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異世界転生?~THE PROMISE~  作者: 紅椿
転生?編
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お使いと出会い

 俺が生まれた日から、早くも五年の時が流れた。その五年で分かった事は、どうやら俺が良いところのお坊ちゃまという事だった。ちなみに一人っ子ではない。

 俺の父の父、つまり俺の祖父が、この国が建国されてから宰相として国を支えてきたとんでもない人物だったらしい。今は父が宰相として働いており、祖父は引退したようだが、それにしてもおじいちゃん何歳?

 建国って何千年も前でしょ?寿命長すぎでしょ!?

 祖父の名前はバロンと言い、二百年前にあった神の戦いのときに功績を上げ、現国王、通称魔王からバベルという家名と公爵の爵位を頂いたようだ。

 少し前に、何故引退したのか聞いてみた。その時祖父が言った言葉が——


「私がお仕えしたのはただ一人……。いや、子供にはちと難しいの、簡単に言えば世代交代じゃ」


 と言っていた。その時一緒に居た祖母、ラニンが、


「世代交代も難しいのでは?」


 と突っ込んでいたが、俺が理解していたからセーフだろう。


「何か考え事?」


「あ、いえ!少しボーっとしていました」


 目の前の机を挟んで向かい側に居る母上に声をかけられて、俺は記憶を掘り返すのを止めた。

 今は勉強中だ、一か月前に俺がこの世界の事を知りたがったのが原因である。今教えてもらっているのは国歴、この国の歴史だ。

 この国は約二千年前から続く大国で、大陸統一国家、戦闘国家と呼ばれているらしい。

 建国したのは二柱の神、魔神王バアルと、戦の女神アリスという神が主体になって国を興していったらしい。

 それから二百年前まで国のトップとして君臨していたが、ある事件のせいで二柱とも消えてしまったらしい。ある事件については「まだ早い」と言って教えてくれなかったので、いつかまた聞くことにしよう。

 そして今、新体制で魔神王の息子と娘がトップとして国を回しているらしい。


「続けるわよ?そして、魔神王様と女神様、その家族で構成された国の幹部組織、十指は今の魔王様になって「二神十指」になったわ」


 その幹部の会議室に父上が一度行ったことがあるらしいのだが、その時のことについて話してくれたことがある。

 

「部屋の真ん中に円卓があって、一番奥の二つの椅子は空席だった。そして机を囲むように幹部の住人の方々の席があったよ。椅子にはそれぞれ色のついた石がついていて——」


 と、長々と語ってくれた。

 

「ノア?どうかした?」


 また授業を無視してしまっていたようだ。流石に二回目は母上に失礼だろう。


「今日は疲れたわね…。そうだノア!お父さんにこれを届けてくれない?」


 そう言って母は俺にペンの様なものを渡してきた。

 授業に集中できない俺を気遣ってくれたんだろう。本当に優しい人だ。


「そろそろあの人のペンのインクが切れるころだから、お願いできるかしら?」


 父上が働いている王城はここからすぐの所にある、玄関を出たらもう目の前だし俺だけでも行けるだろう。

 それに、届けさせるだけなら使用人の人に頼めば済む、そうしないという事は、俺に散歩でも行ってこいと言ってるんだろう。安全な城に我が子を向かわしても、何も心配することも無いからな。


「分かりました、僕に任せてください!」


「ありがとう」


 母上はニコッと笑って俺の頭を撫でた。精神年齢が高い俺は少し恥ずかしいが、もっと恥ずかしいことがあったから慣れた。

 城に行くのは初めてじゃないから、父上が働いている部屋も分かるし大丈夫だろう。

 屋敷を出て、数秒で城の門までたどり着いた。

 子供の足でこの早さは近すぎると思ったこともあったが、宰相だから家は近い方がいいらしい。


「おやネロ様、今日もお使いですか?」


 門番の兵士が話しかけてきた。人のよさそうな中年男性だ。俺とは顔見知りでよく話しかけてくる。


「はい!今日もお疲れ様です」


「いえ、これも仕事ですから」


 そう言って門を開けて敬礼した。俺が中に入ると門はゆっくりと、だが直ぐにしまった。

 城は三本の塔からなっていて、父上の仕事場は真ん中の塔にある。だが今は昼時だから食堂にいるだろう。

 最初は、宰相って個室じゃないの?と思っていたが、これも文化の一つで、「飯は皆で食え」だそうだ。

 食堂は一階で、近いんだが昼時は混む。皆で食べに来るから当然だが、子供には結構きつかったりする。


「うわあ……」


 それが忙しい日だとなおさら、皆急いでいるので小さい子供が入ろうものなら、踏まれても文句は言えないほどだった。

 さてどうしようか、そう思って考えていると、横で俺と似たような声を出した人が居た。


「混んでるなあ、どうしようかな」


 真っ白な髪、白い肌、赤い目が目立ち日本風の真白な着物に、所々金や黒などの色が入っている。身長が低めの中学生ぐらいの女の子だ。そして腰に刀を差している。

 その容姿もだが、こんなところに子供がいるのが珍しくて、つい見入っていると目が合った。


「ん?どうしたの僕、迷子?」

 

 俺と目線の高さを同じにして聞いてきた。


「いえ、迷子では無くて、中に居るはずの父上に用があってきたのですが」


 俺がそう言うと、少女は驚いた顔をして、その後ニコッと笑って言った。


「小さいのにしっかりしてるのね、よし私が連れてってあげよう」

 

 そう言って俺を抱きかかえ、人でごった返す食堂に入っていった。

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