プロローグ
ほぼアメリカと日本の反応だけ
途方もなく巨大な宇宙。それを構成している一つの小さな小さな惑星…地球
ガガーリンが青かった――直訳では少し内容が違う。なお、祖国は赤かったとは一言も言っていない――と言った地球。生命を宿した母なる地球。
宇宙からしたら途方もなく小さく、生物からしたら途方もなく大きなこの惑星。
そんな、地球は今、人類のせいで?とても騒ぎくなっていた。
ことの発端は、NASAやESA、JAXAといった各国宇宙機関から全世界に対して『太陽系に知的生命体が存在する惑星が突如現れた』と発表したことだ。
その結果、色んな店で買い占めが起きスーパーの陳列棚から商品が消えた。
転売ヤーがガッポリ儲け、カルト宗教にのめりこんでいる奴は発狂し、陰謀論者はディープステートの嘘だと騒ぎ立て、ネットの深淵層は今日も考察を続けていた。
そんな、山火事のような騒ぎが起きていた所に航空タービン燃料油が突っ込まれる……
アメリカ合衆国 ホワイトハウス
「それで、日本の発表の信憑性は?」
そういうのはこの白い館の主で現アメリカ大統領のマイケルソン・トロンプであった。
それに答えるのは、CIA長官で魔女と呼ばれているジーネ・ハンペルである。
「内通者によれば間違いないと」
「ふん、日本人は愛国心がないようだな、やはりアメリカはアメリカだけでいいのだ」
不機嫌そうにいうトロンプ大統領。さすがは公約の時点で『America First』しか言っていないやつである。
あと、日本がスパイ天国なのはもう定めなのだ。
「そんなことをもしパパラッチ共に聞かれたら大バッシングですよ大統領」
大統領に注意するのは副大統領のマイク・ペンソーである。
「ペンソー君いくらゴキブリよりもしつこいパパラッチでもアリの一匹も通さないホワイトハウスの警備を抜けられるわけないだろう、それこそ奴らがカメラとマイクの代わりに銃とRPGでも持っていないかぎりね、ハハハハハ」
「「「は、はハハハハハ」」」
冷たいジョークで自分だけ笑って場を見事に凍らせたトロンプ大統領。
「それで・・・」
ようやく本題に入るようだ
「まじで、宇宙人くるの?」
本音をぶちまけるトロンプ大統領
「だって前ステイン君が奴らは我々と同等かそれ以下の文明っていってたじゃん!来ないって言ったやん」
いきなりNASA長官のジェームズ・ブライデンステインに当たるトロンプ大統領。
「はい、大統領先日はそう言いましたが昨日の夜、例の惑星を監視していた望遠鏡が例の惑星の周りを回っている衛星に基地のような物を確認しました。恐らく例の惑星の文明レベルは地球を超えています」
自分の進退がかかっているため冷や汗をかきながらも言い切るステイン君。
「いやいやてかさ何で日本がうちよりも早く翻訳しちゃってんの?中国とかロシアじゃなくて」
「いやいや、大統領日本には世界一のスーパーコンピューターがありますからね、それに今期の内閣は決断力がありますからね」
国務長官のアントリュー・ブリントンが答える。
「それでもだよ!何でうちに相談くれないの?」
「大統領・・・日本は独立国ですよ」
国務長官が言う。ちなみにアメリカに外務省というものはなく外交を担当しているのは国務省である。
「まぁ、宇宙人が最初に足をつけるのが東側じゃなかったのだけはよかったか」
「大統領、宇宙人が来るまで2ヶ月あります。今のうちに我が国からも外交官を日本に派遣してみては」
とブリントンが
「大統領、今回来る宇宙人の中には何でもかの国の上皇后が来るようです。もし、万が一にでも上皇后に何かあれば安全保障条約を結んでいる我が国に飛び火しかねません」
と国防長官のジョージ・マーティスが言う
「え、そうなの?じゃー今のうちに安全保障条約切っちゃう」
「大統領そんなことできるわけないでしょう。それに切った所で間違いなく東側の奴らがこちらに当てようとするでしょう。なので我が国からも護衛を出す準備があると日本に伝えてはどうでしょう?」
「わかった、それじゃブリントン君、そういうことでよろしく」
「はい、わかりました」
「大統領、第7艦隊なのですか・・・」
地球の超大国アメリカの道末を決める会議は続いていく・・・
日本国 首相官邸首相執務室
首相執務室そこに今、3人の男が集まっていた
「岸岡防衛大臣、連合帝国の上皇后の護衛計画の立案は順調か?」
そう問を投げつけるのは現総理大臣須賀義彦。
「はい、順調です。ですが、いくらなんでも護衛の為に自衛隊を動員するのは世論を必要以上に刺激するのではないですか?」
「あぁ、そうなるだろう・・・だが、相手は間違いなくこちらよりも技術力が高い。もし仮に連合帝国の上皇后に何かあったらそんな相手に戦争だ。それに、万が一中国とかが目先の利益に囚われて襲撃、それを日本に擦り付ける可能性だってある」
「確かにそうですね…わかりました。では、アリ一匹通さない完璧な護衛計画を立案します」
そう豪語する防衛大臣。だが、実際に作戦を立案をするのは自衛隊である。その後、このやり取りを伝えられた担当はプレッシャーでのストレスのあまり頭が物理的にスッキリしたとか。
「須賀総理、アメリカから護衛を派遣したいと打診がきましたがどうしますか?」
須賀総理に聞くのは元木利岡外務大臣である。
「ふむ、ここで決めたら間違いなく他から不安が出るだろう、ここは一度閣議に上げるから一旦保留にさせてくれと返信しといてくれ」
「はい、わかりました」
そう言ってから防衛大臣と外務大臣は退室していった。
一人部屋に残された須賀総理。
「これからどうなるか・・・うまくいけば日本は再び栄光を取り戻せる。だが失敗すれば・・・いや、いかんな総理になってからいつも暗い事しか考えていないな・・・失敗したときのことではなくどう成功させるか考えなくてはな・・・何としても成功させなくてはならないな・・・」
宇宙に比べたらとても小さな小さな存在は熱い決意をもってそう言った。