ターニングポイント
視点:久禮 火龍
そう言って俺は医務室を後にした。そして司令室にまで戻る。戻ってから作戦の結果を書いていく。それが終わってから今後の作戦を書いていく。まず行わなければならないのはユグドラシル直下の確保だ。そして直下には駐屯地を作り、規模を増やしていく。ユグドラシルの直下を確保すればミッドガルト全域への作戦行動を可能にできる。偵察情報だと海のあたりの小さな町や森の中にある小さな集落も確認できている。そんなことを考えていると、あの空から落ちてきた女性が起きあがったという情報が来た。急いで医務室へと行くとそこで軍医が話をしていた。
「軍医、状況報告を。」
「軍馬を使って逃げていたところをやられたそうです。」
「という事は第1層に住む者なのか。名前は?そのほかの素性はわかるか?」
「名前は判明しています。ブリュンヒルデというみたいです。」
「ブリュンヒルデ・・・どこかで聞いたことあるな。・・・そうか!わかったぞ。軍医、私に話をさせてくれないか?しばらく席をはずしてもらいたい。」
「わかりました。」
そう言って軍医は出て行った。そして2人だけになった部屋で俺は話し始めた。
「ブリュンヒルデっていったな。俺はお前を知っている。第1層のアースガルズにいるとされる戦乙女だ。・・・違うか?」
「・・・なぜそのことを?どこでそれを?」
「ん?ああ、いろいろと事情があって知っているんだ。ところで、なんで逃げていたんだ?」
その言葉にブリュンヒルデは再び口を閉ざした。そのまま俺は話をつづける。
「言えないのか。じゃあ俺が答えるとするか。主神オーディンの命令に逆らってヴェルズング家を勝たせたんだろ?それがオーディンの怒りに触れて処罰を受けそうになって逃げたんだろう?」
「・・・!どうしてそのことを。そのことを知っているのはむこうでも少ないはずです。」
「だから、俺は事情があって知っているんだって。ああ、そう言えば自己紹介がまだだったな。俺は久禮火龍だ。この都市で対外向けの軍隊を指揮している。」
「・・・私はブリュンヒルデと申します。主神オーディン様の使者として戦死した勇士をヴァルハラへと迎え入れることをしておりました。」
「ああ、知っている。」
「・・・なぜ知っているのですか?あなた、アースガルズの生まれなのですか?」
「ん?おれはアースガルズ生まれじゃないぞ?」
「それではどこの生まれなので?ヴァナヘイムですか?」
「はっきり言うと、お前が言うどの場所でもないところの生まれ・・・というしかない。」
「それはどういう・・・。」
「はっきり言うとこっちに飛ばされてきた。」
「・・・はい?」
「違う世界で生きていて、死んだときにこっちに飛ばされてきた。それだけ。」
「・・・。」
「まあ、信じないのが普通だよな。まあ証拠ならあるぞ?見てみな。」
「・・・?」
「・・・MP5K。」
そう言うと手にMP5Kが現れた。それを見たブリュンヒルデは驚いていた。
「そんなことが・・・本当に・・・。」
「言っておくが、これが現実だ。ちなみにこれはMP5Kと呼ばれる銃だ。まあ簡単に言えば何かを殺すための武器だがな。」
「飛び道具・・・ですか?」
「ああ。飛び道具だが連射力があるぞ?ついてきてくれ。」
そう言って俺は地下の射撃演習場へと向かった。いつものように普通科小隊の人間が撃っていた。そのうちの1つを借りて射撃を行った。射撃の結果を見たブリュンヒルデは驚いていた。
「・・・たしかにこんな武器はアースガルズでも見たことがないですね。」
「そうだろ?・・・ところで相談なんだが。」
「・・・?」
「俺の副官になってくれないか?」
そう。俺は戦乙女たる彼女なら副官が務まるだろうと判断したのだ。そんな相談に彼女は迷いの色を見せていた。
「それは・・・しかし私はオーディン様に仕える身。でも・・・」
「まあそんなに簡単に答えは出ないだろうし、今日は休んでおくといいだろうな。それじゃ、医務室に戻るか。」
そう言ってブリュンヒルデを医務室に戻して俺は再び司令室に戻って隣の部屋で眠りについた。