初戦闘
ムラを出てさらに半日、ようやく小鬼と猿がいるという森についた。
(もう無理。一歩も歩けん)
(今日はここで野営して討伐は明日にしようそうしよう)
連れの戦士達にそう伝えて寝転がると、あまりの疲れにすぐに寝入ってしまった。
…明け方、俺は何やらゴブゴブと特徴のありすぎる声で目を覚ました。
寝ぼけ眼で辺りを見回すと、すでに四方を小鬼の群れに囲まれているではないか!
(見張りの戦士は!?)
(…皆すやすやとお休みになっていらっしゃるー!)
(これはマズイ。非常にマズイ状況だ)
「おい、皆起きろ!お出ましだぞ!」
刀を手に取り声を上げる。
…しかし戦士達は寝ぼけている。
さらに悪いことに、俺が急に大声を出したので小鬼が驚き、全員が攻撃体制に入ってしまった。
小鬼達がゴブゴブと言いながらにじり寄ってくる。
(あ、ヤバいこれ)
ようやく視点が定まるようになった目でマジマジと小鬼を見ると、目の前にゴブリンの表示が出た。
(小鬼ってゴブリンのことだったのか。レベルは1か…ん!?1だって???向こうじゃ50だったぞ!?)
慌てて他のゴブリンも確認する。
…全て1だった。
(これならなんとかなるかも)
などと考えていると、一匹のゴブリンが手に持った石斧で殴りかかってきた。
「ヒャッ!」
情けない声を出しながらとっさに刀を前に突き出し、さらにビビって顔を伏せてしまった。
これは…この上なくダサい!
グエ…
妙な声がすると同時に嫌な手応えがして刀が重くなる。
恐る恐る顔を上げると、ゴブリンの脳天に刀が見事に突き刺さっていた。
「ヒャッ」
また変な声が出た。刀も落としてしまった。
我ながら情けなさすぎる。
(…これはデュラハンに首を叩き切られたトラウマがあるからしょうがないんだ。うん)
自分で自分を慰めていると背後から声を掛けられた。
「イサ様、お見事です!」
「は、はひっ!」
つい情けない返事をして振り返る。
…なんと戦士達が尊敬の眼差しでこちらを見ている!
(そんな目で見ないで!)
「クッ…皆の者!我に続けーえ!」
俺はいそいそと刀を拾い、恥ずかしい所を見られた腹いせにゴブリン共をバッサバッサと切り捨てていった。




