最終共鳴(ファイナル・レゾナンス)
始原の双剣を受け止めたユウの光が、
ゆっくりと――しかし確かに膨れ上がっていく。
(これが……僕の“心核創生”……
僕自身を守る願い……)
胸の奥で確かに灯る“温かい光”。
その光を感じ取った三人が、
自然とユウへと寄り添うように集まった。
「ユウ……」
リリアの瞳は涙をにじませている。
「ようやく……届いたのね……
あなたの“本当の願い”が……」
エルザの声は震えていた。
「相棒。
てめぇはやっと……
自分を大事にすることを覚えたんだな」
レオンが笑う。
宇宙のように輝く始原の瞳が、
わずかに細められた。
「……心核創生……
未完成器ガ……自己ヲ得タ……?」
その瞬間――
四人の胸に、同じ“脈”が走った。
リリアの光。
エルザの氷。
レオンの雷。
そしてユウの創生。
四つの魔力が、
一本の糸のように強く結びついた。
■ 1 四人の心が繋がる
「ユウ……」
リリアがそっと手を伸ばした。
「あなたが“自分を大切にしたい”って思ってくれて……
嬉しいの……」
その言葉が、温かい光となって流れ込む。
「ユウ……」
エルザも手を重ねる。
「あなたが……生きたいと願った……
その願いは……私たちの願いでもある……」
(……僕は……
こんなにも……必要とされていたの……?)
胸の奥が熱くなった。
「相棒」
レオンも雷を纏った手を重ねる。
「お前が前に進むなら……
俺らは一生支える。
最後までついていくぜ、創生の相棒」
四人の手が重なり――
■ 2 始原の刃が四人へ迫る
「――甘イ」
始原が双剣を構えた。
「創生ハ……願イノ力。
願イハ脆ク……破壊ニ弱イ……」
双剣が漆黒に輝く。
《破壊理・絶断》
空間ごと断ち切る斬撃が放たれ――
「ユウ!!!」
「ユウを守る!!」
「相棒!!」
三人はユウの前に立った。
しかし。
■ 3 ユウが初めて三人を“庇う”
「……ダメだ!!
みんなを守るのは僕だ!!」
ユウが三人の前に飛び出し、
両手で破壊の斬撃を掴み取った。
「ユウ!?」
「ユウ!!」
「無茶すんな!!」
(僕は……
もう……自分を捨てた戦いはしない。
でも……
“自分を守りたい”僕を、
守ってくれた三人を……
守るのは僕だ!!)
「うおおおおおおおおっ!!」
創生の光が狂い咲き、
破壊の斬撃を押し返す。
その光に――
三人の魔力が自然と引き寄せられた。
■ 4 四人の魔力が完全に融け合う
「ユウ……!!
あなたの心が……呼んでる……!」
リリアの光がユウに重なる。
「ユウ……あなたの願い……
私たちも一緒に願いたい……!」
エルザの氷が、柔らかく溶ける。
「相棒!!行くぜ!!
俺らの全力だ!!!」
レオンの雷が走り込む。
三つの力が、
一本の束のようにユウへと重なった。
――共鳴音が鳴り響いた。
■ 5 最終共鳴発動
「!!!?」
始原が初めて明確な驚きを見せた。
四人が放つ光が――
世界そのものを照らし、
大地を、空を、神殿を、
黒白の世界を染め上げていく。
四人の魔力が“ユウの心核”に完全に同調した瞬間。
《最終共鳴》
――発動。
ユウの背に現れたのは――
光。
氷。
雷。
創生。
四つの理が“等しい重さ”で羽を生み、
一本の巨大な白金の光翼を形成した。
「これが……
僕たち四人の……
最終形態……!」
「ユウ……きれい……!」
リリアが息を呑む。
「……これほどの魔力……
私も初めて見る……」
エルザが震える。
「相棒……お前……
もう本物の“創生の神”じゃねぇか……」
レオンが苦笑した。
世界が光に揺れた。
■ 6 始原、微笑みながら真価を出す
「……器ヨ……
ソレガ……創生ノ“完成形”……」
始原は静かに双剣を掲げた。
「興味深イ……
ダガ――」
世界が黒白に塗りつぶされた。
「コレデ終ワリダト思ウナ。
ソレハ、創生ノ“始マリ”ニ過ギナイ」
始原の体がさらに輝き、
世界そのものが震えた。
「“始原ノ真形態”ヲ……見セテヤロウ」
■ 7 最終決戦、ついに本番へ
ユウたち四人は、
完全に心を一つにしたまま構えた。
「……行こう、みんな」
ユウの声は静かで、しかし力強い。
「うん……ユウ!」
「一緒に……倒す……!」
「任せろ相棒!!」
四人の光が天へと放たれ――
第二部最終戦・本編が、ここから始まる。




