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「ルミナス・アーカイブ 〜転生者の記憶〜」  作者: 田舎のおっさん|AIで人生再々起中
第一部最終章 学園襲撃編

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光と闇の決着

光と闇が激突した瞬間、世界が白く染まった。

 凄まじい衝撃波が森を吹き飛ばし、大地を抉る。

 リリアとレオンは必死に結界を張って耐えていた。

「うわああああっ!!」

「きゃああああっ!!」

 やがて光が収まると——

 そこには、対峙する二つの存在がいた。

 白い翼を持つユウ。

 黒い翼を持つ影の王。

 二人は互いに剣を交え、睨み合っていた。

■ 1 激突

 影の王が咆哮する。

『貴様ごときが!!』

 八つの翼から無数の黒い刃が放たれる。

 ユウは左手の創生の盾を掲げた。

「《創生障壁》!」

 白金色の光が刃を弾く。

 そして右手の始原の剣を振るう。

「《断界斬》!!」

 光の斬撃が影の王に襲い掛かる。

 影の王は翼で防ぐが——

 ズバァッ!

 翼の一つが切断された。

『ぐっ……!』

 初めて、影の王が傷を負った。

 リリアが目を見開く。

「ユウが……押してる……!」

 レオンも驚愕する。

「あの影の王を……相手に……!」

 ユウは剣を構え直す。

 第四段階の力が全身を駆け巡る。

 だが——同時に、身体が軋む音が聞こえた。

(……限界が近い……)

