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「ルミナス・アーカイブ 〜転生者の記憶〜」  作者: 田舎のおっさん|AIで人生再々起中
第二部「七つの封印編」

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絶対零度の領域

氷結の咆哮が空気を裂いた。


 空を覆う巨大な影。

 氷の翼を持つ竜――氷竜グラシエルが、灰色の雲間から姿を現した。


「来る……!!」


 レオンが剣を構える。


 リリアは杖を握りしめ、ユウの横に立った。


 氷結の女王エルザは、冷たく微笑む。


「あなたたちの力、見せてみなさい。永遠の冬に抗えるのなら」


 次の瞬間、氷竜の口が青白く光った。


「ブレスだ!!」


 ユウたち三人は同時に魔法陣を展開する。


「《ライト・エクスプロージョン》!!」


「《ルミナス・レイ》!」


「《フレア・スマッシュ》!!」


 三つの魔法が一筋の光線となり、氷竜の絶対零度のブレスと激突した。


 轟音が森を揺らす。


「押してる……!?」


「まだ……いける!!」


 だが、氷竜が二度目の咆哮をあげた。


 ブレスがさらに強まり、光線が押し返される。


「くっ……!」


 ユウの足が地面を削る。


 魔力が急速に減っていく。


 エルザは静かに手をかざした。


「ここまでね。——《アブソリュート・ゼロ》」


 世界が止まった。


 空気が凍った。

 大地が鳴き声を凍らせた。

 光が光のまま固まった。


 ユウの意識さえ、凍りついていく。


「……動け……ない……!」


 レオンの剣は途中で止まり、リリアの魔法は球の形のまま宙に止まった。


 ユウの呼吸だけが、ぎりぎりかすかに続いていた。


(止まれば……死ぬ……)


 脳に警鐘が鳴る。


 そのとき——


 胸の奥から声が響いた。


『汝は、始原にして創生の魂。

 凍ることは許されない。

 世界を書き換えろ』


(……書き換える?世界を……?)


 氷結の鎖が意識の奥で弾ける。


 ユウの瞳が金色に燃えた。


「《概念書換——温度:絶対零度 → 常温》」


 ――世界が、融けた。


 空気が動き出し、光が流れ、氷が砕けて霧散した。


 リリアとレオンは膝をつき、呼吸を取り戻す。


「な……何をしたの、ユウ……?」


「世界が……動き出した……!」


 ユウはゆっくり立つ。


 光の翼が背中から生えた。


「僕はもう……凍らない。

 どんな絶対でも、書き換えてみせる」


 エルザが初めて怯えた表情を見せた。


「そんな……概念を……?」


 ユウは一歩踏み出す。


「いくよ、エルザ。

 《概念斬コンセプト・スラッシュ》」


 光が横一文字に走った。


 氷竜は一瞬で塵と化し、エルザの氷の鎧が砕け散る。


 残ったのは……白いドレスを着た一人の少女。


 エルザは崩れ落ち、涙を流した。


「……私……怖かった……

 永遠に……独りになるのが……」


 ユウはそっと手を差し出した。


「じゃあ、僕たちと一緒に来ればいい。

 もう独りじゃない」


 リリアとレオンもうなずく。


「もちろんだよ、エルザ!」


「仲間は多い方が楽しいだろ?」


 エルザは震える手で、ユウの手を握った。


「……ありがとう……」


 こうして、氷結の女王は——

新たな仲間となった。





■ 次なる封印の予兆


 その夜。


 東の空に、黒い雷雲が現れた。


 山ひとつを消し飛ばすほどの雷光が走る。


 ユウの背筋がぞくりと冷える。


「……第三の封印。

 “雷帝ゼウガル”。

 目覚めた……」

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