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5、なんでここにギルティが

そしてその頃、ロンドの郵便局では……………相変わらず通常業務で忙しい日々…


と言いつつも、普通の退屈な日々にサトミは、でっかいあくびで青い空を見つめ大きくため息をついていた。


「あーーーー、昼から戸別こべつか。今日は少ないから、早く帰ってココア飲もうっと。」


担当地区の郵便物受け取って、伝票入れておつり確認して事務所を出る。

ベンは戸別は面白くないのか、乗り気じゃ無い。けど、乗る。


戸別配達ってのは、出会いもあるし、不在もある。気が重いときもあるし、幸せな気分になる事もある。

だが、その日の出会いは最悪だった。


その日は快晴で、空は晴れ渡り、肌寒い季節なのに暖かい。

朝から3局周りの当番だったので、防寒に厚めのストール巻いてきたのが昼からじゃちょいと暑いがまあ、汗かくほどじゃない。

今日は不在がないのでとてもスムーズだ。

いつもこうだと時間も早く終えられる。


「あー、砂糖、砂糖、砂糖食いてえ…」


戸別配達は、さすがに5ヶ月やってると慣れたが、頭を使う。

グチャグチャ書かれた文字読むのは、マジ難題だ。

頭使うと、がぜん砂糖が欲しくなる。

ガイドは条件反射だと言うが、自分自身そうだと思う。

だが、これを我慢していると、イラついて力加減が出来ない。

先日砂糖切れのままエジソンのとこに行こうとして、パーティションのドアノブを回しすぎて引きちぎってしまった。

一瞬局内しんとして、やっちまったと思ったが、アレは駄目だ、お粗末すぎる。

もっと頑丈な鉄のドアに変えて欲しい。


俺の力はちょっとだけ他の奴より強い。

おかげで総務に怒られる常連になってしまった。

総務のケリー女史は怖い。

口やかましい女は軍にもいたけど、どこにでもいるもんだ。

俺はミルクだの砂糖だの壊しただの、予算予算と頻繁にめっちゃ怒られる。

備品は全部、鉄にしろ。

特にプラスチックは自然にも俺にも優しくない。



半分ほど配達終えて、家並み外れて一旦アメを口に放り込み休憩する。

ああああ、砂糖が心地いい。俺はいつか、シロップの風呂に入りたい。


普通郵便のアイルが前を通りかかった。


「お疲れ!サトミ、手伝おうか?俺荷物担当だったからもう終わったんだ。」


「お疲れ〜、もう少ないから大丈夫だよ。ありがとう。」


「そっか、じゃあお先!」



そうだ、思い起こせば、この時まかせれば良かったと思う。

だが、俺は仕事に真面目すぎた。



「さて、次はD地区3番通りに3通か。」


D地区は住宅街だ。

2軒回って、3軒目、それは2階建ての白い館で、この辺では大きい金持ちそうな新しい家だ。

確かここは爺と婆さんの2人で住んでいると思ったが、庭にデカいオフロード4WDが停まっているのを見ると、子供か孫でも来ているらしい。


と、ふと足を止めた。


サトミがいきなり、慌てたようにストール巻き直し、ゴーグルを付ける。

ストールで顔半分を完全に隠し、よし、と、ようやくノックした。


コンコンコン


「郵便でーす!」


裏声で可愛く声をかける。と、はーいと女の声がする。

よし、そのまま女が来たらゴーグル外す。


女出ろ、女出ろ、女出ろ、女出ろ、女出ろ、女ああああ!!


「あなたー、出てくれる?」


「オッケー、ハニー。」


チッ!誰がハニーだ!


足音がして、ガチャンと、ノブが回ってゆっくりドアが開いた。

家の主人は壁に隠れて銃を下手に構え、そっと脇から顔を出す。


は?ばっかじゃね?


