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最終話です。

 いつもは妖達が行き交う仲の街の大通りだが、今日ばかりはその姿はなく、大通りの中央に植えてある木々も姿を消している。


今日はいよいよ天神祭のために妖猫の一族が収める地区に出立する日だ。


昨日は心配性の月天から懇々と気をつけるべき注意事項を聞かされ逆に妖猫の一族、特に琥珀に対する先入観が強まってしまった気さえする。


自分の目の前に長く連なる行列をぼんやりと見めていると、すぐ側に控えていた極夜に苦言を呈される。


「一応今回の責任者はあんたって事になってるんだがら、その阿呆っぽい顔やめてよね」


極夜の表情は相変わらずで、時々自分を見張る小姑のようにすら感じることがある。けど、実際の彼は心優しい兄弟想いで月天想いの優しい妖狐だ。


極夜に言われ表情を引き締めると、出立前の勅命書が読み上げられる。


「天神祭の警備及び運営の援助として派遣を命ずる」


「しかとお受け取り致しました」


紫苑の代わりに上役より勅命書を白夜が受け取ると、極夜が列を作りだす一族の者達に号令をかける。


極夜の号令が響くと列の先頭がゆっくりと動き出し、曼珠の園と外界を隔てる大門をゆっくりとくぐり抜ける。


紫苑は責任者として名を記しているが、肩書きは月天の婚約者候補だ。そのため列の中心ほどの位置で仰々しい輿に乗せられ妖猫の屋敷へと向かう事になっている。


自分の乗る輿の両端には小雪と凛が控え、更に前後には極夜と白夜が控えている。


これほど心強い面子はないと思うが、どうしてもまだ知らぬ未知の場所へ向かうのは不安が募る。


最後にもう一度見慣れた夢幻楼を見ようと輿の御簾越しに振り返ると、夢幻楼の月天の自室の大窓に月天らしき姿を捉える。


今日の出立式には立ち会えないと言っていたので、もうしばらくその姿を見ることは出来ないのかと寂しく思っていた分、思わぬ形で月天の姿を見れたことで紫苑の心に積もっていた不安が溶けていくのを感じる。


自分のためにも、月天のためにもこの天神祭のお役目は必ず無事に成し遂げなくてはならない。


そのために今日まで厳しい行儀見習いや呪術の講義も受けてきたんだ。それに紫苑一人ではない。


紫苑は月天から別れの際に贈られた腕輪を強く握りしめる。


ゆっくりと紫苑の乗る輿が大門をくぐり抜ける。


もう振り返ることはしない。


晴わたる青空には雲一つなく、これから訪れる夏の本番を告げているようだった。


ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

異類婚奇譚、しかも和風の世界観ということで苦戦しつつも何とか1部完結まで書き上げることができました。

第二部は夜市編ということで舞台を妖猫の一族テリトリーになります!

第二部以降どんどん月天の主人公に対する執着が増し増しになっていきますのでヤンデレ好きの方は是非2部もお楽しみに!


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