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日ノ本ノ御柱  作者: やろまろ
第二章
12/28

異界

 菅原道真から異界とやらに飛ばされ15年が経った。


 異界というからとんでもない所に飛ばされたかと思ったが、何のことはない、ここは大昔の日本のような世界だった。


 使われている言語も日本語だったので、特にコミュニケーションで困ることもなかった。




(しっかし…まさか赤ん坊から人生をやり直すことになるとはねえ)




 父は孝霊コウレイ天皇。

 母は倭国香媛ヤマトノクニカヒメ


 なんと俺は皇族に生まれ変わったのだ。


 俺は孝霊天皇の三男で彦五十狭芹彦ヒコイサセリヒコと名付けられた。


 クニの皆にはイサと呼ばれている。




 この世界のことを調べてみたが、今はどうやら紀元前で、ここは元の世界の奈良県辺り、黒田という地名だということ以外よく分からなかった。


 聞いてもちんぷんかんぷんなのだ。




(こんなことなら歴史をもっと勉強しとくんだったな)




 それと、まだ実際に見たわけではないが人里から離れた所では魔物が生息しているらしい。


 時折り小鬼やなんかが里に降りてきて作物に悪さをするので困っている領民もいるのだとか。


 しかし元の世界と比べて魔物は弱いようで、皇族が戦士を率いて討伐したりもするそうだ。




(父ちゃんも鬼退治したとか言ってたし)




 さて、今日はある儀式が行われるため皇居の庵戸宮イオトノミヤに呼ばれていた。




「お呼びでしょうか。父上」


「うむ。今日はお前が一人前のおのこになる日ゆえ、成人の儀を受けてもらう。ついてまいれ」




(へえ、この時代にもこういう通過儀礼的なことがあるんだな)




 父に連れられ宮の裏手にまわると、小さな社があった。


 ギィ…と父が社の扉を開ける。


 そこには地下に通じる階段があった。




「イサよ。ここを降りて中にあるものを見てまいれ」


「え…?見てくるだけでしょうか?」


「そうだ。ただ見るだけでよい」


「…承知しました。行ってまいります」




(わ、わけわかんねえー…俺暗いとこ超苦手なんだけど…)




 階段を恐る恐る降りていくと、長い通路があった。




(あれ?真っ暗ではないな。壁がうっすら光ってる)


 薄く光っているものを触ると苔のような植物が生えていた。


(…これはヒカリゴケ的なやつ?これならなんとかなりそうだ)




 それでも暗いことは暗い。


 壁に手をつきながらゆっくりじわじわ歩いていくと、奥の方に扉が見えた。




 なんとか扉に辿り着き、取っ手に手をかけ力を込める。




(ここがゴールでありますように!)




 勢いよく扉を開けるとそれなりに大きな空間があった。


(うおっ!まぶしっ!)


 その中心に強い光を放つなにかがあり、思わず顔を背ける。




 ようやく明るさに慣れ、そこにあるもの、いや、いたものを見た俺は驚愕した。




(こ、これは…!?)

主要人物紹介


孝霊天皇コウレイテンノウ:7代天皇。日本で初めて鬼退治をした人物。勇気に溢れ、かつ賢い。剣の腕前も一流。


倭国香媛ヤマトノクニカヒメ:孝霊天皇の妃。優しく聡明。良妻賢母を地で行くような人物。

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