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異世界ニアアース

ヤーナー発言の件だけにしておけば良かったのに

作者: 刻田みのり
掲載日:2026/10/09

 本作の舞台は異世界「ニアアース」です。

 


「なんたら村の道路予算? いやいや、あいつら俺が出馬した時に応援してくれなかったじゃん。かんたら町の奴らも対立候補に味方してたしさぁ。まあ、俺が勝ったからざまぁみろって感じだけど。え? 報復? そりゃ、俺に弓引こうとしたんだから相応の覚悟をするのは当然だよね? 俺、天下の与党ニャンコ党の議員だよ? しかも大臣。さっちゃん総理も俺がいないとなーんにもできないしやっぱ俺が与党ニャンコ党のキーマンとしてやるべきことをしないとねぇ(*誰もこいつのことをキーマンとは言ってない)。それに国会議員としては底辺の愚民どもに舐められる訳にはいかないでしょ。ほら、ちょっと昔にやられたらやり返すって言葉も流行ったじゃん。だから……ね?」


 先日、一部の市町村で道路予算が意図的に減らされたという問題が発覚しその指示をしたとして与党ニャンコ党のヤーナー農林水産大臣が緊急記者会見を開いた。


 ヤーナー農林水産大臣は自身の指示によるものだと明言こそしなかったが半ば認めるような発言をした。


 我々ローン顔面編集部(顔面はガンメンの誤字ではないので念のため)はこのヤーナー発言を掘り下げるためにウルトラスーパーハイパー有能な記者を出動させた。


 猫獣人のナルトー記者は自身のシャドウ分身を使ってありとあらゆる情報を集めるニンジャ記者である。


 彼は早速ヤーナー大臣の周辺を探った。


 ついでに通りで見かけた野党立憲カリン党のレ0ホー議員にも取材を敢行。


 だってあの女いろいろやらかしてそうだし。


 レ0ホーが二枚舌で二重国籍で大陸のミドルカ人民共和国と繋がっているのはヤポン国民のほぼ120%が知る事実である。


 でも皆レ0ホーとミドルカ共産党が怖いので見て見ぬふりをしているのだ。


 いや、うかつに踏み込むと太平洋か日本海かオホーツク海に沈められてしまうし。


 以前もレ0ホーとミドルカ共産党の関係を暴こうとした文芸センテンススプリング社の猫獣人記者が東京湾でキャリーバッグごと沈められた。


 え?


 レ0ホーに捜査の手は回らなかったのだって?


 あのBBAはとにかく尻尾を掴ませないのだよ。


 野党立憲カリン党もミドルカ人民共和国との結びつきが強いからミドルカにとって都合の良いレ0ホーを切れないし。


 レ0ホー、ミドルカ共産党で大人気なのである(*プーさん主席をトップにしたレ0ホーのファンクラブもあるらしいぞ!)。


 *****


 ナルトー記者の取材が始まってから三日後。


 何故かナルトー記者との連絡がぷっつりと途絶えた。


 さらにその翌日、ローン顔面編集部に一本の電話が入った。


「もしもーし♪ どうもぉ、二枚舌と二重国籍でお馴染みのレ0ホーですよぉ。皆さんお元気? そうよねぇ、元気過ぎて余計な取材までしちゃってるものねぇ。あの猫ちゃんあなたたちの飼い猫なんでしょ?」


 レ0ホーはとても上機嫌に話している。


 我々はそれが逆に怖かった。


「あなたたちヤーナー大臣の件で調べてるんでしょ? 私あの件に全然関係ないのにニャーニャーつきまとわれるのってどういうことなのかしら? 無関係な人間の裏を探ろうとするなんてお世辞にも行儀が良いとは言えないわよね。さぁて、どうしてくれようかしら?」


 心なしか彼女の声に混じってニャーニャーと鳴く猫の声が聞こえるような気がするのだがこれはどういうことなのだろう。


 猫の声がはっきりと聞こえてきた。


「やばいよやばいよガチだよ。あいつ怖いよ、ミドルカ怖いよ、共産党怖いよ、俺っち死にたくないよ。あいつらシャドウ分身もラーセンガンも通じないんだよ。こんなの初めてだよ。やば過ぎるよ、ママ助けて!」


 ニャーニャー鳴く声がどこまでも絶望的に響いている。


「じゃ、ヤーナー大臣の取材頑張ってね♪ それとわかってると思うけど余計なことはしないように。あ、猫ちゃんはもうあなたたちとお仕事をしたくないって言ってるから。じゃあね♡」


 一週間後、若狭湾沖でナルトー記者の遺体ごと沈められたキャリーバッグが発見された。


 ……うん。


 取材は寄り道しないようにしないとな。



 我々ローン顔面編集部は苦い教訓とともに虹の橋の向こうへと旅立った猫を悼むのだった。


 あ、ヤーナー大臣の件は別の記者に引き継がせたのでご安心を。


 詳細は週刊ローン顔面第0000号にて!

 

 

 


 本作はリアルとは無関係です。


 創作と現実をごっちゃにするのは止めましょう。

 

 

 


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