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異世界転生?~THE PROMISE~  作者: 紅椿
龍の民編
46/77

お別れ

 現在、魔神領の王都にある城に居ます。

 バカでかい城の客室に泊まらせてもらって三日が過ぎた。

 聖国の兵士は現在魔神領の兵士と戦争中という事にして訓練を行っている。

 どうやら聖国の兵士も何かがおかしいと思っていたようで、クシフォスが演説?の様なものをしたので完全に戦意喪失。今国に帰られると面倒という理由で草原に簡易的な家を建て、そこで寝泊まりしているようだ。

 僕たちは贅沢な暮らしを堪能している。メイドさんが朝になると起こしに来てくれ、そのまま豪華な朝食。その後は寝るまで好きに過ごすという生活を送っていた。

 戦争していたのが嘘のような感じだ。

 聖国では硬いベッドに美味しくないご飯、朝起きて寝るまで訓練と夜には変な聖書を読まされていた。今思えばそれが洗脳だったのだろう。 

 正直このまま魔神領に移住したいと思っていると、青い長髪の男の人が僕たち四人を集めて言った。


「少し質問してもよろしいですか?」


 丁寧に聞かれて断るわけもなく、この人、アオボシさんの質問タイムが始まった。


「聖国で中々入れないような場所、立ち入りを禁じられている場所がありましたか?」


「聖剣が置かれていた場所は勝手に入るなと言われていましたが他は……」


 正直訓練しかやってなかったから観光何てしてないし、城の中を歩きまわることも無かった。毎日寝室から訓練場までの往復位しかしていなかったから、心当たりがあまりない。


「では、その場所には他に何がありましたか?」


「他には…盾、槍、弓、あと銃みたいなのと、手に付ける物、斧、双剣……あ!花もありました。あとおっきな十字架も」


 俺が記憶を辿り、覚えている物を全て言うと、一瞬アオボシさんの雰囲気が変わった。


「分かりました、ありがとうございます。では最後に……元の世界に帰りたいですか?」


「帰れるんですか!?」


「方法が無い訳ではありませんが、どうしますか?」


 元の世界に帰れる。もう帰れないと思っていたから、声を出して喜びそうだった。だが、一つ疑問が生まれた。


「玄樹は?あいつはどうするんですか?」


 俺が聞くと、アオボシさんが少し言いずらそうな顔をした。それだけで大体分かってしまった。

 多分あいつは帰れないんだろう。


「残念ながら玄樹くん、ノア君はこちらの世界で生まれたので……」


 あいつだけが帰れない。じゃあ俺はあいつを残して帰ることはしない。

 確かに家族は恋しい。心配でもある。でも俺たちは元の世界に帰って玄樹だけ置いていけば、きっと俺は後悔するだろう。


「じゃあ帰りません」


 アオボシさんの話を聞いた皆も同意見だった。

 という事で、完全に異世界の住人になることになった。アオボシさんは、一度元の世界に送るからきちんと家族にお別れを言ってきなさいと言った。

 アオボシさんの言う通りに一度帰って親に会った。だいぶ無理しているから出来れば一時間で済ませてほしいと言われたので、俺の家を集合場所にして家族に会った。

 元の世界は一時間しか時間が経っていなかった。だから「ちょっと遅かったね」としか言われなかったが、話を切り出したときは頭の心配をされた。

 だが手から少し炎を出したら信じてもらえた。こういう切り替えの早さが僕の家族の良いところだ。


「寂しくなるが、まあ頑張りなさい」


 手紙ぐらいなら送れるという事を伝えると、普通に送り出してくれた。こういうのは普通は引き留められると思うんだが……。

 色々準備をして外に出ると、豪気が居た。豪気は元々卒業したら海外に行くと言っていたし、両親も放任主義なため、


「食い扶持が減って助かるよ、ただでさえ多いからなあ。まあ手紙は書けよ、毎日」


「あんた!寂しいならそう言いなさい!」

 

 みたいな感じで別れて来たそうだ。元々おじさんたちは変わっていると思っていたが、今日で再確認したな。

 こっちに戻ってきてから三十分ぐらいたった。中々左雫達が出てこないので玄関を開けて覗いてみると、おじさんの怒鳴り声が聞こえた。


「そんな危ないところに行きますと言われて、はいそうですかって言えるわけないだろう!」


 今聞いた中で一番まともな意見だった。これが普通の反応、僕と豪気の親がおかしいのだ。

 ここで喧嘩別れになっては良くないので、何とかおじさんを説得する。

 おばさんは茶を飲みながらテレビを見ているが、まともな親はおじさんだけかな?お笑い番組だし……大爆笑だし。


「お前も何か言わんか!」


「はあ?子供がしたいって言ってること止める馬鹿な親がどこに居るのよ!!」


 いい言葉に聞こえるが何故だろう、おじさんの方が正常に見えるのは……。


「もういいわ、左雫、渼右!ちゃんと手紙書きなさいよー」


「私は未だ許すとは言って————」

 

 鈍い音がしておじさんが倒れた。正直おばさんが異世界に召喚されても余裕で生き残りそうだ。


「じゃあねお母さん!」


「毎週書くから!」

 

 ニコニコしながら手を振るおばさんの横には、おじさんが転がっていた。寒気がしたのは言わない方が良いだろう。

 別れは済ませた、後は玄樹の両親に報告だ……。

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