははじめ!」
そう言うと各自が持ち場へと向かっていった。作る作物は米と小麦だ。どちらも主食として世界中で食べられている作物だ。作物として作るにはどちらも半年以上は確実にかかるが、作った後の保存には適しているし何よりもおいしい。その後司令室にまで戻ってきて火龍はつぶやいた。
「さてと・・・そろそろ捜索範囲を広げるか。」
今まではミズガルトーユグドラシル間のルートのみを整備していたのでそろそろ偵察を行って見つけた森の中の集落や海の近くの集落を見に行く必要がある。見に行って、可能な限り友好関係を築くことがこの世界の統治には重要だ。恐怖政治や専制政治は絶対に長続きしない。それに、土着神を相手にするのであればなおさら数が必要になる。
「・・・あれつかうか。・・・中島C6N彩雲。」
すると滑走路に彩雲が現れた。
彩雲。第2次世界大戦の日本で開発された偵察用の海軍機だ。米軍コードネームはMYRT。当時の日本海軍最高スピードを持つ傑作機だ。当時のおおよその迎撃機では追いつくことのできない機体であり、『我ニ追イツクグラマン無シ』は高速性能を示す有名なエピソードだ。その機体にアレスティング・フックを数個取り付け、完全な短距離着陸が可能にした。
「さて、テイクオフだ。」
エンジンをふかして離陸に入る。偵察用のカメラは射撃装置につなげて高感度カメラなどの機器を搭載した。その代償として武装はないに等しい。そんな彩雲は地下滑走路から軽快に飛んでいった。これまでの偵察情報でわかっている場所を重点的に上空からカメラに映していく。まず俺が行ったのは森の集落上空だ。
「たしかここいらだった・・・あれか。」
よく見るとログハウスのような家が立ち並ぶ場所があった。その場所の上に到達するように急上昇をして反転急降下をした。急降下と同時に写真を5枚ほど撮っていく。そして再び急上昇に転じる。
「次は・・・海の方向か。・・・?山の方にも集落が見えるな。」
よく見ると山の方向にも集落らしき建造物が見えた。それを先に偵察することに火龍はした。
「あれは・・・製鉄所か?」
その建造物のいくつかは煙突のある小さな製鉄所のような印象があった。同時に数人の人影も確認できた。
「人がいるのか。ここも重要地点にしないとな。」
一度集落の上空を飛び去り、上昇してから再び集落へのコースを取る。そして数枚の写真を再び撮っていく。
「次は・・・海の方の集落か。」
そのまま進路を海へと持っていく。
「見えてきたな。やっぱり海軍も欲しいな。」
そんなことを呟きながらカメラで写していく。その後、しばらく上空を旋回して基地へと戻った。基地への着陸はワイヤーがある小型の着陸専用滑走路を使った。