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兵站と最強のメイド

視点:???


1か月の運行の後、鉄道の導入によってある程度効率的に資源が使えるようになっていた。

最初の内はダイヤ改正や衝突防止用のATSが作動して列車が緊急停止するなどの状態が続いたが、おおむね良好な状態になった。違いを上げるとなれば、いまだに多くの敵から列車を守るために機関砲や迫撃砲を乗せていることだが、それを除けばおおよそ同じになっている。ニッサヴェッリルからは定期的に鉄鉱石やレアアースを乗せた貨物列車や、当初は兵員輸送用の車両となっていた2000形を増加させて一般向けの鉄道事業を行ったりするようになっていた。それらの事もあって、線路にそれぞれ名前を付けることが必要になった。鉄道の名前を公募で決めることになり、数百の名前が集まった。結果的に名前はニッサヴェリルからユグドラシル防衛基地までの区間をルートギルド、防衛基地から城塞外に位置するミットガートまでを結ぶ区間をルートフォートとすることになった。それに伴って、列車の運行本数も増えたり、貨物専用のレールを敷いたりすることも必要になった結果、複々線という大規模なものになった。ここまで大きくなると上から丸見えなんじゃないかと思う人もいると思うが、ほとんどが木に隠れている以上、見つかることはない。

一方でニッサヴェッリルから来た鍛冶職人たちはそれぞれが奮闘をしていた。レナウントとカルースはそれぞれが新技術を編み出そうと鉄の硬度などの研究を日夜行っていた。その一方でヴィルヘルムはすっかりレシプロ機にほれ込んでしまったらしく、分解して飛行要素の研究などをしていた。それを見ていた火龍がたまたまレシプロ機の設計図を思い浮かべた時に出てきた設計図を渡すと大喜びで自室に3日こもってしまった。その後たった3日で新たな設計図を作り上げたらしく、昨日司令室に持ってきた。内容はプロペラとエンジン以外はすべて木製で造る双発機らしかった。しかしエンジンまでは作ることがまだ研究中でできないと言われたので、エンジンは火龍が提供することになった。双発機の名前はメッサーM98と呼ばれ、後に双発の悪魔と呼ばれることになるのだが、この時はまだ知る由もなかった。


視点:久禮 火龍


「あ~疲れた。やることが一気に多くなったな。」


そう言って俺は寝ることにした。


寝ていると再びあの感覚を感じて目覚めるとそこはまた縞瑪瑙の城の庭園だった。すでに椅子に座っている状態で俺とあの2人の少女がこちらを向いていた。


「ようやくお目覚めですか。」


「ああ。まあいろいろあってな。それで?呼び出したってことは何かあるのか?定時報告かあるいは別の命令とかか。」


「別にそんなことじゃないです。今回は私用で来てもらいました。」


「その私用とはなんだ?」


「単刀直入に聞きますけど、あなたは護衛型の副官は欲しいですか?」


「副官?まあブリュンヒルデが副官を務めているけど、攻撃専門だからな。たしかに護衛用の副官が欲しいとこでもあるな。」


「それなら私が作ってあげる。」


「すでに私も使っている生物をあなた用にチューニングしますね。」


「どんな生物なんだ?」


「ショゴスを基礎にして創り出したショゴスβという生物です。私たちは便宜上、トーチカ・バクラチオンと言う名前で統一して、ミドルネームを数字にすることで見分けをつけています。」


「俺につけてくれる護衛の名前は?」


「トーチカ・ストー・バクラチオンです。ストーは100を意味します。」


「ほう。それで、どんな感じなんだ?」


「一応どんなことでもできるようにしようと思います。もともとショゴスなので何かを覚えるのも早いですよ。知らないことは教えれば次々に覚えます。」


そう言って2人は城の中に入って行き、ほんの1分で戻ってきた。その後ろには迷彩柄のメイド服を纏った女性が1人立っていた。


「後ろにいる彼女がトーチカ・ストー・バクラチオンよ。」


「トーチカです。以後お見知りおきを火龍様。」


「能力はどれくらいなんだ?」


「紅茶の淹れ方から双発機の操縦まで何なりといたします。」


「とまあ、こんな感じだけど、体自体は核にも耐えきれるくらいの身体だから諜報するわよ。」


「あと、あなたにはこれを渡しておく。」


そう言ってロストヴァから渡されたのは黒いバトルライフルだった。


「これは?」


「GF-1よ。こっちの世界ではGewehr 3と呼ばれる武器ね。外枠自体は7.62mm弾を飛ばす銃だけど、もう一つの弾丸を持つと真価を発揮する銃よ。」


そう言われて弾丸を渡された。弾丸は真鍮の色でもない黒だった。


「なんだこの弾丸は?」


そう言うと耳元でこっそりとリトヴァクが教えてくれた。その弾丸の能力を聞いた瞬間に度肝を抜かれた。ある意味では最低最悪の能力を持つ弾丸だった。


「一応使い方はそれだけ。あとは気を付けて使ってね。あと、あなたの改造も少しだけ行っておいたわ。」


そう言われて返事をするよりも早くお茶会へと引き戻された。ちなみに今回のお茶はダージリンだった。

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