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異世界転生?~THE PROMISE~  作者: 紅椿
転生?編
3/77

変わる世界

 目が覚めればいつも通りの朝、なんてことは無かった。いつも一番に目に入るはずの物はそこには無く、ただ真っ白な雲だけが見えた。 そしてもう一つ、この後神と名乗りそうないかにもな老人が一人。


「おお。起きたか」


 その老人はこっちに近づいてきた。俺の目の前に立ち、一息置いてから告げた。


「わしはこの世界の神じゃ、単刀直入に言うがお主は死んでしまった」


 死んだか…。俺は多分夢だと思ったかもしれない、最近見せられた本のせいだと、そう思ったかもしれない。ただ夢にしてはあまりにもリアルだった。

 俺が死んだ事を受け入れた理由はもう一つ、それは頭上に広がる反転した街の景色を見たからだ。

 車が走り、人が歩いている。そして俺の葬儀が行われていた。遠目でしか見れないが、俺の親の姿を確かに見た。


「それで?どうするんですか、転生とか言わないですよね」


「最近の若いのは話が早くて助かるのお、そうじゃ転生じゃ」


 神と名乗った老人は、長く伸ばしたあごひげを撫でながら言った。

 こういう場合確か神の手違いとかのはずだが、そんなミスを犯したような態度には見えない。


「実はのお——」


 神曰く、この世界とは別の世界から勝手に異世界人を召喚しようとした奴らがいたらしい、異世界人は例外なく特別な力を持っているので、世界の危機なんかに呼ばれることがあったらしい。

 前も、相当昔にこの世界から異世界に召喚され、国を興した人間がいたそうだ。

 今回召喚されるはずだったのは五人、俺とあいつらだったらしい。普通は一秒で発動する召喚の魔法が、何故か俺が反応出来てしまい今に至る。

 そして、何故転生という事になったかと言うと、


「召喚の時に向こうの世界の因子がお主に交じってしまってな、輪廻の輪に返すことが出来なくなってしまったのじゃ。砂粒程度ならわしでも何とか出来たんじゃが…」


 転生させることが出来ないならもう向こうの世界に送ってあげようという事らしい。

 でも転移ではだめなのかと思って聞いてみた、答えはNO、理由はもう死んでいるからだそうだ。

 今の俺は魂を保護されている幽霊のようなもの、肉体があれば転移も出来たが魂だけになればそれは出来ないようだ。

 

「向こうの世界はいわゆる剣と魔法の世界じゃ、その分危険じゃが何かしら向こうの神が配慮してくれるであろう」


 ここで死ぬのもなんか嫌だし、あいつらの事も心配だ。召喚されたという事はあいつらは特別な力を持っているはず、そんな奴らを四人も召喚して何をするつもりなのか…。


「じゃあお願いします」


 ここで迷うという事は俺は異世界に興味があるという事、興味がわいたら何でも挑戦しろと教えられてきた俺に、このまま死ぬという選択肢はない。

 それに、何故か胸が高鳴る。感じたことのないような気持ちも、転生したら分かるかもしれない。


「では、向こうでも元気でな」


 神が俺に手をかざすと、この前の足元に現れた光の様に眩しく光った。

 段々と視界がハッキリしてくると、そこはさっきまでいた所ではなく、真っ白な空間だった。


「あら、転生することにしたのね」


 後ろから、女の人の声がした。

 声のする方を向くと、そこには女神という言葉がふさわしい女性が立っていた。少し日焼けしたような褐色の肌と長い黒い髪、真っ白なドレスを着ていて、腕には金の腕輪がはめられていた。


「うちの世界の馬鹿が御免なさいね、貴方達を巻き込んでしまったわ」


 女神が馬鹿……?馬鹿と言ったのか?

 取り乱してはいけない、冷静に冷静に。


「あ、名乗ってなかったわね、私はヘラ。本当は結婚とかの仕事をしているんだけど、今転生の神がいなくて代わりに私が担当してるの」


 仕事、担当、物凄い現実的な言葉が聞こえたが無視しよう。

 そんなことよりも召喚された経緯が知りたい、何故召喚されたのか、誰がそんなことをしたのか。


「順番に話すわ、先ず召喚者は宗教国家の教皇よ、そして目的は分からないわ」


 一番重要な事が聞けなかったが、誰か分かっただけで十分かもしれない。

 さっさと話を終わらして、転生しよう。


「貴方、たくましいわね……」

「まあいいわ、貴方がそう言うなら手早く済ませましょうか。今から貴方が転生するのは神が密接にかかわっていた世界。魔法があり色々な種族が住んでる貴方の世界とは真逆の世界、でもいいところよお空は綺麗だし森自然は雄大、私たち神が下界に住んで色々手を加えてたからね。でも今下界に居る神は少ないわ」


 神が住んでるって、そんなんでいいのか?

 普通神様って人間とはかかわらないような感じじゃないのか、俺の神様像が壊れた。


「危険も多いけどその分何かしらのギフトとかあるわよ?」


 ギフトねえ……。

 結構慎重に選ばないといけないやつだろ?左雫から読まされた本では、外れスキルとかいう奴は酷い扱いを受けていたし…。

 

「魔法とかって俺も使えるんですか?」


「貴方は…あ、雷属性の適性があるわね、それに…わお!とんでもない魔力量ね、こんだけあったら赤ん坊じゃ耐えられないわ」


 不穏な単語が聞こえた気もしたが、魔法は使えるからいらない、しかも魔力量というのもいい感じらしい。となると……あれ?何にもない?正直本の知識だけじゃよくわからないし、唯一必要そうな魔法も使える。

 分からん!いや待てよ?たしかこういうギフト系をもらうとき強力な武器をもらってるやつがいたな、となると……。


「刀が欲しいです」


 完璧な要望ではないだろうか?剣道をしていた俺に剣はピッタリ、しかも無駄な要望をせずに女神の気分を害さない。

 だが女神の反応は思ったより渋かった。


「ごめんなさいね、剣とかそういうのは分からないのよ、しかも剣神も下界に住んでいるって言った子の一人だし、もらえるとしても転生後になるわ」


 そもそも赤ん坊の時点で刀を持っているのもおかしいしな、もらえるのであれば構わないとそう思った。

感想待ってます(ノ・ω・)ノ

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