俺は指で名前を隠し、身分証のパスを見せて、郵便の手紙を見せた。


「エクスプレスの郵便でーす、代金が着払いなんですが〜」


裏声だ、裏声。俺の裏声は可愛いだろーが、フフフ、よーしバッチリだ。

男はチッと舌打ちして、ドアをバーンと蹴った。


「てめえ、声は可愛くても、顔隠してたら強盗と間違えるだろうが!ゴーグルぐらいとりやがれ!」


ツンツン茶髪のゴツい男がガン付けて凄んでくる。


「あなたー、どうしたの?大丈夫ー?」


「あ、あ、大丈夫だよハニー!郵便屋さんが来てるんだ!」


「あらそう、誰からかしらね。」


男はハニーと話しているときは妙に甘え声でデレてるくせに、こっち見るとまた凄む。




プーーーーーーーッ




俺はもう、たまらず腹筋崩壊するしかなかった


「てめえ!何笑ってやが……なんだぁその背中の棒はぁっ!

元ファースト野郎が!とうとう、うちに来やがったなあ!」


俺は腹を押さえて何とか息を整え、ゴーグル外してストール緩めて顔を出した。


「笑わせんなサード!じゃなかった、今セカンドか!なんだてめえ、サードからセカンドに昇進かよ!

無能のくせに、クソ野郎!何がハニーだ、軍のケツ拭き野郎が!」


「はぁ?自分だって、ついこないだまでいたクセに。

なんだこのチビ、こっちは客だぞ!お客様だろうが!失礼致しましたと頭下げろがクソったれ!」


「あーそうでした!失礼しましたお客様よ!さっさと7ドル払いやがれ!」


「チッ、なんでこんな薄っペラの手紙に7ドルもかかるんだよ、あー?」


「危険手当だよ!俺たちアタッカーが危険な目に遭いながら、苦労してここまで持ってきてやったんだろうが!」


「ヒヒヒヒ!誰が危険だって?

てめえソロ最強だったクセに、誰が危険ってふざけんな!

盗賊より、てめえの方が危険だろうが!シリアルキラーがほざきやがれ!」


シリアルキラーにドキッとして周りを見回した。

ツンツン男も、しまったと口に手を当て見回す。


ここは軍の敷地じゃないので、一般人が引きそうな単語は発言するとNGだ。

ツンツン男がポケットの財布から7ドル抜いて、サトミに渡す。

急に静かに声を潜めた。


「お前、後で話しあると言ったら会ってくれるか?」


「天気の話なら構わねえが、仕事の話はクソくらえだ。」


ツンツン男はうーむと考える。


「そうだな〜、次の仕事関係なんだが、貴様の考えを聞いてみたい。

だから丁度いいなーってよ、ハニーの実家に付いてきたんだ。

ハニーの実家がてめえの近所って、もうこれ運命じゃね?」


誰が運命だよ、クソ野郎!


「ちっ、俺目的かよ。

ジンと相談しろよ。今2チームしか無いんだろ?

お前ら俺は辞めたって事に、早く慣れろ。

飯食いにぞろぞろ来やがって、俺はツアーコンダクターとは違うんだ。

俺はな!てめえらとは縁切りたいんだよ!クソ野郎ども!」


「そうは言ってもなー、お前は迷いが無くて判断速くてやっぱ頼りになるし、ジンは殺し以外には頭働かねえバカだし、デッドはセカンドと共同戦線張るなんてまだ聞いてないしーだろ。

ファーストはよう、お前の顔見に行ったあとは、みんなイキイキしてやがる。

ジンがトップだとストレスだらけで、あれ、殺し合いでもはじまりそうだぜ?」


「知るかよ、俺は砂糖じゃねえ。」


サトミの突き放すような言い方に、ツンツン頭がムッとしたかと思うと、何を思ったかニイッと笑った。


「なあ、ボスは言うなってたけど教えてやるよ。

お前知らねえだろうけど、お前の除隊許可、差し戻しになってな〜。

お前……ヒヒッ!

保留の休職扱いで、正式除隊になってねえんだぜ?」




は?

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[良い点] ギルティさん相変わらず口軽い!わざと?わざとなの?
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