???
バキッ!ドカッ!
…気がつくと僕は知らない男に殴られていた。
(痛い!やめて!)
恐怖のためか声が出せない。
(やめて!やめてよ!やめてやめてやめてやめて!)
男が振りかぶり、渾身の力を込めて僕を殴りつける。
グシャッ!
そこで意識が途切れた。
次に目が覚めると学校の教室にいた。
机には口で言い表せないような罵詈雑言が書かれ、教科書やノートはビリビリに破かれ汚れていた。
周囲を見渡すと悪意のこもった笑みで僕を見る生徒達。
教師まで冷たい目で僕を見ていた。
(そんな目で見るな!見ないでくれ!)
周囲の視線が恐い。僕は恐怖に慄いた。
胃が痛い。
(いたいいたいいたいいたい!)
あまりの痛みに僕は気を失った。
僕は目を覚ますといつものように街のゴミ箱を物色しにいった。
いくつもゴソゴソと漁るが食べ物が見つからない。
周囲の視線が身体に突き刺さる。
(腹が減った…)
昨日から何も食べていない。
ため息をつきながら歩道橋を上がり、絶望に打ちひしがれながら道路を見下ろす。
(病弱な身体に産み、あまつさえ僕を捨てた両親。小さい僕を虐待した叔父。理由もなく僕をいじめたクラスメイト。無関心な教師。救いのない社会)
(みんな死ねばいいのに)
気づくと目の前にアスファルトが迫っていた。
(憎い。憎い。にくいにくいにくいにくいにくい!)
この世界に対する憎悪が強烈に湧き上がり、僕を支配した。
そして鈍い音と共に意識は途絶え…
僕は死んだ。
――――――――――――――
真っ暗な空間の中に僕はいた。
遠くに光が見える。
どこからともなく声が聞こえた。
『セカイガ ニクイカ』
僕は答えた。憎い、と。
『ホロボシタイホド ニクイカ』
僕は答えた。滅ぼしたいほど憎い、と。
(僕を不幸のドン底、絶望に追い込んだあいつらが憎い。社会が憎い。世界が憎い!それをやれる力があるなら滅ぼしたい。何度も、何度でも、あいつらを苦しめたい!殺したい!)
『オマエニ チカラヲ クレテヤル』
『ニエヲ ササゲヨ』
僕は答えた。捧げる、と。
瞬間、光が大きくなり、辺りは光に包まれた。