表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしようもなく救いがない世界  作者: 十ろろ昆布
第一部 そうだ、宝探しをしよう
7/11

一生に一度のお願い

そう私達にとって宝探しはテストの点数が悪かったり、友達と喧嘩した時にいつも行う2人だけの合言葉だ。

基本的には憂さ晴らしだったり愚痴はだらだらと言い合ったりするだけの行為だけど、それでもいつも最終的には何とかなった。


「今日は入学式だったからさ、まだ昼過ぎ出しちょっとくらい長居してもいんじゃない?」


あかねの顔をじっと見つめて返事を待つ。しかし、難しい顔をしてなかなか応えてくれない。いつもなら即答で応えてくれるのに今回のやつはあかねにとって大事なことなのかも。

こちらから強制するものではないのでどうなるか分からないけど、無理だったとしても途中まで一緒に帰れるだけで十分だ。


「もう、わかったわよ。なら学園でも散策しようか」


「うん!」


少しだけどいつものあかねが戻ってきたようなに感じた。




「そういえばさ、校舎までの道のりすごくなかった?」

「いや、私は校門入ったらすぐに校舎に着いたけど、何かあった?」


なら、私の冒険談を聞かせてあげようじゃあないか!

灼熱の砂漠を越え、ビル10階ほどの高さの滝壺を飛び降り、湿度が凄まじい熱帯林を越えながら様々な試練を乗り越えた話を!


「まあ、全部嘘ってのはわかったから本当はどうだったの?」


「全部嘘じゃないもん!天使はホントにいたんだよ!」


「それじゃあ、天使以外は嘘の話であってるのね」


人の揚げ足取ってすぐ私を悪い方向に仕向けるのはやめなよ!

確かにちょっと大袈裟にいいすぎたかもしれないけどさ、そんなに私のこと信用できないの?普通にショックなんだけど。


「別に薫のことは信用してるから、そんなに落ち込まないで」


「すごい!エスパーだ!!なんでわかったの!?」


「顔に出てたよ」


「じゃあ、これはどう?」


フフン、これはさすがのあかねでも絶対に分かんないだろうな~。感情の数だけでも4つはあるから正解にたどり着かないだろうし、勝ったな。


「説明省くけど、どうせ何も考えてないでしょ」


「何でわかったの!?教えてよ!」


「人の話聞いてた?説明しないってさっき言ったんだけど」


「いいじゃん、どうせ私のことなんだしネタバレしても誰も怒んないって」


いや、待てよ。この思考にたどり着くってことはもしかして……。


「いや、それだけは絶対ない」


「まだ何も聞いてないけどさ!せめて言ってから否定してよ!」


「どうせ、『私のことめっちゃ好きじゃん』的なことでしょ、それなら聞く必要ないよ」


ホントにこの娘はなんてクールなんだ、少しはボケて欲しいし、なんなら私に対して少しは感謝してよね。


「そういえば、散策って言ってもどこから行くの?」


「そこら辺はほら、行き当たりばったりと言いますか、学校を一回りできたらいいな程度で」


「それ、今日中に帰れる?」


「さすがに学校回るぐらいだったらかえ」


ふと目に入った地図を見てみると巨大スクリーンサイズで校舎が10分の1を満たさない程、様々な立地や環境が見受けられた。

この学校やっぱり広すぎる!絶対歩いて行けるような設計されてない。


「「うーん」」


2人でいろいろ考えてみたけど、中々行き先が決まらない。

共通意見として今日中は無理というのはでたが、行き先1つ1つがあまりに遠く時間や魔力総量からして草原エリアか決闘エリアの2つに絞れたけどそこから先が決まらないのだ。

2つの位置に何故か「危険度レベル3」と書かれたマークがとても怖い。

学校の敷地内で戦争でも起こってんの?

校舎まで戻ってもいいけど何か嫌な予感がするし、やっぱりこの学校危険なのでは?


「薫、これ見てみ」


「ん?……おお、こんな機能あるのか」


エリアの記された箇所に手をかざしてみると現状活動してる部活動や未使用の施設についてが表示された。

これ、めっちゃ便利じゃん!ショッピングモールとかでも実装してほしいな。こんな機能が何でこの学校に実装してるんだろう。まあ、ここでは常識なんて通用しなさそうなだし考えるだけ無駄か。

というか決闘エリア内にある「第1種危険物実験室」って何?そんな危ないもの使うことあるのかな?絶対過去で事故ってるにちがいない。


「あ、この学校にもテニス部あったんだ」


懐かしいな~、みんな元気にしてるかな?まだ卒業して1ヶ月しかたってないのに感傷に浸ってしまう。そんなにいい成績とかは残せなかったけどみんなと会うだけでも楽しかったし、出来るなら戻りたいな。


「テニス部見に行く?」


「行きたいけどさ、あかねは先に陸上部行かなくていいの?」


そう、私なんかよりもあかねはとてもすごい。長距離の部で全国大会3位だし、引く手あまただったのに、家に近いというだけの理由でこの学校に入学したのだからまだ走りたいという思いが残っているはず!


「ちょっとは興味あるけどさ」

「なら、やっぱりじゃんけんで決め」

「でも、これみたら身の危険感じちゃって」


いったいどれのことだろう?先ほどの画面では「陸上部」としか書かれてないし、活動場所も平原エリアにあるからそんなに危険そうには感じないけどなあ。


「陸上部って書かれてるところ押してみ」


押してみたが部活の活動内容や実績が表示されて……、ん?

地雷原徒競走1位?加速幅跳び?書かれてる内容が全く理解できない。


「やっぱりこの学校狂ってる」


「こんなこともうみんな知ってるわよ」


まあ、生徒会があれなら生徒がどうなっていくかなんて想像つくけどさここまでひどいこともないと思う。


「何かもう疲れちゃった」


「薫が言い出しっぺなんだから少しは頑張りなさいよ」


「そんなこと言ってるけどあかねだって気疲れしてるでしょ?」


「まあ否定はしない」


いやー、何も思い付かない。結局この2択から決めないといけないの?

言ったら悪いけどほぼほぼ罰ゲームみたいなものなんだよなあ。1つは狂人の集まりでもう1つは命の危険があるし、なんなら誰か第3の選択肢作ってくれないかな~。まあ、そんなことしてくれる人は誰もいないと思うけど。


「今日も散々だったね~」


「さすがに遠征訓練は汗をかいてしまうのでもっと楽な授業がしたいわ」


この透き通るような声、まさかそんなことが!?


「ランドル教官がいつになく張り切ってたから嫌な予感はしてたけどさ、わざわざ往復30kmコースを選択するとか正気じゃない」


「でも確か今年は会長が授業の担当に入っているから対抗心燃やしてるって聞いたけど本当かしら?」


「マジで!?」


()()価値はあると思うけど、どう?」


「乗った!!」


神は私を見放さないでくれたのか!ありがとうございます!

やっぱり困ったら神頼みしとけば良いことが起こるってほんとなんだなあ。









☆数時間後


「まだ追ってきてる!?」


「めっちゃよだれ垂らしながらこっちに来てるよ!!」


全速力で目の前の危険から逃げているがまだ無事には帰れそうにない。




やっぱり神頼みなんてしない方が良かったよ!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