出せる物と出せない物
案内された土地は都市の入り口に近いエリアだった。それでも、ある程度広い土地をテルノは用意してくれた。
「すごいな。よくこんなにくれたな。」
「テルノ様は義理堅い方でして・・・。」
見た目だけでも1000㎡の大きさの土地だった。日本なら3億円を下らないのは確定的な土地だ。
「カリュウがどのように使っても構わない。とおっしゃっておりました。」
「そうか。・・・そういえば建物とかを建てるのにはやっぱりそう言った人が必要なのか?」
「ご自分で組み立てられるのであれば話は別ですが、基本は騎士団から許可を得ている職人が行います。」
「そっか。じゃあいろいろと手探りでやってみるって伝えておいてくれ。」
「わかりました。それでは私はこれで。」
そう言って案内役の人は行ってしまった。
視点:???
「さてと・・・まずは司令部と兵舎から造るか。・・・司令部と兵舎。」
そう言うとそのまま司令部と兵舎がどこからともなく現れた。さらに言ってもいないのに敷地の周りに有刺鉄線付きの金網が出来ていた。
「よく考えたらこの能力ってチートだよな。」
これがもしゲームだったら、とんでもなくつまらないのだろうなと火龍は思った。そんなことを思いながらも次々に必要な物を作っていく。ヘリポート、滑走路、格納庫、食料保管庫・・・そう言ったものを次々と出して行った。ちなみに滑走路に関してはどう考えても距離が不足したので地下滑走路にした。しかし、問題はこの後だった。せっかく滑走路を作っても飛ばすための機体がなければ意味がない。そう思って彼は戦闘機を出すことにした。
「・・・F-15J。」
そう言った瞬間、F-15Jは出てきた。確かにそれはF-15Jだった。F-15Jの部品一式が出てきたのだった。それを見た瞬間、火龍は驚いた。
「どういうことだ?・・・F-15J。」
そう言ってもう一回出してみるが、どうやっても出てくるのはF-15Jの部品一式だけだった。
「・・・どういうことなのかわからないな。・・・F-4EJ。」
するとやはりF-4EJは出てきた、もちろん部品だけの状態で。
「わからないな。時代は・・・まず関係ないか。」
銃器などが最新のものでも出てくるという事は時代が問題という事ではない。そこで火龍はあるものを出した。
「・・・三菱零式艦上戦闘機。」
すると俗にいうゼロ戦が出てきた。今度は部品に分かれていたりしていない状態だった。
「零戦は出せるのか。となると・・・あれか?・・・10式戦車。」
すると10式戦車は出てきたが、部品一式の状態としてであった。
「・・・大体わかってきたぞ。61式戦車。」
そう言うと今度は部品一式ではない61式戦車が現れた。
「なるほどな。電子化された搭載機器と部品数が多すぎるとかだとだめなのか。」
どうやら彼の予想通りのようだった。戦闘服やAK-47、ゼロ戦や61式戦車、それに対してのF-15Jや10式戦車との相違点は部品の量や搭載機器が多く電子化されているかにある。ということは、ほとんど電子化されていないような物や少人数でできるような単純な物ならば簡単に出せるという事になる。事実、その後でM26パーシング戦車などを出しても部品で現れなかった。ノートパソコンが現れたのは単純性の問題だったみたいだ。
「だとすると問題だな。俺のプランだと現代兵器でこの異世界を制圧しようと思ったんだが。」
どうやら現実はそう簡単に動いてくれなかったようだ。
(まあ大体の異世界ものには困難がつきものになる。・・・いや、もちろんこれだけでもかなりのチートなのだろうけどな。)
結局のところ、配備で来た機体などはすべて第2次世界大戦前後の旧式兵器だらけになった。