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異世界転生?~THE PROMISE~  作者: 紅椿
転生?編
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狼と力場

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 俺がクサナギ様の弟子になってから二年経った。王城に行くことが多くなり、十指の方たちとの交流も多かった。将来は王城で騎士にでもなるか?とクレナイさんに言われたが、俺はまだ子供だからと断っておいた。

 いつものようにクサナギ様と稽古をしていると、ヒョウさんを見かけた。そして、ヒョウさんに頭を下げている少年の姿も……。二年前、あの三人組をみてから、週一位のペースで見かけるようになった。なんでも魔神王と女神の死んだ原因らしく、ヒョウさん以外の家族は百年ぐらい前に許したそうだが、ヒョウさんは今でも許せないらしい。


「何度来ても無駄よ、私は許す気はないわ」


 ヒョウさんが、怒気を混じらせた声で言った。いつも優しい人が怒ると怖いのは、やっぱり一緒らしい。


「それでも、僕は頭を下げるよ。それが親の責任だから…」


「頭を下げて許しを請うべきなのはそこの女じゃないの?」


 ヒョウさんが少年の隣にいた金髪の女性を指さして言った。

 金髪の女性、ルシファーさんは頭を下げ、それを見た隣の男も頭を下げた。だがそれでも、ヒョウさんは許そうとはしなかった。


「何で…何であんた達が生きてて、パパとママは死んだのよ…こいつらを生かす余裕があったんだったら、自分たちが助かる方法もあったはずなのに…」


 ヒョウさんが目に涙をためて言った。それを見たクサナギ様が、ヒョウさんの所へ駆け付け、背中をさすっていた。こういう時は普通は頭を撫でると思うんだが、どうやら身長の問題で届かないようだ。

 その場に座り込んだヒョウさんを見て、クサナギ様は三人を帰らせた。

 少し前にクレナイさんから聞いた話だが、あのルシファーと言う女性を見た瞬間、クサナギ様は殺す気で切りかかったらしい。だが結局許したから不思議だったそうだ。


「あいつ殺してやるとか言ってたのに、急に許したんだよ。何があったのか知らないけどさ」


 とクレナイさんは言っていた。何故クサナギ様の気持ちが変わったのか気になったが、本人に聞くのは良くない気がするし、気になったままにしておこう。

 クサナギ様がヒョウさんを連れてこっちに来た。ヒョウさんの目はまだ少し赤かった。


「ノア君、ちょっと一緒にお出かけしよっか」


 そう言って、場所も言わずヒョウさんの手を引いて行ってしまった。見失うといけないので、俺は走って追いかけることにした。

 暫くは王都を歩いていたが、門の外に出て森に入った。この森は魔力濃度が高いし、幽霊が出るから一人では行くなと脅されていた。肝試しに来た様子は無いが、より一層謎が深まった。

 道なき道を進んで十分ぐらいすると、開けた場所に出た。そこには真っ白い石碑と、大きな狼がいた。銀色の毛並みに、所々黒が混じっている。


「またヒョウがぐずったか…それで、そこの子供は?」


「私赤ちゃんじゃないし」


「まあまあ、この子はノア君、バロンの孫だよ」


 この狼二メートルぐらいあるし、しかも喋ったがそこは異世界という事で納得しよう。

 狼は俺を見ると、目を大きく開き言った。


「お前魔力を感じない…魔力穴を閉じたのか?」


 凄いな…一目見ただけで分かるのか。今まで周りの大人からは魔力が無く魔法が使えないと思われていた、だからこの七年間で気づいたのはこの狼が初めてだ。

 だが俺は知らないふりをした。クサナギ様は驚いていたが、やっぱり気づいてなかったようだ。


「まあいい、ここに来れば魔力も何とかなるかもな」


 狼はそう言って石碑の前から移動して、石碑のすぐ横でまた座った。 

 クサナギ様たちは石碑の前に行ってお祈りみたいなことをしている。狼は寝てるし…俺来た意味なくない?とそんなことを考えていると、胸の辺りで急に電気が走った。

 するとお祈りしていたヒョウさんが急に倒れた。俺は服の中を確認したが異常はなかった。そして直ぐにヒョウさんの安否を確認しようと、向かおうとしたが、地面から生えた石の槍を喉元に突き付けられ動けずにいた。

 クサナギ様はヒョウさんを揺らして名前を呼んでいる。がヒョウさんは起きる様子はない。

 狼は俺を睨んで「グウウウウウ」と喉を鳴らしている。


「貴様何をした?」


 何をした?と言われても何もしてないんだけど…でも何もしてないって言っても、あの狼殺す気で飛び掛ってきそうだし……。


「貴様から魔力の反応がしたぞ?その瞬間にヒョウが倒れた。これでヒョウが起きなかったらお前を森の養分にしてやろう」


 こ、怖え…。ガチでやりそうだもんこの人、さっきトイレ行ってて良かった…。

 それから五分間、俺はヒョウさんが起きるのを祈っていた。クサナギ様が狼に槍をどかすように言ってくれて何とか誤解は解けたが、時間が経つにつれてまた唸りだすからホントに怖かった。

 ヒョウさんが目を覚ましたおかげで命は助かった。クサナギ様がヒョウさんに色々質問していたが、ヒョウさんは泣きながら説明していた。


「パパが、許してくれって…俺も、あいつらの事も許してくれって…あの時の事も教えてくれて……」


 遠かったし、ヒョウさんが泣いていたのであまり聞き取れなかったが、どうやら死んだ魔神王が話しかけて来たらしい。何で?幽霊?と思っていたが、狼さん曰く、俺の持ってる指輪と、魔神王の魔力が反応したかららしい。あくまで予想の様だが…。

 これも狼さんから聞いたが、ここは魔神王の魔力が流れる地脈の、一番魔力が強い場所らしい。

 

「何故お前が指輪を持ってるのかは知らんがな」


 と言ってきたが、それは俺にも分かりません。

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