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異世界転生?~THE PROMISE~  作者: 紅椿
転生?編
25/77

師匠と一緒に

すいません!体調不良のため遅れました!

 中央学園大イベントの一つ、夏季新入生クラス別闘技大会。

 各国、各大陸から学園に通う生徒の保護者が我が子の成長した姿を見ようと、世界で一番大きい、学園のシンボル。神魔闘技場に集まる。

 大会は4日に分けられ、学園には出店などが多く出店し、お祭り騒ぎとなる。メインの大会はCクラス、Sクラス、Bクラス、Aクラスの順番で行われる。観戦席には優先的にその日のクラスの保護者が入り、後は先着順。もし入れなくても、大規模な投影魔法で外から出も観戦は出来る。


『さあ!今年も熱いこの季節がやってまいりました!生徒の熱気と太陽の熱気が更に熱くする!夏季新入生クラス別闘技大会!!今年も進行、実況、を担当しますガイアと申します!どうぞよろしく!!』


 校内のいたるところに設置されたスピーカーから、アナウンスが流れる。

 ついに始まった大会の一日目、Cクラスの生徒たちが戦っているころだろう。

 大会はトーナメント方式で、クラスを25、25で半分に分け、その場でくじを引いてから始まる。シードは1枠、皆シードを狙いに行く。

 A、Bトーナメントに分けられ、二つのトーナメントで勝ち残った二人が、決勝に進む。

 観戦は勿論したかった。が、俺は今射的の出店の前に居る。原因は今射的を楽しんでいる白髪の少女、クサナギ様のせいだ。 

 クサナギ様は昨日、夜に俺の部屋にやってきてこう言った。


「今日はここに泊まるから、明日は一緒に出店回ろうよ!」


 神様で、師匠の頼みを断れるわけがなく、俺はその日一緒に寝ようとしてきたクサナギ様をベットに寝かせ、かたい床の上で就寝した。

 そして今に至るわけである。


「全然当たらない!ねえノア君。最後の一発であれ取ってみて!」


 クサナギ様はそう言って俺に射的用の銃を渡し、ど真ん中の白熊のぬいぐるみに指をさした。

 射的なんて何年ぶりだろう。中学校以来だから結構してないな。

 転生前は当たっても落ちなかったり、そもそも当たらなかったりしたが、それで笑いあっていたのが良い思い出だ。 

 まあ、取れと言われたからには全力で取りに行くが…。

 クマのぬいぐるみに照準を合わせる。あとはゴム弾を発射するだけだが、その前に弾を押す役割を持った部品に強化の魔法をかける。これで引き金を引けば、物凄い勢いで弾が発射されるわけだ。

 発射された弾は見事ぬいぐるみに命中し、ぬいぐるみは下に落下した。


「こいつはおもしれえ!まさかそんな魔法の使い方をするとはな!」


 射的の屋台のおじさんが、ガハガハ笑いながら言ってきた。文句をつけられるのかと思ったら、笑いながらクマのぬいぐるみを渡してきた。


「そんなに腹に弾がめり込んだぬいぐるみはもう景品に出来ねえからな、持っていきな!」

 

 白熊の腹に、黒いゴム弾がめり込んでいる。これは弾をとっても跡が残るだろう。


「すいませんクサナギ様、やりすぎました……」


 俺が謝ると、クサナギ様は笑いながら言った。


「全然いいよ、それに…こういうのも思い出だもんね!」


 どうやらクサナギ様はゴム弾をそのままにしておく気らしい。喜んでくれたのならいいが、今後は気を付けるとしよう。

 その後も、食べ物を食べたり、一日目は出店を回って過ごした。クサナギ様も満足したようで、直ぐに眠りについた。……俺のベットでな。

 またかたい床で寝て、次の日の朝を迎えた。

 二日目、Bクラスの試合をAトーナメントの決勝まで見て、昼ご飯を食べに店を回った。

 昨日も食べ歩いていて思ったが、貴族の親もいれば平民の親もいる。この学園の良いところが見えた気がして、少し心が温かくなった。

 そしてもう一つ、クサナギ様の食べる量が凄い。支払いは全額俺がしているが、銅貨1枚ぐらいが平均的な金額なのに、もう金貨が2枚分無くなった。


「ノア!楽しんでいるか?」


 ベンチでクサナギ様とかき氷を食べていると、アイシャが話しかけてきた。左手にかき氷、右手に綿あめ。さっき見た女神の仮面で左耳が隠れている。


「アイシャは随分お楽しみの様だな」


 俺がそう言うと、恥ずかしそうに顔を赤くした。そんなアイシャにクサナギ様が興味を示した。


「んー?どっかで見たことあるような…君、名前は?」


「私はアイーシア・レイーシスだ。貴方はノアの妹か?」


 アイシャが名乗った後、クサナギ様にそう聞いた。するとクサナギ様は、頬を膨らまして言った。


「私はこの子の師匠ですう!君よりも何千年も生きてるんだからね!」


「師匠!?待てよ…もしやクサナギ様では!?」


 アイシャが驚いたようにそう言い、それを見たクサナギ様が満足そうに微笑もながら頷く。だがクサナギ様も何かに気づいたのか、首をかしげる。


「君って聖国の王女じゃない?何か似てるんだよね」


「はい、そうですが……」


「あ、やっぱり?じゃあちょっと不味いね。アイーシアちゃん。私たちは敵国同士、それは分かるね?」


 クサナギ様が、アイシャが王女だと気付き、空気が一気に変わった。お祭りムードから、真剣な空気に…。


「……はい」


「じゃあこういう場では気を付けないといけない。君に敵意が無いのは分かるけど、何処に目があるか分からないからね。国の次期トップが他国の幹部と話してたなんてしれたら大事だ」


「了解しました……」


 クサナギ様はアイシャの返事を聞くと、ニコッと笑った。


「よろしい!じゃあ今日は悪いけど周りが動き出したら回れ右してね。今はノア君とデート中だから」


 動き出したら…?気になって周りを見ると、俺たち以外全員止まっていた。今になって気が付いたが、クサナギ様の手には剣が握られていた。

 クサナギ様が指を鳴らすと同時に周りの時が動き出し、同時にアイシャもこの場から去った。

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