エカチェリーナ・C・リトヴァク
眠りにつくと、そこは夢だった。いや、夢なのかはうまく言えない。いや、寝ているから夢であるのは確定的だとはわかる。しかしその夢がリアルすぎるのだ。起きた場所、そこは縞瑪瑙で造られた巨大な城だった。
「夢・・・だよな?」
まあ夢だろう。夢でなければこんなバカでかい城の中にいるわけがない。そう思っていると少し先に扉があるのがわかった。その扉を押して開けるとそこには2人の少女が庭園の中央にある椅子に座ってお茶会をしていた。扉を開けてその庭園の中に入ると2人の少女も気が付いてこっちを見た。そしてにっこりとしながら俺を招き、椅子に座らせた。
「待ってたわ。来るのが4分遅れよ。」
「カチューシャさんそんなに怒らないでくださいよ。4分くらいなら遅れとは言いませんよ。」
「私は1秒でも遅れてくるのが嫌いなのよ。」
「まあそう熱くならない。」
そんな少女のやり取りが終わると、2人がこっちを振り向いた。
「まあいいわ。ようこそカダスの縞瑪瑙の城に。」
「ようこそ。」
「あ、ああ。ところで、なんで俺はここにいるんだ?それにお前らは?」
「私はエカチェリーナ・C・ロストヴァ。縞瑪瑙の城にいるハーフよ。」
「私はエカチェリーナ・C・リトヴァク。あなたの元いた世界でソマリア連邦の影の元首をしています。」
「そ、そうか。俺は」
そう自分の事を答えようとしたときに2人が言葉を遮った。
「あなたの事は知っています。久禮火龍、元航空自衛隊のパイロットで今は異世界に住んでいる。」
「なんでそのことを・・・。」
「ヨグ=ソトースが教えてくれたのよ。あんたをここに呼んで報告を受け取っておけって言われたのよ。」
「そうですか。」
「それで、どうだったの?」
「えっと・・・とりあえず基盤となる基地とかは作った。それに、現在交渉中が1だ。」
「それだけね。いいわ。報告をあげておくから・・・お茶でも飲んでたっぷり休養を取るわよ。」
「ここから返してくれるというのは・・・?」
「認めない。」
「つまらないのでしたら私たちが夜の相手をします。」
「いや、遠慮しとく。さすがにどこかの成人向けゲームじゃないんだからな。」
「そうですか。・・・それでは私はこれで。」
そう言うといつの間にか声の主はいなくなっていた。すかさずもう一人に聞く。
「消えた?どういうことなんだ?」
「向こうが朝になったのよ。ただそれだけ。」
「そうか。なら朝が来れば向こうに自動的に帰還なんだな。」
「そういうこと。ほら、紅茶が冷めるわよ。」
そう言われて俺は紅茶を飲んだ。渋みのほとんどないアールグレイだった。
というわけで、本編?である『事象の境界線に立つ少女の記録』とリンクが付きました。一応時間軸は近いことになっています。話としては火龍が別の世界に飛んだのは第2章のStory8の少し前という感じになります。(会った時はすでにStory8の後ですが。)