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日ノ本ノ御柱  作者: やろまろ
第一章
9/28

???

 バキッ!ドカッ!




 …気がつくと僕は知らない男に殴られていた。


(痛い!やめて!)


 恐怖のためか声が出せない。


(やめて!やめてよ!やめてやめてやめてやめて!)


 男が振りかぶり、渾身の力を込めて僕を殴りつける。




 グシャッ!




 そこで意識が途切れた。




 次に目が覚めると学校の教室にいた。


 机には口で言い表せないような罵詈雑言が書かれ、教科書やノートはビリビリに破かれ汚れていた。

 周囲を見渡すと悪意のこもった笑みで僕を見る生徒達。

 教師まで冷たい目で僕を見ていた。


(そんな目で見るな!見ないでくれ!)


 周囲の視線が恐い。僕は恐怖に慄いた。




 胃が痛い。


(いたいいたいいたいいたい!)


 あまりの痛みに僕は気を失った。




 僕は目を覚ますといつものように街のゴミ箱を物色しにいった。

 いくつもゴソゴソと漁るが食べ物が見つからない。

 周囲の視線が身体に突き刺さる。


(腹が減った…)


 昨日から何も食べていない。


 ため息をつきながら歩道橋を上がり、絶望に打ちひしがれながら道路を見下ろす。


(病弱な身体に産み、あまつさえ僕を捨てた両親。小さい僕を虐待した叔父。理由もなく僕をいじめたクラスメイト。無関心な教師。救いのない社会)




(みんな死ねばいいのに)




 気づくと目の前にアスファルトが迫っていた。




(憎い。憎い。にくいにくいにくいにくいにくい!)




 この世界に対する憎悪が強烈に湧き上がり、僕を支配した。




 そして鈍い音と共に意識は途絶え…


 僕は死んだ。


 ――――――――――――――


 真っ暗な空間の中に僕はいた。


 遠くに光が見える。


 どこからともなく声が聞こえた。




『セカイガ ニクイカ』




 僕は答えた。憎い、と。




『ホロボシタイホド ニクイカ』




 僕は答えた。滅ぼしたいほど憎い、と。




(僕を不幸のドン底、絶望に追い込んだあいつらが憎い。社会が憎い。世界が憎い!それをやれる力があるなら滅ぼしたい。何度も、何度でも、あいつらを苦しめたい!殺したい!)




『オマエニ チカラヲ クレテヤル』




『ニエヲ ササゲヨ』




 僕は答えた。捧げる、と。




 瞬間、光が大きくなり、辺りは光に包まれた。

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