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異世界転生?~THE PROMISE~  作者: 紅椿
転生?編
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剣神キレる

 黒い宝石がはまった椅子に座りながら、指輪の事について話し合いが再開した。

 クレナイさんたちは、魔神王様の部屋に保管するつもりだったが、俺が退室しようと指輪が俺のもとに戻ってくるから、保管できずに困っているといったところだ。

 どうやら指輪は一つじゃないらしく、もう一つも見つかっていないらしい。


「で?どうすんの?」(ゴウ)


「どうするって言ってもねえ…」(ヒョウ)


「そもそも何で指輪から黒雷出るの?」(クサナギ)


「ノア君が退室しようとすることがトリガーの様ですが、何故なのかは分かりませんね」(アオボシ)


「それは分かっているんだがな。このままでは指輪は保管できんぞ?」(チャグマ)


 保管したい偉い人と、保管されたくない指輪。何度も俺は退室を試みているが、その度に誰かに電気が流れている。


「いっそそいつごと父上の部屋に入れれば?」


 とゴウさんが言っていたが、ヒョウさんが頭を掴んで円卓に叩きつけたので、しばらくの間喋らなくなった。

 この人が王様か…。正直頼りない。一方でヒョウさんはしっかりしているが、本当に兄妹か?

 中々話も決まらず、俺とクサナギ様は修行の話になった。


「そう言えばノア君、刀持ち歩くの大変でしょ?バロンに適当な物に収納魔法つけてもらいなよ」


 クサナギ様が思い出したように言った。だが俺には何を言っているのかさっぱり分からなかった。

 こういう時は素直に聞くことが一番いい。


「何ですかそれ」


 質問したら教えてくれたが収納魔法とは、物が出し入れできる魔法らしい。確かに刀は持ち歩けないから願ってもないが…。


「適当なのでいいよ、宝石とか指輪とか、お屋敷にあるでしょ?…ん?指輪…ああ!指輪か!丁度いいのあるじゃん」


 クサナギ様が、納得したように手を鳴らし、話し合っているクレナイさんたちに声をかけた。

 

「もうその指輪ノア君にあげたら?指輪が離れないなら持っててもらえばいいじゃん」


「は?」


 ゴウさんが少しキレ気味に言った。クサナギ様のいう事は理屈は良いが、なぜそうなったといいたい。そもそも大事な形見なんじゃないの?


「クサナギ…これは父上の形見だぞ?」


「えー、もういいじゃん形見とかさあ、角皆で食べたでしょ?それでいいじゃん」


「でもなあ!!——」


 バンッと机をたたいてゴウさんが声を荒げる。

 その場がシーンと静まり返る。ゴウさんは額に青筋が浮かんでいて、もうキレる寸前、と言うかキレてるんじゃね?

 そんなことを考えていると、周りに氷を置かれているような寒気が走った。


「でも…なに?物が無いとお兄ちゃんが生きてたことも感じれない?」


「あ?」


 ああ…嫌だ嫌だ。喧嘩しそうだよこの人たち、周りの人も止めようとしないし、どうすんの?もうゴウさん身を乗り出しちゃってるよ?クサナギ様も顔怖いし、


「父上が死んで一番泣いてたのはあんただろクサナギ?」


 ピクッとクサナギ様が反応する。と次の瞬間クサナギ様から殺気のような威圧感を感じる。

 

「ガキが、躾が足りんかったな…」


「一番ガキみたいな見た目はあんただけどな?」


 ゴウさんがクサナギ様を煽ると、円卓にひびが入った。

 ひびが入ると同時に、ゴウさんが円卓を叩き壊し、そのままクサナギ様目掛けて走り出す。が、クサナギ様は席を立たず、指を鳴らした。するとゴウさんの首元に刀が現れた。

 ゴウさんが止まるのが遅かったら首が飛んでいただろう。


「威勢がいいのは良いが、お前はもう少し落ち着きを持った方が良いな」


「クソッ…!」


 クサナギ様がまた指を鳴らすと、刀は消えた。ゴウさんは席に戻り、腕を組んで座った。

 円卓は壊れ、空気は悪い。

 もう最悪だよ…。機嫌悪いのが一名、さっきの事が嘘のようにケロッとしているのが一名。もう話し会い無理じゃない?


「また壊しましたね、まあいいでしょう話し合いを続けますよ」


 アオボシさんが手をパンッと鳴らすと、円卓が元通りになった。魔法って便利なんだな…これも修復魔法かな?

 話し合いを続けるとは思わなかったが、そんなことは関係なく話し合いは続いた。正直なんて言っていたのかは覚えていない。理由は、ゴウさんがずっとこっちを睨んでいたからだ。隣のクサナギ様を睨んでいたというのは分かっていたが、当の本人は普通に話してるし…。


「もう他に案もないですし…ノア君、貴方の指にははまらないのでチェーンを作りました。首から下げて肌身離さず持っていてください。無くしたりしたらそこに居る魔王に殺されると思ってくださいね?」


 そんなことを言われて快く受け取るとでも? 

 受け取りたくはないが、逃げ道もない。その場でじいちゃんに収納魔法をかけてもらおうと思ったが、じいちゃんは拒否、代わりにアオボシさんがかけてくれた。

 部屋を出るときに、クレナイさんが俺に言ってきた。


「正直それもっときたくないだろ?」


 この人を尊敬した瞬間がここだった。

 全くその通りです。呪いがかかってある疑いに加えて、無くしたら命が無いと脅されてる物を首からかけてる、つまりチェーンの感覚がなくなれば、俺の頭から上も無くなるわけだが…。


「クレナイ様が持ちますか?」


「いや、その指輪はお前が大好きなみたいだしな、遠慮しとくよ」


 まあでしょうね、ワンチャンあるかと思ったがやっぱり無理だった。頭を下げて帰ろうとすると、また呼び止められる。


「様はいらないから、俺かたいの嫌いだし」


 とクレナイさんが言ってきた。という事なので、これからは普通にさん付けで呼ぼうと思う。流石に呼び捨ては無理だしね。

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