暗躍するのってロマンあるよね
バスケで突き指して骨逝ったんご。
とても痛いんご。
日本 東京某所
「うへ~、すごい数っすね。はんちょー」
「確かにそうだな、少なくとも先週の倍以上だ。発表から6週間...おおよそ10倍程度に増えていると思った方が良いな」
「ヤバいっすね~、うちただでさえ人少ないんですからこれ以上増えられたら周んないっすよ~。あッ、もう周ってないか」
「薊巡査部長、あまりふざけないで下さい!班長も注意して下さいよ!」
大量のバツ印のついた地図が置いてある机を中心に3人の男女が騒いていた(実質2人)。
先程からいい年してチャラチャラした口調で話しているのが薊 湊巡査部長。
それを注意していたのが釣り目で長身の女性、升原 星巡査。
班長と呼ばれたのはガタイが良い男、大船 幹猛警部補。
「うるさいですよ、パンダの連中に気づかれたらどうするんですか?」
そういうのは窓からカメラなどを使って何かを監視してる陰光 彩人巡査。
「そう言うわけだ静かにしていろ薊と升原」
わかりました、とどこか不満そうに言う二人。
しばらく沈黙が続いたが小学生並みに我慢が苦手な薊はそれに耐えきれず口を開く。
「にしてもこんなに増えて・・・マンパワーすごいっすね~」
「あぁ~、確かにそうだな。他の班からの情報によると熊の連中も増えているらしい、おそらくパンダと熊が共謀してるんだろう」
「にしても多くないですか?」
薊と幹猛の話に升原が乱入する。
「いや、多くない。間違いなくもっといる・・・いや居た」
升原の疑問にこたえたのは陰光だった。
「升原ちゃ~ん、君も疑問に思わないの~?パンダにしろ熊にしろこんなに増えたのになんで俺たち公安を潰しに来ないのかな~?」
升原は薊の答え方が頭にきたがそれをこらえてたしかに、といっただがそれでも升原の疑問は拭えていなかった。
それを見て班長の幹猛が言う。
「やつらの目的は透けて見える。どうせ日本を含めた西側諸国に連合帝国をあてるつもりなんだろう」
「それはわかりますけど・・・それってやっぱりヤバいですよね?」
「ヤバい、だからアメリカやイギリスはCIAやMI6を大量に日本に投入しているんだ。どの国も自分達よりも技術力のある相手と戦争したくないはずだ。だから西側は自国の防諜を放り投げても日本に諜報員を動員してるんだよ。そうなったらふざけた数の連中も迂闊に動けないし動かせてもらえない」
「つまりは今、東側と西側で拮抗状態になっていて、裏で血で血を洗うようなことが起きているって事ですよね。だからどちらも動員し続けていると」
そうだ、と幹猛が答える。
「てか、うちらもそれしてるじゃん~忘れたの?升原ちゃ~ん。にしても、散々スパイ天国って言われてた日本がまじでスパイ天国になるとはな~いや、そのせいで最近随分と物騒だからスパイ地獄か?」
升原は少しムッとしながらも気にしたら負けと思い無視する。
「それに、朝鮮連の動きも活発になってきましたからな」
「なんでも、そのせいで機動隊は連日出勤でヤバいらしいってね~、今だけだったら日本で一番ブラックな仕事ですよ~あれ」
そんな、公安の仕事に大して関係もない話をしていると・・・
「最後の住民いなくなりました」
陰光が言う。
「今がチャンスだ升原巡査、特戦群に連絡を」
はい、と元気よく升原が答える。
「こちら公安308班、目標のアパートから全住民がいなくなった。他の班からの情報だと少なくとも30分の間は戻ってこない」
『わかった、直ちに清掃を実行する』
特戦群と短い応答が行われる。
そこから1分後、アパートに1人の男が入ってきた・・・
UFWD視点
「昨日、拠点が4つもやられました」
薄暗い部屋の中、6人の男が話している。
彼らは中国が送り出したUFWDの諜報員で主な仕事はこれから3週間ほど後にやって来る連合帝国上皇后を襲撃する部隊を護衛することである。
「どこにやられた?」
そういうのはリーダーの男。
おそらく、と前置きをおいて別の男が話始める。
「三つはCIAやMI6等に、残り一つはほぼ確実に特戦群かと」
CIAと言った日本以外の国の諜報機関は日本を助けていることにはなっているが日本政府が支援するのは難しく、結果的に一般の事故や犯罪に見せかけて中国やロシアの諜報員を排除していた。そのためどこの国か判断するのは難しく、精々その排除に使った方法で想像するしかなかった。
