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異世界転生?~THE PROMISE~  作者: 紅椿
転生?編
16/77

新しい師匠

最近は投稿時間を変更しています。大変勝手で申し訳ないです。

「さんをつけるな気持ち悪い」

 

 ルシファーがそう言ったので、今後は呼び捨てで呼ぶことにした。

 ルシファーとの修行は魔法を教えるとかいう生易しいものではなかった。身体強化の魔法を使いながら、ひたすら戦闘をするというものが果たして修行と言えるのか?今十回ぐらい気を失っているが、十回中たったの一回も攻撃を当てられず、毎回一発でKOされていた。

 あまりに鬼畜だったので、邪神様が修行の担当を変わってくれることになった。だが今も俺はルシファーにボコボコにされている。


「魔法の修業は良いとしてお前は基本的な戦闘力が無い」


 とルシファーに言われ、戦闘が終わることは無かった。 

 昼食をとったあとは邪神様の座学の時間だった。邪神様に理屈を教わってルシファーとの実戦で使う、といった流れだ。

 やっと雷でも撃てるようになるのかと思ったが、最初は身体強化を使いこなせるようになる為の話をするらしい。属性系の魔法は今の俺の魔力じゃ使えることは使えるが、相当時間が掛かるようで、そんな効率の悪い魔法より、簡単な魔法を覚えた方が何倍もマシだそうだ。


「そもそも属性系の魔法は、魔力を使った事象の再現だからね。だから得意不得意が出やすいんだ。例えば、火が嫌いなエルフとかは火属性が使えない子が多いし、海に面してる国の子は水属性の魔法が使える子が多い。まあ魔力が少なかったらいくら適性があっても使えないけどね」


 つまり、苦手意識がある魔法は使えないという事か?でも俺は火が怖いとか、水が苦手とかそう言ったことは無いのに、使えない。唯一使えるといわれた雷は好きかと言われると、そうでもない。


「君の場合は再現では無くて……簡単に言えば雷を召喚するみたいな感じかな。だから必要な魔力量も威力に比例して、とんでもない量になる。でも今は使えないだけ、16歳とかになったら使えるんじゃない?」


 16歳は学園に入学して一年たったぐらいか、それまでに退学とかなったら嫌なんだけどな……。

 魔法が使えない奴はゴミとか言う奴いそうだし、先生もそんな感じだったら全く楽しくなさそうだ。


「じゃあ始めよっか」


 身体強化について。

 今の俺は扱える魔力が少ない、だから身体強化しか出来ないんだが、身体強化も限定的にしか出来ない。

 まず身体強化とは、魔力を筋肉や各機関に巡らせて無理矢理リミッターを外すようなもので、子供でも大人を一捻り出来るような力を得られるが、反動を押さえるように魔力をコントロールしないと、体が弱い奴は直ぐにガタが来るらしい。

 だが俺の場合、そもそも体全体に巡らせたりするほどの魔力が今は無い。魔力量自体は多いので、魔力が切れることは無いが今は宝の持ち腐れだ。

 ただ使い方はいくらでもある。そのうちの一つが、


「部分強化だ」


「何ですかそれ?」


 邪神様は、適当な石を拾ってきて机に置き、人差し指を立てた。指先には魔力が溜まっているのが分かる。

 その人差し指を持ってきた石にチョンと当てると、石は粉々に砕け散った。


「これが部分強化。全身ではなく、使う部分に使うときだけ魔力を込める方法。少ない魔力でも十分扱えるよ」


 邪神様は立ち上がって俺を見ながら、ニヤッと笑ってこう言った。


「練習すればね」


——某所——


「いやー今日はノア君の授業が出来て楽しかったよ」(邪神)


「俺も行きたかったんだけど」(男)


「兄さんはこの前やらかしたから留守番だったんでしょ?」(ベルゼブブ)


「こいつは肝心なことを伝えなかったからな、下手したらあいつがどこに行ってたか分からなかったぞ」(ルシファー)


「まあまあ、ハデスも復活して間もないんだから、世界がどんな風に変わったかなんてわからないだろ?」(邪神)


「やっぱり父さんんは分かってるな、俺にとっては十五年でもこっちじゃ二百年だ、まさか学園がつぶれてるなんて思わないだろ?」(男改めハデス)


 ハデスは指で年数を数えながら言った。ルシファーはため息をついたが、ハデスは気にしない。

 

「恩返しと言っても、こいつしか肝心なことは出来ないとなると正直頼りないな」(ルシファー)


「一番恩を返したいのは君だもんね、ルシファー?」(邪神)


 邪神はニヤニヤ笑いながらルシファーに言う。だがそれは侮辱のようなものではなく、家族の団欒のようなものだ。父が娘をおちょくり、娘が少しムスッとする。それを面白がり父は何度も同じことをする。その家族だけのコミュニケーション。


「墓にも一か月に一回は行ってるしな」(ハデス)


「でもあれから行かなくなったよね」(ベルゼブブ)


「それはな、行っても意味ねえもんな、それより重要な事があるもんなあ、おいベル。こういうの何て言うか知ってるか?」(ハデス)


「何ていうの?」(ベルゼブブ)


「ツンデレっていうんだよツ・ン・デ・レ」(ハデス)


 ドゴッ!!という鈍い音と共に、ハデスがルシファーに蹴られ壁にめり込んだ。


「後で自分で直せよ」(ルシファー)


「ねえパパ、ツンデレってどういう意味?」(ベルゼブブ)


「えー、僕に聞かれてもハデスしか知らないし、なんか変なこと言ったら僕も壁の突起物になりそうだもん」(邪神)


「ベル、ハデスから教えられたことは覚えるなよ」(ルシファー)


 そう言ってベルゼブブを連れて、ルシファーは出て行った。邪神も席を立ち、部屋を後にした。

 残されたのは、壁の一部と言っても差し支えないハデスだけだった。そんな彼の悲しい声が、静かな部屋に響く。


「この後これ直すの……?」


 その言葉に反応する者は部屋には残っていなかった。

 次の日この部屋を訪れた者はこう語った。


「一部分だけ壁の材質が違ったわ、大方ハデスがルシファーに蹴られてめり込んだのを、直しとけって言われたけど、材料が無くて適当に詰めたって所かしら」 

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