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異世界転生?~THE PROMISE~  作者: 紅椿
転生?編
1/77

日常

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 夢を見ていた。見えるのは一人の女性の笑顔だけ。金色の髪をなびかせて、笑っている彼女の目には涙が溜まっていた。


「玄樹ー?起きてるの?早くしないと遅刻するわよ?」


 カーテンの隙間から朝陽が射射している。いつもと変わらず母の声で目が覚める。

 目が覚めて一番最初に視界が捉えるのは、ベットに置いてある3つのトロフィーだ。

 19、20、21と数が続くそれは、俺の大会連覇の証だった。


「玄樹ー?聞いてるの?」


「今行く!」


 母の2度目の呼び掛けに焦りを感じ、ベットから飛び起きた。部屋を出る頃には、見ていた夢のことなんて忘れていた。

 

「やっと起きたか、父さんは先に出るから送っていけない。歩いて行けよ」


 父は無情にも俺にそうつげ、仕事に向かってしまった。

 あと10分ぐらいしか時間はないのに歩いて15分かかる学校に行くなんて……。

 俺があからさまに気を落としていると母が呆れた様子で言った。


「自分が起きてこないのが悪いんでしょ。今日は父さんはいつもより早いって言ってたじゃない。それに貴方なら間に合うでしょ」


 俺の鞄とおにぎりを1つ持ってきて、家から追い出すように玄関まで引っ張られた。

 そのままポイッと外に捨てられた俺に母は玄関を閉める前に言った。


「遅刻したらどうなるか分かるわよね?」


 ガチャンと鳴り響いた家の鍵が閉まる音が、俺が遅刻したらどうなるかを物語っていた。

 こうしちゃいられない、野宿なんて嫌だ!そう思った俺は急いで学校へ向けて走り出した。

 途中で裏道を通ったりして何とか学校の玄関までたどり着いた。

 時計の針は午前8時25分を指している。家を出たのが20分だから5分でたどり着いた事になる。


「新記録じゃない?あんたがこんなに早いなんて」


 靴箱のところで後ろから声をかけられる。

 声のするほうを向くと、そこには少し茶髪気味の少女が立っていた。

 160cm位の身長に、短く茶色い髪。彼女の名前は片橋渼右(かたはし みう)、茶色い髪は水泳をやっている影響だ。

 渼右は気が強く、男勝りという言葉が似合う。水泳では地区1位、県3位という好成績を残すこの学校のエースだ。

 そんな彼女に昔告白されたから俺は驚いた。

 だけど俺は渼右の告白を断った。俺は恋愛感情に疎いから……、それからも普通に接してくれるから良い奴だよほんとに。


「左雫は?」


「左雫は生徒会だから早く学校行ってる。」


 左雫、片橋左雫(かたはし さな)、渼右の双子の妹で、この学校の生徒会書記をしている。渼右とは対照的で大人しい性格をしている。そんな左雫を守るために渼右の気が強くなったんだが今はその話は置いておこう。


「私達も早く行かないと遅刻だよ。早く行こ」


 渼右に手を引かれ、教室まで引っ張られる。渼右が教室の扉を開け、中に入ると1番真ん中の1番前に座っている。ガタイがいい男と目が合った。

 その男は一瞬視線を下に落とし、直ぐに俺の目を見て食い気味に聞いてきた。


「玄樹、渼右と一緒に来たのか?」


 この男の名前は伊桜豪気(いざくら ごうき)、よくいとうと呼ばれている。

 豪気は筋骨隆々、大人と間違われるほどガタイと身長が大きく、その身長は高校生にして190cmを超える。

 その筋肉と身長の肉体美が凄いことから、ボディビルダーにならないかと誘われたことがあるが、きっぱり断っていた。

 豪気は剣道の全国大会で2位を取っている。3回連続で。


「そこでたまたまあったのよ、ね?玄樹」


「ああ、一緒に来たわけじゃない。それに、俺がそんなに早く起きられるわけがないだろう」


 豪気は少しの間俺に疑いの目を向けていたが、舌打ちをしてその目を逸らした。

 俺は極端に朝に弱い、最近はたまに起きれるが、前までは顔を叩かれても起きないほどだった。

 剣道の合宿の時も、毎回豪気に、叩き起されていたが、結局間に合わず、2人で先生に叱られたのを覚えている。

 話が大きく変わるが実は豪気は渼右の事が好きだ。いつ頃からかは分からないが、恋心というものを抱いていると本人から合宿の時に聞いたことがある。

 そのせいか俺が渼右に告白された時は落ち込んだが、俺が断ったことを話すと2、3日後には気を取り直し、アタックを続けていた。渼右が相手にしているかは別として……。

 毎回落ち込むこいつに、足りない言葉で励ますのも俺の仕事だ。嫌われてないだけマシだろ?と。

 だからこそ今俺が手を引かれて登校した状況は最悪だ。まだ俺に気があるんじゃないかと、豪気は気が気でない。それを確かめるためにも俺に質問をするわけだ。

 でもこいつは目付きが悪いから、周りから睨んでると勘違いされることが多い。

 街中でも、試合終わりに竹刀をもって歩いているときなんかは、よくガラの悪い奴らに絡まれる。その度に2人で返り討ちにするんだけどな。


「朝からケンカ?やめてくれよ……ただでさえ君たちのせいで周りから怯えられることが多いのに……」


 左雫の手を引き教室に入ってきたのは大梁翔平(おおはし しょうへい)、こっちは正真正銘のカップルだ。中学校位からの付き合いで、女子からモテモテの翔平を彼氏に持つ左雫には、嫉妬した女子が嫌がらせをすることが多かった。この時から渼右の気が強くなっていった。

 気が弱く、周りからの嫌がられをただ受けるしかない左雫を守るために、姉として妹を守るために。

 いつも俺たち5人は一緒にいるから、俺は左雫がいじめられてることも知っていた、だからいつも近くにいる時には、目の端に捉えていた。

 だからこそ、渼右と左雫が左雫に嫉妬した女が呼んだ男4人に襲われているところにもいち早く駆けつけることが出来た。

 木刀で男4人をボコボコにし、病院送りにした。事情を知った学校からは流石にお咎めなしということにはならず。やりすぎということで反省文を書かされたりした。


「喧嘩じゃないよ普通に話してただけだ」


「ホントに?それならいいけど……」


 翔平は安堵の表情を浮かべ、1番奥の列の1番後ろ、景色がいちばん綺麗に見える。いわゆる「主人公席」にカバンをおろし、腰を落ち着けた。

 読んでいただきありがとうございます!

 前作から読んでくれている方、今作から読んでくれた方も、楽しめるような作品にしたいと思ってるので、どうぞよろしくお願いします。

 今日は二話投稿して、これからは金曜の午後に投稿しようと考えています。

 応援よろしくお願いします!

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