遭遇
「温羅の根城に乗り込む前に皆の戦闘能力を確認しておきたい」
鬼ノ城がある山の麓で仲間を呼び出すと、俺は皆にそう言った。
「私は体術の心得があります」
ゴクウが言う。
「あとは、条件がありますが分身の術を使えます」
「分身か…!何体ぐらいになれるんだ?それと条件ってなんだ?」
ゴクウの魅力的な能力に心が躍る。
「はい、魔力が濃い場所でしか使えません。分身の数も魔力が濃いほど多くなります」
「なるほど。俺には魔力の濃さが認識出来ないが、この辺りはどうなんだ?」
「あまり濃くはありません。分身できて一体出せるかどうかといった所かと思われます」
「この山の頂付近はある程度の濃さの魔力を感じます」
続けてゴクウが答える。
「温羅はおそらくその魔力を目当てに根城を張ったのでしょう」
「そうか、分かった。ありがとう。ケルベロスはどうだ?」
ワフゥ…
ケルベロスは何か言いたげだ。
「イサ様。どうやらケルベロスは種族名で呼ばれることを不満に思っているようです」
ゴクウが代わりに答える。
「なんだ?名前が欲しいのか?」
ワフッ!
ケルベロスが尻尾をブンブン振る。
「名前か…。何にしようかな…」
俺は暫く考え込んだ。
(ポチ?ケルちゃん?んーどうしよ…)
ケルベロスは不安そうに目を伏せ、尻尾を股に挟んでいる。
「…リバティってのはどうだ?」
リバティとは勝ち取る自由を意味する。
ワオン!
ケルベロスは嬉しそうだ。
「気に入ったみたいだな。よしよし」
そう言いながらリバティを撫でる。
ワフッ!ボオッ!
リバティは一声鳴くと口から軽く炎を吐いてみせた。
「おお、お前は炎を吐けるんだな!他には何かあるか?」
俺が聞くとワンッと鳴いて胸を反る。
それだけだ!と言っているのだろう。
…どこまでもあのケルベロスと一緒だ。
「鳴女はどうだ?」
「私は戦闘に関することは何も…申し訳ございません。雉の姿であれば偵察ぐらいなら…」
そう言うとうるうるとこちらを見る。
「分かった。気にするな。鬼ノ城に近づいたら偵察を頼む。偵察もとても大事な仕事だ」
「はい!頑張ります!」
鳴女はパァッと明るい顔で返事をした。
…皆の能力を確認して、いざ鬼ノ城へ出発しようとした時。
突如目の前に白装束の女が現れた。