一方で日本は特戦群を使用し、排除後は強権を使い起きた事実自体を消し飛ばしていた。そのため、残る事実は消えた事だけなのですぐにわかるのだ。
「特戦群か・・・まさか、軍を投入するとわな」
「日本も手段を選んでいられないのでしょう」
「フッ、平和主義も腐ったものだ・・・」
「はやく、3週間たt・・・
ピンポーン
インターホンがなった。
リーダーがハンドサインで命令を出す。
瞬時にリーダーを含む5人は元々決められていたであろう位置に付く。
残った一人がはい、は~いと言いながら扉に近づいて行く。
のぞき穴から外を覗いた、扉の前には小綺麗なスーツ姿で分厚い本を持った男が1人立っていた。
UFWDの下っ端諜報員の男は大丈夫だと判断し扉を開ける。
「どちらさんですか?」
「はい、私救済教団の者です」
どこか間延びした声で語る救済教団の者と名乗る男。
UFWDの下っ端諜報員は最近話題のカルト集団か、と思う。
「すいません。うち仏教を信仰してるんで」
そう言って扉を閉めようとするが、教団の男は扉の隙間に足を差し込み強引に中に入って来る。
「そう言わずに少しでもいいんです。少し話を聞いてください」
「迷惑ですから、帰ってもらっても?」
UFWDの諜報員が苛立ちを露わにしながら言う。
「いえ、そんなわけにもいかないんですよ」
何ともないように返す教団の男、だが少しイラついているのか先程から抱きかかえるように持っている本を指で叩いている。
「少し、話を聞くだけで良いんですよ。そしたら貴方もきっと我々の考えに同感してくれることでしょう」
UFWDの下っ端諜報員は教団の男の行動を見て他の国の諜報員じゃなさそうだと安心する。だが、このまま話しているのも面倒だしここで断って玄関から強引に部屋の中に入られたらまずいと思い。
じゃあ少しだけ、と教団の男を促す。
「はい!では!」
嬉しそうに答える教団の男。
「1ヶ月ほど前に現れた惑星のことは知っていますか?いえきっと知っているでしょう。では、なぜあの惑星が現れたのかきっと、我々人類に鉄槌を与えるためです。だって・・・
バカバカしいと教団の男の話を聞き流しす。
鉄槌を食らうのは人類ではなく貴様ら西側だけだ、と心の中で悪態をつく。
(えぇ~ですから人類は・・・
楽しそうに話す教団の男
(きっとそうなんです・・・いえそうでなくては・・・
話始めてあと少しで10分経つ
随分と長い話だ、よくそんなに語れるなと冷ややかな目で教団の男を見る。
何かが変だ・・・
違和感を感じる
何が変なんだ?どこか?いったい?自問を繰り返す。
もちろん、教団の男に怪しまれないように相槌を打つことも忘れない。
そして気づく、この男はなぜ先程から本を指で叩いているのだ?
最初見たときはきっと機嫌が悪いからだろうと思っていた。
だが、今この男は機嫌が悪いのか?いや、悪くないとても上機嫌だ・・・
では、なぜ?
リズムを刻んている?何のリズムだ?
まさか!
UFWDの下っ端諜報員がそれに気づいた瞬間・・・
全ては遅すぎた。
「趴下!」
後ろから声が聞こえる。
訓練の賜物なのだろうかUFWDの下っ端諜報員は脊髄反射の如く速度で伏せる。
バーン
サプレッサーが付いている為か少し控えめな銃声が鳴る。
だが、違和感を覚える。
たしか、サプレッサーは付けるとスペースを取るからうちでは普段は外しているはず・・・
嫌な予感がした...いや、これはほぼ確信だろう・・・
顔を上げる。
教団の者と名乗った男と目が合った。
笑っていた。
加虐的な・・・どこまでも黒い笑顔。
サプレッサーが付いていない銃を構えていた・・・
負けた・・・そう確信した
ガラスを突き破る音が聞こえる・・・
液体が地面に叩きつけられた音がする・・・
小さなだが、たしかに聞いた覚えのある声の断末魔が響く・・・
銃声が鳴った・・・
男の意識は暗い闇に落ち・・・.
「こちらチャーリー、清掃は終了した」
覆面を被った男が無線機に向かって話す。
『了解、そのまま即座に回収地点に向かってくれ、片づけは後続の方でやっておく』
「わかった」
無線機を切る
床に転がっている肉塊に目をやる。
目が合ったような気がした。
こちらを恨めしく見ているようだった・・・
その日、また一つUFWDの拠点が消えた。
わからなかった人の為に教えるよ~
「本を指で叩いている」これはモールス信号を伝えていたんだね、おそらく本の中に何か入っているんじゃないかな?
こういう作品あるある
特戦群なんかすごい便利屋扱い