 この力は、確かに強大だ。

 しかし、人の身には耐えられない。

 長く使えば——命が尽きる。

 影の王が笑った。

『フフフ……気づいたか。貴様の身体は既に限界を超えている』

 黒い瘴気を纏い直す。

『このまま戦えば、我を倒す前に貴様が死ぬ』

 ユウは答えない。

 ただ——剣を握る手に力を込めた。

「……わかってる」

 影の王が眉をひそめる。

『何?』

「わかってるよ。この力を使い続けたら、僕は死ぬ」

 ユウは微笑んだ。

「でも……それでもいい」

『……馬鹿な』

「僕が死んでも……みんなが生きられるなら」

 リリアが叫ぶ。

「ユウ!! そんなこと言わないで!!」

 レオンも叫ぶ。

「お前が死んだら意味ねぇだろ!!」

 ユウは二人を見た。

 涙を流す二人の顔を——しっかりと焼き付ける。

「……ありがとう。二人と出会えて……本当に良かった」

 リリアが泣きながら叫ぶ。

「やめて!! そんな……別れみたいなこと言わないで!!」

 だが、ユウは剣を構えた。

 影の王に向き直る。

「行くよ——最後の一撃」

 全身の魔力を剣に集中させる。

 始原と創生——二つの力が完全に融合する。

 剣が眩い光を放ち、空気が震える。

 影の王も全ての瘴気を集める。

『ならば我も全力で迎え撃つ!!』

 黒い瘴気が巨大な槍となって形成される。

 二人は同時に叫んだ。

「《始原創生・極光斬》!!」

『《影王・終焉の槍》!!』

 光と闇が激突し——

 世界が消えた。

■ 2 静寂の中で

 真っ白な空間。

 ユウは一人、立っていた。

 身体の感覚がない。

 音も、匂いも、何もない。

「……ここは……?」

 すると、前方に二つの人影が現れた。

 一つは黒い影——始原。

 もう一つは白金色の輪郭——創生。

 始原が口を開く。

《よくやった、ユウ》

 創生も頷く。

《影の王は消滅した。世界は救われた》

 ユウは息を吐いた。

「……良かった」

 だが、すぐに気づく。

「……でも、僕は……」

 始原が答える。

《そうだ。貴様の命は尽きた》

 創生も続ける。

《第四段階は、人の身には過ぎたる力。代償は——命》

 ユウは静かに笑った。

「……そっか」

 死んだのか。

 でも——後悔はなかった。

 みんなを守れた。

 それだけで——十分だった。

「……リリアとレオンに……ありがとうって伝えて」

 始原が首を振る。

《待て》

 創生も言う。

《まだ終わりではない》

 ユウが眉をひそめる。

「……え?」

 始原と創生が同時に手を伸ばす。

《我らの力を、貴様に全て託す》

《これは——再生の奇跡》

 二つの力がユウの胸に流れ込む。

 温かい光。

 優しい闇。

 それらが混ざり合い——ユウの魂を包み込む。

《もう一度、生きよ》

《仲間と共に》

 光が爆発し——

 ユウの意識が戻ってきた。

■ 3 目覚め

「ユウ!!」

「起きろ!! ユウ!!」

 リリアとレオンの声が聞こえる。

 ユウはゆっくりと目を開けた。

「……え……?」

 空が見える。

 青い空。

 三つの太陽が輝いている。

「ユウ!! 良かった……!!」

 リリアが泣きながら抱きついてきた。

 レオンも涙を拭いながら笑う。

「馬鹿野郎……心配させやがって……!」

 ユウは身体を起こした。

 不思議と——痛みがない。

 むしろ、身体が軽い。

「僕……死んだはずじゃ……」

「わかんないけど! 突然光に包まれて……それで目を覚ましたの!」

 リリアが説明する。

 ユウは胸に手を当てた。

 そこには——もう始原も創生もいなかった。

 ただ——温かい何かが残っているだけ。

(……二つの力は……消えた……?)

 いや、違う。

 消えたのではない。

 完全に——ユウ自身と一体化したのだ。

 もう別の存在ではない。

 ユウの一部になった。

「……ありがとう」

 ユウは空に向かって呟いた。

 始原と創生に——感謝を込めて。

■ 4 終わりと始まり

 数日後。

 学園は復興作業に追われていた。

 影の襲撃で多くの建物が損傷したが、幸い死者は出なかった。

 ユウたちルミナス・アーカイブは、学園の英雄として讃えられていた。

「ユウ様! サインください!」

「リリア先輩! 握手してください!」

「レオン先輩かっこいい!」

 後輩たちが群がってくる。

 三人は苦笑しながら対応していた。

「いやー……有名人になっちゃったね」

 リリアが笑う。

「まったくだ。落ち着いて飯も食えねぇ」

 レオンが頭を掻く。

 ユウも笑った。

「でも……平和だね」

 二人が頷く。

「そうだね」

「ああ」

 三人は学園の中庭で空を見上げた。

 穏やかな風が吹いている。

 もう影はいない。

 世界は——救われた。

 ユウは思う。

 自分は転生して、本当に良かった。

 この世界で、仲間に出会えた。

 共に戦い、共に笑った。

 それは——何にも代えがたい宝物だった。

「なぁ、ユウ」

 レオンが言う。

「これから、どうすんだ?」

「どうするって?」

「だって、影の王を倒しちゃったんだぞ。もう戦う相手いないじゃん」

 リリアも興味深そうに聞く。

「そうね。これからの目標は?」

 ユウは少し考えて——

 笑った。

「まずは……卒業だね」

 二人がずっこける。

「そこかよ!」

「普通すぎるでしょ!」

 ユウは続ける。

「それで……もっと魔法を研究したい。始原と創生の力は消えたけど、その知識は残ってる」

「ほう」

「それを使って、この世界の魔法をもっと発展させたいんだ」

 リリアが目を輝かせる。

「素敵! 私も手伝う!」

 レオンも頷く。

「俺も付き合うよ。どうせ暇だし」

 三人は笑い合った。

 そして——

 新たな冒険が始まる予感がした。

 影の王は倒した。

 でも——この世界にはまだまだ謎がある。

 古代文明の秘密。

 魔法の真理。

 そして——ユウが転生した本当の意味。

 全てを解き明かすために——

 ルミナス・アーカイブの冒険は続く。

 ユウは空を見上げた。

 三つの太陽が、優しく輝いていた。

「……行こう。みんな」

「うん!」

「おう!」

 三人は歩き出した。

 新しい未来へ——

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