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日ノ本ノ御柱  作者: やろまろ
第一章
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反抗作戦会議2

 支部メンバーのスマホに送信された映像に映っているのは魔物の死体だ。


 鋭い爪で引っ掻かれたような傷が全身についている。




 どうやら魔物にはそれぞれ縄張りがあり、縄張り争いによって魔物が死亡したことが確認されたのだ。


「このことから、魔物の攻撃は魔物に通用することが分かります。つまり魔物の死体から素材を剥ぎ取り武器を作る、もしくは魔物が持つ武器を奪うことができれば奴らに対抗できるのではないかと考えます」


「そうか、それなら…」

「でもどうやって…」

 思いもよらない提案に周囲が騒めく。




「…質問!」

 康生コウセイが手を挙げた。コイツも幼なじみだ。偵察部隊長をしている。


「はい、どうぞ」


「どうやって魔物に同士討ちさせるんだ?」

 もっともな質問だ。


「結論から申し上げますと、機動力に優れたバイクの運転に秀でる佐藤さんに囮作戦を実行していただきたいと考えています。もし了承していただけるなら、囮として魔物を引き付け誘導し、別の魔物にぶつけてもらいます」


「バカな!それでは佐藤に死ねと言ってるようなもんだ!そんなの認められん!」

 机を叩き激しく声を上げたのは佐藤の先輩警官の安田だ。


「それに死体でいいなら縄張り争いで勝手に殺し合った死体を拾ってくればいいだろう!わざわざこちらから危険を冒してまで囮作戦なぞやる必要は無い!」


「ちょっと先輩、落ち着いて下さい。ご心配はありがたいですが、冷静に考えて下さい。そんなに都合良く死体が見つかるか分からないじゃないですか」




「善訓さん、成算はあるんでしょうか。私としては奴らに対抗する手段が他にない以上、多少無茶な作戦でもやるしか無いことは分かるのですが…」


 佐藤は冷静に言った。普段は先輩の陰になっているので目立たないが、交番勤務の前は機動隊員だったと聞いている。

 命懸けの作戦実行役を提案されているのに動じないのはその経験によるものなのだろうか。




「ご説明します。先程お話しした通り、魔物には殺し合いをするほど強い縄張り意識があります」


「現在、魔物の間でそれぞれ縄張りが形成されているようですが、中には小規模な集まりや、野良と呼ばれる縄張りを持たない、もしくは群れを追い出された魔物も存在しているとの報告がありました。さらに、野良は縄張り争いをせず人間に対しても食事の時以外はあまり関心を持たないとのことです」




 魔物の餌は人間だ。




「ですので、まずは周辺地区を偵察して情報を集めます。どのような魔物がどの程度の規模で縄張りを張っているのか、野良がどこに何体存在するのか調べます。もちろん並行して魔物の死体の有無も調査します。結界近くに死体があればその回収を優先します」


「偵察については望遠鏡やドローンなどの遠隔装置を使えばリスクを抑えられます」


「囮作戦については、偵察にて発見した魔物の中で移動速度が遅い魔物の群れを小規模グループ、または野良に向けて誘導できれば比較的危険が少ないと考えます」




「なるほど…」


佐藤が頷く。安田は目を逸らし怒りを抑えているようだ。




(そりゃそうだよな。大事な後輩だもんな)

主要人物紹介


康生コウセイ:善訓の幼なじみ。若い頃からゲームの魅力に取り憑かれ、善訓以上のゲーマーになった。人生の中心がゲームであり、仕事も【ゲームをする時間が長くとれる】と理由で清掃員をしていた。ドローンの操縦が得意。パルチザン太宰府支部の偵察隊長。




安田ヤスダ:45歳。異変前は博多警察署住吉交番勤務。以前はマル暴にいた。博多で魔獣オルトロスと遭遇するが、佐藤と共に地元である太宰府に逃れる。情に厚いが直情型であるためトラブルメイカーになることもある。パルチザン太宰府支部メンバーの一員。




佐藤サトウ:35歳。異変前は安田と共に交番勤務をしていた。その前は優秀な交通機動隊員だったが、何かの理由により異動願いを出した。バイクの運転技術を活かし仲間を援護する。パルチザン太宰府支部メンバーの一員。

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