その名はゴクウ
「もし温羅討伐に行かれるのであれば…ワタシも同行させていただきたいのです」
「もちろん温羅は討伐せねばなるまい。こちらとしては手助けしてくれるのは心強いことだが、何か因縁があるのか?」
「温羅は仇なのです。ここに来たのも温羅の足跡を追ってのことです。実はワタシは生まれてすぐに群れの諍いで両親を亡くしまして、その時に怪我をして独りでいた時に人間に拾われ、育てられました」
「ほう」
「その人間、お師匠はとても徳の高い人物で、ワタシのことを本当の子のように大事にして下さり、文字の読み書きや言葉も教えて下さいました。」
「しかしある時、温羅がワタシ達の住む庵を襲ったのです。お師匠はワタシを逃すため温羅と単身戦い、倒れました」
「ワタシは仇である温羅を倒したい。しかしながら温羅はとても強く、ワタシ独りではとても歯が立たないのです。そこであなた様のお力をお借りしたいのです」
(断る理由は無いな…うん)
「そのようなことが…承知した。こちらこそよろしく頼む。共に戦おう!俺は彦五十狭芹彦。イサと呼んでくれ」
「ありがとうございます!ワタシはゴクウ。ソン・ゴクウと申します」
(は?ソン・ゴクウだって!?)
「な、なあ、ゴクウはもしかして海の向こうの大陸から来たのか?」
「いえ、生まれが何処かは分かりませんが、物心ついた時にはお師匠と一緒にいましたのでなんとも…」
「そ、そうか…」
(もしかしてここは現実世界の過去とは違うんだろうか。分からん。)
「では、ムラの者も救出したことだし、一旦ムラに戻るぞ」
主要人物紹介
ソン・ゴクウ:体長4mはあろうかという大猿。オーガの首を一撃で叩き飛ばすほどの剛力を持ち、かつ猿とは思えないほど知能が高い。幼い頃から人間に育てられたため人語を解す。




