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どうしようもなく救いがない世界  作者: 十ろろ昆布
第一部 そうだ、宝探しをしよう
2/11

ここであったが百年目!

十分ぐらい歩いたがまだ校舎にたどり着く気配がない。いくらなんでも広すぎる!

そろそろ色んな視線が気になって気疲れしそうだ。



「……、相変わらず()()の見物ですか。」


「どうかしましたか?」



ミュリアさんが立ち止まって小さく呟いた。



「いえ、そろそろお別れの時間のようです。」


「え?」



まだ校舎に近づいたようには感じないし、クラス分けだってまだ見てもない。それよりもこの至福の時間が終わってしまうのが何よりも苦痛だ。

ふと、後ろを向いてみるとそこにはクラス替え表が貼ってある()があった。


「では、またどこかで。」


そしてミュリアさんに質問しようと試みたが、いつの間にかミュリアさんの姿はなく、あるのは新入生たちで賑やかになっている校舎玄関だけだった。


(これも魔法の1つなの?)


こんな芸当が魔法でできるなら、もう何でもアリではないのか。

まだ夢を見ているのではないか?考えるだけでも嫌になりそうだ。

まあ、目的地についたから良しとしよう!


「あ、薫じゃん。もう着いてたんだ。」


「私だって早く着くことあります~!」


「はいはい」


少し上から目線の逆巻(さかまき)あかねは幼稚園からの幼馴染だ。

相変わらずあかねは私のことをドジキャラだと思っている節がある。

私はただ朝が弱いだけで宿題等の提出物はちゃんと期限までにはだしてるし、勉強も平均ぐらい点数だし問題ないのに......。

ん?もしかして私っていわゆるモブキャラなのでは!?


「おーい、そろそろ自分の世界から帰ってこーい。」


「あいたっ」


相変わらずすぐに暴力をふるうのは変わってない。少しは殴られる身にもなってほしいものだ。

自分のクラスを確認しながらたわいもない話をした。

得意不得意の魔法の話をしたり、ミュリアさんの事を話したり、どんな部活があってどこに入るつもりなのかなど。

気づいたら一年生クラスの階に着いた。

お互いの教室の場所を確認し今日一緒に帰る約束をしたのち別れた。


「あ、そういえば、薫のクラスにはアイツがいたけど大丈夫かな?」


そんなあかねの独り言を聞けたのならこれから起こることの一割ぐらいはどうにかなったのに。





私は1-Hであかねは1-Ⅲでバラバラに離れてるからお昼誘うのめんどくさいなー。

ここが私の教室かー。歩くと結構距離あったなあ、というかこの学校クラス数多すぎない?

全体の生徒数は700人ぐらいってパンフレットに書いてたけど、一クラス何人なのかな。

まあ、新しい出会いをもとめようじゃないか!

確か私の席はー...。


「あ」

「あ」


ふと目があった。この世で一番見たくなかったのに。もう家に帰ろうかな。

空笑いをしながらこちらにって手を振ってくる。

てかなんで同じクラスなんだろ。それにあかねはこれ絶対知ってて何も言ってないだろうな。後で一発殴っておこう。


仕方なく私に手を振ってくる男遊崎透遊崎透(ゆざき とおる)の紹介でもしておこう。

こいつはあかねと一緒で幼馴染みだか、中等部のころに一時期付き合っていた元彼だ。

中等部の話は長くなりそうなのであまり話せないがこいつがあまりにも優柔不断だから私の方から別れを告げたのだ。

まあ、実際付き合ってはみたもののそんなすぐにはお互い適応しなかったのが大きいかもしれない。

そんなこんなで、こいつと会うのは少し気まずいのだ。


幸いにも向こうも同じなのか分からないが私に話かけてくることはなかった。


自分の席に着いて少し辺りを見渡してみると、見ただけで個性的な人は多いが中等部の時とさほど変わらないほど変化はなかった。

これからの学園生活のことを少し不安になりながら今後の方針を心のなかに刻んでいると丁度チャイムが鳴った。


「よーし、お前らさっさと席に戻れ。」


教室の扉を開きながら教師の人が入って来た。

周りの人も段々席に着きはじめており少し緊張した空気が漂いはじめた。

どこか気が抜けてるような雰囲気をかもし出しながらだらけた服装で教師が教壇に立った。

ミュリアさんと同等かそれ以上の大人な女性だ。


「まず、お前らに一言先にいっておくが、私はこのクラスの担任ではないし、誰かが担任になることもない。」


「じゃあ、HRや行事等は誰が先導するのでしょうか。」


あたかも委員長らしき人物が今の私たちの心の声を代弁してくれた。


「その質問に答える義理もなければ、君らが知る必要もない。」


その言葉を聞いた瞬間背筋に悪寒を感じた。

誰も返す言葉を発せずに少し時間がたとうとしていた。


「はぁ、後で副会長がそのあたりについて説明するだろうからその時まで待ってろ。いいな?」


全身の緊張がとけ、今まで息ができないような空気が一変してゆるくなり気が楽になった。

しかし、誰も声が出せず、首を縦に振ることしかできなかった。

そもそも反論の一つでも言ったのであれば殺されるに違いない。

この時、クラスが一つになった。ほぼ強制的に。


「話が早くて助かる。さて、本題に入るがこれから09:00に第三競技場にて入学説明会を行う予定だ。席順については会場につけば分かるから気にしなくていい。その後については追って連絡がくるだろう。

何か質問があるやつはいるか?よしいないな、なら廊下に近いやつから外に出てくれ。」


急に早口で説明された!流石に雑すぎるのではないか。

そろそろ立って外に出ろみたいな目線でこちらの方をじっと睨んでくる。

まだ死にたくないので急ぎ足で教室から出た。こんなところで死んだら未練しか残らないよ。


「よし、全員廊下に出たな。なら私の後に一列並んで付いてこい。」


教師は後ろを振り返ることなくすぐさま歩き出した。

誰が先頭になるかで少し混乱したが、先ほどのことをみんな思い出したのか分からないが、

自然と一番近い人から順に列になり歩き出していた。

結局私の隣の席の人はまだ来ていなかった。












階段を何段か降り、渡り廊下を歩くと広間に出た。

この間に他クラスの人を一人も出会わなかったのにここが説明会場なのかな?


「1-H全員集合完了だ、このまま()()()()()。」


「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」」


気づいたら外に出て落下していた。

スパルタすぎませんこの学校!精神的に病みそうだよ!

周りも阿鼻叫喚でまるで地獄絵図みたいになってる。

かく言う私も、

「いいいいいやあああああああああああ」


この状況で冷静になれる人いるのかな。


『申し訳ないけど飛行で制御しようとしてる人は解除してもらってもいいかな、こっちの操作ミスで人殺しになりたくないからね。』


これ、脳内に語り掛けますのやつだ!本当にやる人いたんだなあ。


『基本的にこの連絡方法で情報共有するから慣れといて損はないよ。』


そういえば私の心の声が向こうに伝わるの忘れてたな。でも、このクラス全員に話して聞き取ってるってことなのかな。そもそもこの人数を飛行で操作しながら念話できるって何者なの。


『そろそろ着くからみんな目を閉じて待ってて』


元々成す術ないので言われたとおりに目を瞑って待ってみることにした。

あっ、いつ目を開いたらいいかいわれてない。まあ、何とかなるか。

さっき言ってた飛行で制御しようとしてた人って誰なのかな。あの状況でとっさに使えるような簡単な魔法じゃないのに。気のよさそうな人なら友達になって一緒に勉強したいな(あの野郎なら一発ぶん殴っていこうかな)。

私はそこまで頭が良くないので教わる専門だけど怒られないなあ。













???

「これからどうする?」


「いないものは仕方ないわ。このままで行く。」


「そもそもプログラムの構成に入れてるだけで台本あるし誰でも代用はきくからね。」


「相変わらず私たちはいいように使われて尻拭いを任されるだけの道具でしかないのよ。」


「まあまあ悪口も程々にね。彼も忙しいからゆるしてあげて。」


いつものようなやり取りを今日もまた繰り返す。

大体、彼は今回参加できない予定で把握していたけど、せめてもの役割として参加はしてほしかったわ。


「あなたはいつも他人に優しすぎるわ。」


「それだけが僕の取り柄だからね。」


まあその行動に惹かれている私も甘い女の一人なんだけど。


「そろそろ始まるね」


外が段々賑やかになってきた。この時間もそろそろ終わりか。今度はいつになるかなあ...。


「まあ、そのうち買い物でも行こう」


「もう!そうやって直ぐ人の心読むのはよくないと思うわ。」


こっちの反応見ながらニマニマするの止めてほしいけど、そんな無邪気になるところを独り占めして見れるのは特権かな。


「それじゃあ、そろそろ行こうか。」


「エスコートは任せるわ。王子様。」


「う、そうやってプレッシャーかけるの良くないよ。」


さっきのやり返しだからこれでおあいこでしょ。黙って連れて行きなさい。






まもなく始まる会場にて2人の男女が手を繋いで歩き出していた時

当の本人はというと......。


「ふわあ、今日もいい天気だ、悪くない。」


そんな独り言を呟きながら昼寝をしようとしていた。



大体「衝撃緩和」を10とすると

飛行 200

念話 190

念話飛行同時 630

で換算してください。特に理由はないはないため記載してませんが、薫のクラスの人数は30人です。

(正直名前を考えるのが面倒なだけなのはここだけの話)

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