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002 中卒が成功する理由

「あぁ・・・空が高いや」


白い入道雲がその形を変えるまで僕は真っ赤な目で見上げていた。



人間不思議なもので、環境に当たり前さを求め、その当たり前さを自分の意志でない所で奪われるとしがみ付きたくなるようだ。



新しい環境もそう、早くこの場所に慣れたいと望み自身で道を切り開くなら、今までの当たり前を捨てる事が出来る。



何が言いたいかと言うと「納得」の問題だと言いたい。


きっと富豪からお金を融資してもらう際に何が必要かと言ったら


一つだけ、その「納得」が必要なんだな。





「・・・・」





さらに、話がややこしくなったので簡単に言うと。











今日僕は学校を辞めました。















何も驚く事ではない。坂本龍馬は学習塾を辞めさせられてるし、エジソンなんて小学校で辞めてる。



社会に不適合者ってレッテルを貼られた人間は強いと父は言っていた。


コンプレックスがある人間は爆発力がある。そして彼らはそのコンプレックスから「なにくそ!」って這い上がっていく。


だから世の中で成功している多くの人が実は中卒なのだと言う。


一体全体何の統計で言っているのかわからないが、妙に納得してしまったのを覚えている。





意外かもしれないけど自身はそんなに驚いていない。


そこそこ良い学校だったので、友達は「良い大学入って良い会社はいる為に俺らここに入ったんだろう?」と言われた。


本気になって考えてくれているのは嬉しかったが、もう決まった事なので彼らが自分らとは違う生き方をする僕が羨ましいのだと言い聞かせた。


良い会社と言うが、むしろネクタイを締めている自分を想像した事が無い。


というか、ネクタイのしない仕事に就きたいと思っていた。


どうにもこうにも、あの首を絞める感じが僕にはたまらなく苦痛に感じるのである。


それは父がネクタイをしない職業でその背中を見てきたからかもしれない。



失礼な言い方だが首輪にしか見えないのである。



なんでこんなにネクタイを否定しているかと言うと、

今自分が選んだこの道こそ正しいと自身に言い聞かせる為である。


自分が好きでなくては自由業はできないと踏んだからである。





ーーーーーーーーーーーーーー時は遡り、昨夜ーーーーーーーーーーーーーーー



一切、勉強をせずに過ごした期間を人は悔やむと言うが、僕はその言葉を聞いた際悔やむまいと決めたので悔やんでいない。


しかしながら、それが父の耳に入る事はまた別の話である。


直感で生きている父からどんな言葉を言われるか、予想もつかない。


人間、言われるであろう言葉を予想しておけばそれに対する衝撃は激減すると言う僕の持論から10通りくらいのパターンを予測していた。




プルルルルr




ガチャ








「息子よ。今日で学校を辞めなさい。」




これは驚いた。









「お前にはコンプレックスが無い。それなりに身長もあり五体満足で成功者の家に生まれた。このままいくとつまらない大人に成るだろう。

だからお前にコンプレックスをあげよう。それが私からのプレゼントだ。」









父の仕事の手伝いをさせられるとか、案外教えた先生が悪いと言うかもしれないと安易に考えていた自分の顔は一変する事になった。





そして、一切の反論をかわす間もなく電話は切れた。








いや、それくらいの気持ちで勉学に励めと言う事だよな。


なにか物事が入る際、自己肯定から入るのは僕の癖だ。







だが鶴の一声とはこの事である。



父は嘘を言わない、やると決めたら直感に従い本当にやる。

そして、その時はよくわからなくても、後になって見てみると

そのほとんどが正しいのである。


僕がいじめられていた13才の時もそう。

辞めたいと言った僕に



「後半年頑張ってみなさい。今辞めたら逃げ癖がつくよ」


と言われたのを思い出した。


結局今辞めるのだから同じ事なのだが、それは天と地にも違う辞め方なのを僕は知っていた。




もちろん先生から、引き止められたが。

よくよく考えれば、父の会社で働く事が格好良く思えてきて


「僕の意思で辞めると決めました」

と伝えた。



なんかこれを言っとかないと、ずっと言い訳しそうだったからである。





荷物をまとめて坂を下り



くるりと振り返って母校を見上げた。


そして、僕は学校に一礼をしてつぶやいた。






「面白いことが起きたぞ」と






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