涙の落とし物
女の子が泣いていた
地団駄踏んで、喚いて、 涙を流していた
大の大人が泣いていた
心から嬉しくて、安心して、涙を流していた
年老いた老人が泣いていた
長く生きた喜びと、感謝の気持ちで、涙を流していた
形は違えど、目から伝った涙は頬を這って地面に落ちる。
ただ、地面に落ちた涙は滲んで、知らないうちに消えて無くなっている。
涙は自由なのかも知れない。
涙の行方は涙しか知らない。
涙は特別でもある。
悔しい涙
嬉しい涙
悲しい涙
ただの水に感情が詰まってる水なんて珍しいから。
涙は自由だ。
勝手に流れて勝手に消える。
昨日流した涙も、勝手に消えて無くなっている。
だけど、全部が全部消えて無くなっている訳では無いのかも知れない。
それは多分、涙の中に詰まっていた感情。
感情だけが取り残され、地面に滲んでいくのだろう。